はじめに
TeXLiveは新年度になると新バージョンがリリースされます。
しかし、バージョンのアップグレードは自動で行われることはなく、手動でアップグレードしなければななりません。
アップグレードをしなくても使えないことはありませんが、新規にパッケージのインストールが不可能になるため、基本はアップグレードを行います。
この記事では、そのアップグレード方法について取り上げます。
今回は、2023を2024にアップグレードしたため、適宜読み替えてください。
英語が読める、億劫でない方は、公式サイト1を参照してください。
2024にアップグレードする方法です。そのほかのバージョンへのアップグレードは、確実にできるという保証はございませんのでご注意ください。
事前準備
アップグレードのための下準備を行います。
-
/usr/local/texliveディレクトリに移動$ cd /usr/local/texlive -
2024より前のバージョンの環境を引き継ぐために、シンボリックリンクなどもすべてコピー。
このとき、アップグレード作業が完全に終えるまでは、正常なTeX Liveを残すために、古いバージョンの消去はしません# cp -a 2023 2024 -
2024/tlpkg/backups以下のファイルをすべて削除# rm -rf ./2024/tlpkg/backups/* -
旧バージョンディレクトリ(
2023)以下の各種ファイルの/usr/local/bin/のシンボリックリンクを解除# tlmgr path remove -
新バージョンディレクトリ(
2024)以下の各種ファイルの/usr/local/bin/のシンボリックリンクを張る# ./2024/bin/x86_64-linux/tlmgr path add -
手動で追加しているPATHの設定を
2024に変更(カスタマイズをしていなければこの操作は不要)
アップグレード
tlmgrのアップグレード
-
新バージョンのディレクトリ(
2024)に移動$ cd /usr/local/texlive/2024 -
公式から
tlmgrのアップグレードスクリプトを入手# wget https://mirror.ctan.org/systems/texlive/tlnet/update-tlmgr-latest.sh -
アップグレードスクリプトを実行
# sh update-tlmgr-latest.sh -- --upgrade
アップデート
-
CTAN更新のために明示的にリポジトリをリセット
# tlmgr option repository ctan -
tlmgrのアップデート
# tlmgr update --self --all
LuaLaTeX使用の場合
フォントキャッシュのアップデートを行う。
# luaotfload-tool -fu
動作確認
-
platex --versionをもちいて、バージョンの確認を行う。
実行結果の1行目の末尾が、以下のようにTeX Live 2024と出力されれば成功$ platex --version e-upTeX 3.141592653-p4.1.1-u1.30-230214-2.6 (utf8.euc) (TeX Live 2024) kpathsea version 6.4.0 ptexenc version 1.4.6 Copyright 2024 D.E. Knuth. There is NO warranty. Redistribution of this software is covered by the terms of both the e-upTeX copyright and the Lesser GNU General Public License. For more information about these matters, see the file named COPYING and the e-upTeX source. Primary author of e-upTeX: Japanese TeX Development Community. -
アップグレード前にコンパイルしたことがあるファイルをコンパイル。
正常にコンパイルできれば、アップグレードは成功
後処理
アップグレードが成功したら、旧バージョンである2023ディレクトリは不要である。
この段階で、旧バージョンのディレクトリを削除
# rm -rf /usr/local/texlive/2023
以上で、アップグレード作業は終了です。
むすび
TeXLiveのアップグレード方法を取り扱いました。
よく使うツールということもあり、自動でアップグレードできるようになるといいですね。
少しでも、私の記事によりあなた方のお手伝いが出来たら幸いです。