2021年12月にGCPの上位資格であるProfessional Cloud Architectに合格いたしました!!
今後同資格を受験する方やGCPに興味を持ち始めた方向けに勉強方法、問題の傾向などをまとめましたので参考にしていただければと思います。
GCPの動向とGCP資格の人気上昇
近年クラウドテクノロジーに大きな注目が集まっています。クラウドといえばAWS(Amazon)、Azure(Microsoft)、GCP(Google)の3大サービスが有名ですが特に最近はGCPの存在感が高まってきています。
GCPはBig Query、Spanner、Big Tableなどのビッグデータサービスに強みを持っています(GCPの強み)が、クラウドサービスのパイオニアでありシェア1位のAWSと大規模システムでの導入実績を多く持つAzureに押されてなかなかシェアが高まりませんでした。
クラウドサービスはオンプレミスに比べて導入実績が少なく危ないイメージがあったので、少しでも導入実績が多い=信頼できるクラウドサービスほど大企業や公的機関に採用されてシェアを伸ばすというロジックが強く働きます。後期参入であるGCPが苦戦していたのも実績不足が原因だったのです。
しかし上記のGCP主力サービスの人気が高まったことに加えてセキュリティ要件や導入実績も他のクラウドをしのぐレベルにまで成長した結果、ついに2021年10月にGCPがデジタル庁の「ガバメントクラウド」に選定されました。今後は行政サービスや地方公共団体のITインフラにもGCPが普及していくと見てよいでしょう。
日本だけでなく世界的にもその人気は高まっており、資格ごとの収入ランキングいわゆる「儲かる資格」ランキングでも最新のTop3のうち2つがGCPの資格となっています。
今回ご紹介するのは2位にランクインしているGCP Professional Cloud Architectについてです。取得したからと言って急激に収入が上がるわけではないですが近い将来間違いなく価値が上昇するGCPについて知見を深めておくことに損はないと思います。
GCP Professional Cloud Architectへの挑戦
Professional Cloud Architectとは
公式HPにもある通りGCPの資格は分野や難易度に応じて様々な種類があります。
Professional Cloud Architect (以下PCA)はGCPのサービス全般に関する豊富な知識と最適なソリューションを選択する判断力が問われる資格で難易度は高めです。IT初心者やクラウド未経験者がゼロから合格するのは至難の業なので自身の経験に応じてCloud Digital LeaderやAssociate Cloud Engineerなど比較的難易度の低い資格を選択することをおススメします。
なおGCPの資格は受験言語が英語しかないものもありますがPCAは日本語で受験できますしテストセンターではなく自宅で受けるプランもありますので受験のハードルは以前より下がったといえるでしょう。
受験の前提
1. 概要
PCAの公式ページには以下のような試験の概要が書かれています。
- ITの資格全般に言えることですがOracle、CISCO、MicrosoftなどのいわゆるITベンダーが主催している「ベンダー資格」は
ぼったくり高貴なる価格設定がされています。Googleも例にもれず200ドルと高価なので一発合格できるようにしっかり勉強しましょう。(※基本情報技術者などの「国家資格」は数千円と比較的安価です) - ここには書かれていませんが試験は50問で選択肢方式です。2時間の試験時間がありますが時間は余裕があり早い方は1時間程度で終わるでしょう。
- 推奨される経験、とありますが必須ではなく確認や証明もされないので準備は勉強だけでOKです。
- 受験方法はテストセンターか遠隔監視オンラインを選べますが当日ネットワークトラブルが発生する可能性もあるので可能であればテストセンターでの受験をおススメします。私は都内のテストセンターで受験しましたがコロナ対策もしっかりしていたので安心でした。
2. 自分の経験と知識
- 私は業務でAzureとAWSを使ったことがあり基礎的な経験はありました。
- また私は2021年3月にAWS Solutions Architect Associateを取得していたため、GCPは初心者でしたがクラウドサービスについては中級クラスの知識がある状態でした。
- 自分の知識と経験を勘案して適切な試験を選ぶのが重要です。ただしあまり前提知識がなくても模擬テストなどを勉強すれば合格自体は可能です。
勉強
1. Qwiklabs
会社がGoogleの動画学習&ハンズオンサービスのQwiklabsと提携しており多くの教材を無料で活用できたのでこれが学習のメインでした。もし会社や大学がQwiklabsのサービスと提携していた場合には以下の講義を参考にしてください。Qwiklabsが利用できない方はcouseraのGoogle関連教材で同じ講義を受けられるのでご検討ください
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Google Cloud Fundamentals: Core Infrastructure
- GCPとは、から始まり基礎を徹底的に学べる
- VM、コンテナ、ストレージサービスなどの基礎固めに最適
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Elastic Cloud Infrastructure: Scaling and Automation
- ネットワーク、Auto Scaling、インフラ自動化などの全般知識
- ネットワークは難問が多いのでインフラの知識がない方は他の書籍なども使って重点的に抑える
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Essential Google Cloud Infrastructure: Core Services
- IAM、ストレージサービス、モニタリングサービスのコース
- 特にIAMとストレージサービスは試験でも頻出なので要チェック
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Cloud Architecture
- KubernetesとVPCに関するクエスト(仮のGCP環境で実際に環境を作成するハンズオン)
- KubernetesはGKEに関連して近年最も注目されているサービスの1つで試験でも頻出
- ServiceやDeploymentの概念をハンズオンで学べるのは非常に大きい
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Cloud Architecture: Design, Implement, and Manage
