はじめに
Salesforceで新規リードを作成する際、既に登録されている取引先や取引先責任者と重複していないかをチェックしたい場面があります。本記事では、異なるオブジェクト間(リード ⇔ 取引先・取引先責任者)での重複検知機能の設定方法について解説します。
想定シナリオ
- 既存データ:取引先・取引先責任者が登録済み
- 新規登録:Web-to-Leadや手動作成でリードが作成される
- 要件:リード作成時に既存の取引先・取引先責任者との重複を検知したい
設定手順
1. 一致ルール(Matching Rules)の作成
まず、重複判定の基準となる一致ルールを各オブジェクトに対して作成します。
取引先用の一致ルール
設定 → データ → 重複管理 → 一致ルール → 新規
設定例:
- オブジェクト:取引先
- ルール名:取引先重複ルール_一致ルール
- 一致条件:
Phone 完全 MatchBlank = FALSE
取引先責任者用の一致ルール
設定例:
- オブジェクト:取引先責任者
- ルール名:取引先責任者重複ルール_一致ルール
- 一致条件:
Phone 完全 MatchBlank = FALSE
2. 重複ルール(Duplicate Rules)の作成
次に、リードを対象とした重複ルールを作成し、上記で作成した一致ルールを関連付けます。
設定 → データ → 重複管理 → 重複ルール → 新規
設定例:
- オブジェクト:リード
- ルール名:リード重複
- レコードレベルセキュリティ:共有ルールを適用
- 作成時のアクション:許可
- 編集時のアクション:許可
- 一致ルール:
- ☑ 取引先重複ルール_一致ルール
- ☑ 対応付け済み(取引先責任者の一致ルール)
動作確認
テストシナリオ
-
既存データ準備
- 取引先:電話番号「08012345678」
- 取引先責任者:電話番号「08012345678」
-
リード作成
- 同じ電話番号「08012345678」でリードを作成
-
結果
- リード詳細画面に「レコードが重複している可能性があります」メッセージが表示
- 「重複を表示」をクリックすると重複候補が一覧表示される
重複検知画面で確認できる内容
- リード (1): 新規作成したリード
- 取引先責任者 (1): 既存の取引先責任者
- 取引先 (1): 既存の取引先
注意事項
できること ✅
- 異なるオブジェクト間での重複検知
- 重複候補レコードの一覧表示
- ユーザーへの重複アラート表示
できないこと ❌
- 異なるオブジェクト間での自動マージ
- リード ⇔ 取引先責任者の直接的な統合
- 重複解決の自動化(同一オブジェクト間のみ可能)
応用・カスタマイズ
複数条件での重複判定
一致ルールで複数の項目を組み合わせることも可能です:
- メールアドレス AND 会社名
- 電話番号 OR メールアドレス
- あいまい一致(Fuzzy)での氏名照合
まとめ
Salesforceの標準機能である重複ルールと一致ルールを活用することで、異なるオブジェクト間での重複検知が実現できます。完全な自動マージはできませんが、データ品質の向上と重複レコード作成の防止に有効な機能です。
営業チームのデータ管理効率化や、CRM データの品質向上にぜひ活用してください。