はじめに
Windowsの仮想サーバーでObject Storage(ICOS)のような外部ストレージを使用する際にfile storageのような形式で使用したいといった要望があるかと思います。そういった場合にCloudBerry Driveを使用することでICOSをWindowsのローカルストレージのように扱うことが可能です。また、ICOSへのバックアップを実施する際、別リージョンのICOSへのバックアップを取ることも可能です。
CloudBerry DriveはMSP360が提供するWindows用のバックアップストレージソリューションです。バックアップ先のストレージとしてはAWSやAzureの他、IBMのようなAWSとAPIの互換性のあるストレージで利用できます。
対応しているOSはWindows Server 2008/2012/2016, Windows Server 2008/2012 R2, Windows 7/8/10/11です。(Windows Server 2022でも動くことが確認済み)
また、CloudBerry Driveはデスクトップ版とサーバー版でそれぞれ1コンピューターあたり$49.99/119.99で購入可能です。
本記事ではIBM CloudのWindowsサーバー(Classic)にCloudBerry Driveを導入し、ICOSをマウントする方法を記載します。手順としては公式サイトのチュートリアルビデオを参考に進めます。
https://www.msp360.com/resources/video-tutorials/msp360-drive/
検証環境
本記事の検証を実施する環境は以下の通りです。
- Virtual Server for Classic : 2vCPU, 4GB, 100Mbps, 東京リージョン, Windows 2022
- IBM Cloud Object Storage + bucket : 東京リージョン
構築手順
構築手順は以下の通りに行います。
- CloudBerry Driveのダウンロード・インストール
- ICOSのサービス資格情報の作成
- CloudBerry Driveのマウント設定
- 環境テスト
1. CloudBerry Driveのダウンロード・インストール
CloudBerry Driveのダウンロード
MSP360のホームページ(https://www.msp360.com/drive/) からCloudBerry Driveをダウンロードします。今回はトライアル版で試すので左側の「Download Free Trial」を選択します。(トライアル版は15日間無料で利用できます)
次にplatformはSERVERを選択し、メールアドレスを入力してダウンロードを実行します。
CloudBerry Driveのインストール
ダウンロードしたexeファイルからインストールを行います。
ユーザーモードはCommonを選択します。
最後にActivationでダウンロード時に入力したメールアドレスを入力して「Start Trial」をクリックしたらインストール完了です。(license keyは不要)
Windowsの画面右下にCloudBerry Driveのアイコンが表示されていたらインストールが成功しています。
2. ICOSのサービス資格情報の作成
CloudBerry Driveへのマウントのために必要な情報としてICOSのサービス資格情報を作成します。
事前に作成したICOSの画面からサービス資格情報を選択し、「新規資格情報」から資格情報を作成します。
任意の名前をつけ、ロールは「ライター」、HMAC資格情報を含めるは「オン」にして作成します。
作成後、鍵の一覧に先ほど作成した名前の資格情報が追加されているので確認します。
CloudBerry Driveへのマウントに使用するパラメータは「access_key_id」と「secret_access_key」なのでこの2つは保存しておきます。
また、ICOSのエンドポイントも必要なので確認します。
左側の「エンドポイント」から回復力を「Regional」、ロケーションを「jp-tok」に選択するとエンドポイントが表示されるのでプライベートエンドポイントを保存します。
3. CloudBerry Driveのマウント設定
2で入手した情報をもとにマウント設定を行います。
Windows画面の右下にあるCloudBerry Driveのアイコンをクリックし、「Options」を選択します。
「Mapped Drives」の「Add」ボタンを選択します。
Add Storage Accountでは以下の項目を入力します。
Service point, Access key, Secret keyはICOSで取得したパラメータを入力します。
パラメータ | 入力値 |
---|---|
Storage Provider | S3 Compatible |
Display name | ICOS-tok(任意の名前) |
Service point | ICOSのエンドポイント |
Access key | ICOSのaccess_key_id |
Secret key | ICOSのsecret_access_key |
パラメータを入力後、「Test Connection」をクリックすることで接続テストを行うことが可能です。接続できていると以下の画面が表示されます。
Storage Account作成後、再びMapped Drive Optionsに戻り、任意の「Drive letter」、「Volume label」を入力し、「Path」は右の「...」からICOS内のマウントしたいバケットを選択します。今回は事前に作成したバケットを選択します。(バケット内のフォルダを指定することも可能です)
入力後、「OK」ボタンを押すと作成完了です。
作成後にWindowsのフォルダにはE driveが追加されていることが確認できます。
4. 環境テスト
最後にICOSとWindowsがうまくマウントできているかのテストを実施します。
まずはWindows側からマウントしたフォルダにファイルを追加してみます。
ポータルのICOSの画面を見ると、新しくファイルが追加されていることが確認できます。
逆にICOS側でファイルを同様に追加してみます。
これもWindows側をみると、ファイルが追加されていることが確認できます。