- VMとKubernetesを用いた応用クエスト
- 余裕があれば
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Preparing for the Google Cloud Professional Cloud Architect Exam
- 試験でどんな問題を聞かれるか、何を理解しておくべきかなどを広く解説
- 途中でサンプル問題もあるので問題の切り口を理解できる
2. 書籍
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Google Cloud Platform エンタープライズ設計ガイド
- 遠山 陽介、 深津 康行、 中庄谷 哲平、 小島 仁志
- 2,822円(Kindle版)
- 主要なサービスがほぼすべて解説されており入門に最適
- 特にストレージサービスの解説部分はサービスごとの細かい違いを丁寧に説明してくれている
- 出版が2018年で情報が一部古いので、概要を学んだら公式ドキュメントなどで補足を
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GCPの教科書
- 吉積礼敏
- 3,762円(Kindle版)
- こちらも入門者向けで丁寧な説明
- サービスの説明が手広いがGoogle Cloud Platform エンタープライズ設計ガイドと内容的には変わらない
- 両方買う必要はないのでどちらか片方を徹底的にやるべき
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ハンズオンで分かりやすく学べる Google Cloud実践活用術 データ分析・システム基盤編 Google監修
- 日経クロステック、大澤 文孝
- 3,960円
- 2021年7月出版でとにかく情報が新しくGCPのデータ分析サービスをしっかり学べる
- 特にDataflowを用いたデータパイプラインの構築やDataprepを用いたデータ前処理などはテストに直接出るほど重要
- ハンズオン前提なのでページ数のわりに内容は薄いが、説明部分を読むだけでもGCPのデータ分析基盤を理解できる
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さわって学ぶクラウドインフラ docker基礎からのコンテナ構築
- 大澤 文孝、浅居 尚
- 2,970円
- AWSをつかってDockerを学ぶ内容だがとにかく説明が丁寧でわかりやすい
- DockerとKubernetesを学ぶ上で現状最高の本なので資格の勉強関係なく購入を強くおススメする
3. Udemy
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Google Cloud 認定 Professional Cloud Architect 模擬問題集
- 3,000円(通常価格)
- PCA向けの模擬テストを日本語でしてくれる講義
- 同じ問題なのに答えが違う、明らかに答えが違う、解説文がほとんどない、日本語が不自然な箇所が多いなど劣悪な内容
- あまりにもひどいので人生初のUdemy返金申請をしたほど
-
2021 Latest Google Cloud Architect Practice Question
- 2,400円(通常価格)
- PCA向けの模擬テストだが英語
- 問題文の選択肢のほとんどすべてに解説がついておりなぜ間違いなのかをしっかり確認できる
- 本番のテストにそのまま出題されたものも多く非常に有意義
4. 勉強方法と総勉強時間
- 書籍で基礎固め⇒Qwiklabsで応用&ハンズオン⇒Udemyで最終調整 というのが大まかな流れです
- 書籍3冊で15~20時間、Qwiklabsの動画とハンズオンで50時間~60時間、Udemyはテスト前に10時間ほどかけて調整しました
- 講義動画はしっかり見ることが重要です
- 模擬テストは9割以上とれるようになるまで&答えと選択肢を暗記できるレベルまでやれば確実です
- 公式の模擬テストもあるので試験前に挑戦して問題に慣れましょう
- 勉強し始めてから合格まで1.5カ月ほど
- 上述しましたがあくまでAWSの基礎知識があったため勉強時間を抑えることができています
- 他の記事を拝見したところクラウド未経験の方は半年ほどかかっているようなのでご注意ください
申込から受験まで
1. 受験申込
- Google Cloud Webassessorで申し込みを行います
- アカウント作成後にテストセンターと日程を決めます(今回私はテストセンター受験でしたので自宅受験は割愛します)
- テストセンターは土日もやっていますが人気なのですぐに埋まりますので土日希望の方は早めに申し込みしてください
- アカウントは日本語名で登録することをおススメします(理由は後述)
- クレジットカードで支払いをしてメールが届けば申し込み完了です
- キャンセルは試験開始の72時間前までなら無料です
2. 受験当日
- 試験会場に15分前をめどに到着します
- 身分証明書を提示して説明を受けます
- 身分証明書は登録時の名前と完全一致する必要があるので英語で登録してしまった場合はパスポートなどが必要です
- アカウント登録の際に日本語で登録しておきましょう
- 時計やスマホなど持ち物をすべてロッカーに収納します
- 試験開始です
感想
- 1時間ちょっとで終わり、かなり対策してましたがやはり難しかったです
- 手ごたえとしては7割くらいでしょうか、結果は表示されないので点数や間違った問題はわかりません
-
Google公式のケーススタディから問題が出るとHPにも書いているのでなんとなく把握しておきましょう
※問題解きながら右半分の画面でケースを見られるので覚える必要はないですが初見で慌てないように - 余裕があればGoogleが推したいサービス、最新のサービスも勉強しておくとよいです
まとめ
今回は割としっかり対策できていたので無事合格できました。しかし試験問題は予想外の問題や知らないサービスも出てくるのでGoogleの最新の動向にも目を向けておく必要があります。
とはいえそれらは基礎問題でミスしないことが前提なので模擬問題や動画でしっかり復習しておきましょう。
これにて記事は終了します。これを見た皆様の受験の手助けになることを祈っております。
2021/12/23 追記
試験合格から2週間以上経過してようやく正式な合格メールが届き認定証も届きました!
先週問い合わせたところどうやらコロナとクリスマス休暇関連で業務が遅延していたようです。
正式には10日以内に届くと書かれていますが、受験された方は気長に待ちましょう。