いきなりですが、人材不足
うわーん!テーブル設計がちゃんとできる人材がチームに欲しいよ〜〜〜!!と、業務中につい叫びだしたくなる今日このごろ。今日も上司に向かって、人員不足をどうにかしてくださいよぉ。とぶっくさ言ってたわけですが、ふと、テーブル設計ができる人材って世の中にどれだけいるんだろ?という疑問が湧きました。そこで調べてみたらちょっと面白い結果だったので共有させてください。
資格といえばIPA
とりあえず資格といえば、IPAの情報処理技術者試験が有名ですよね。そんな資格とっても意味なんてねぇよ!なんて言う人はいますけれども、 少なくとも持っていて悪いことはない。 まあ、ITパスポートとかぐらいになると、流石に自慢にもならないとは思うんですが、逆に考えてITパスポートにも落ちる人間が設計するのって怖くない??三歳児が運転するダンプカーみたいなもんだぜ。
エンジニアジョークで「車を運転するために免許があるように、システム設計も免許性にするべきだ」みたいな話がありますけれども、車と同様にシステムも事故ると人が死にますからね。(なんなら作っている時にも死ぬ)そういう考えでいけば資格というのは有り難い。まあ、完全無欠を保証するわけではないですが、ある程度のことはできるでしょ。みたいな安心感があります。
さて、じゃあテーブル設計ができるやつとなったら、ここはデータベーススペシャリストだろうと思うわけです。「データベーススペシャリスト求ム!!」って募集だしたら、どれだけ来てくれるんだろう?そしてその採用ってどれくらい難しいんだろう?ふと気になって色々と調べてみたわけです。
結論:東大生よりレア
いきなり結論から言ってしまうとそういうことでした。
幸いなことにIPAが統計情報を公開しているんですね。(https://www.jitec.ipa.go.jp/1_07toukei/_index_toukei.html)
このページを元に加工したのがこちら↓です。
公開しておきますんで、コピーしてエクセルに貼り付けけて上司を威嚇するのに使ったりしてください。
コロナの影響で途中、一年空白になっている資格もありますが、平成21年度(2009年度)からのデータが入っています。合格者数は年ごとに変わるんですが、平均値を取れば大体の数はつかめるはず……ということで、集計した所、 データベーススペシャリストは大体一年間に1720人程度誕生している ということが分かりました。
1年に1720人。10年で17200人いるってことは、うちの職場にもさ、あと1人か2人ぐらい来てくれたって良いんじゃないのぉ〜〜〜?と思ったんですが、よく考えるとこれってかなり少ない数字。
だって、今年の東京大学の入学者数が3127人だそうですからね(https://www.u-tokyo.ac.jp/ja/about/overview/e08_01.html)
中退などで、全員が卒業する……わけではないとはいえ、大体一年間に東大生というのはこれぐらい世の中に供給されているわけです。
ってことは、 数で単純に比較するならば、「データベーススペシャリスト求ム!」という求人は「東大生求ム!」って求人より難しい ってことです。そりゃ難しいわけだ!せめてもっと条件を良くしないと……。
人材募集の単位:トーダイ
ということで、私考えました。新しい単位。トーダイ。
東大生一人を雇う難しさを1トーダイとするわけです。まあ、人間を募集する時の難しさが単純に全体数に反比例すると考えているわけですから(つまり、一年間に1000人供給される人材より、100人供給される人材の方が、採用は10倍難しいってこと!)、かなり怪しい値ではありますが。2022年度の東大の募集人員が3060だそうなので、グラボみたいでキリが良いし、せっかくなのでこの数字を使って計算してみました。
以下トーダイ値が高い順です。
- 基本情報:0.1トーダイ
- 応用情報:0.21トーダイ
- 支援士(セキュスペ):0.58トーダイ
まあ、ここら辺はこんな感じでしょう。基本情報持ちを募集するのは東大生の十分の一ぐらいの労力と考えましょうか。ちなみに早稲田大学の合格者数(受かっても違う大学に行く人もいるので、目安ですが)は14000人ぐらいだそうですので、応用情報で1ワセダってところです。
- ネットワークスペシャリスト:1.62トーダイ
- データベーススペシャリスト:1.77トーダイ
ここらの資格になると、1トーダイ、すなわち東大生を募集するより難しいということになります。
- プロジェクトマネージャ:2.16トーダイ
- システムアーキテクト:3.65トーダイ
- エンベデットシステムスペシャリスト:5.1トーダイ
- ITサービスマネージャ:6.07トーダイ
- システム監査技術者:7.55トーダイ
システム監査技術者になると、7.5トーダイ超え、つまり、東大生を募集する七倍ぐらい難しいってことになりますね。
注意!上記の内容を真に受けないでください。実際の利用には議論が必要です。募集の難しさは単純に整数倍できるものだとは思えません。といってもどうモデル化するかはさっぱりわかりませんが……
ちなみに他の資格で考えると……
- 危険物乙4(2021年度):合格者数35,931人(0.08トーダイ)
*司法試験(2022年度);合格者数1,403人(2.18トーダイ)
*医師国家試験(2022年度);合格者数9,222人(0.33トーダイ)
という結果になりました。医師って毎年東大生の三倍ぐらい生まれているんですね。大事な仕事ですからね。供給は多いほうがいいぜ。なお、司法試験も医師国家試験も両方とも、所定のカリキュラムを終えないとそもそも受験資格がないので、情報試験や危険物の試験と単純に比較することはできないということは書いておきます。
単純に数で考えた時のレア度。を表す数値と考えたほうが良いでしょうか。
でもさぁ、この数字っておかしくない?
んで、ここまで読んできてそう思ったあなた。その感覚は間違っちゃいないぜ!!実はここまでの話には一つ大きな落とし穴があるんですよね。それはそもそも受験する人が少ないってこと。
この数字だけでは、 人気がないのでレアになるのか、試験が難しいからレアになるのか区別出来ないんですよね。
例えば、トーダイ値を見てもわかるように、ネットワークスペシャリストとデータベーススペシャリストは合格者数が多いので、比較的レア度は下がっています。同じレベル4の高度情報技術者試験の中でも、業務に関連する人が多くて人気の高い資格はみんなが受けるので必然的にトーダイ値(≒レア度)が低くなるってわけです。
それに、IPAの資格自体、あまり重要視しない人も多いんですよ。なにしろ、法曹資格とか医師免許とかと違って、独占業務があるわけでもないし、早起きしなきゃいけないし、資格を持っていても実務経験の方が物を言う世界だったりしますからね。この職業につくにはこの資格が必要!という観点でみると、危険物乙4(ガソリンスタンドとかで働くのに必要な資格です)とかにも負けてしまいます。
多分試験を受けに行っていないだけで、行けば受かるような人が結構いるんじゃないかなと思っています。いわば、 人気がないが故のこのレア度 だと。もしIPAの情報試験が人気になって、受ける人がどんどん増えれば、高度情報技術者試験ももう少し低いトーダイ値に(0.5とかそれくらい?)落ち着くんじゃないかなと思っています。
ていうか、今回のIPAの統計を見てもらえばわかるんですが、大体どの試験も志願者数からの受験者で7割8割に減ってるんですよね。 つまり、2,3割は会場にたどり着けずに終わっている ってこと。そんなに厳しいのか、午前起床試験……!
むしろ資格は流行ったほうがいい?
こんなことを考えていて、ふと思ったんですが、資格ってもしかして学歴より公平なんじゃないでしょうか?今の世の中新卒採用だと、学歴フィルタだなんだかんだってあるわけですけれども、例えば職種によっては「基本情報の資格を持っていること」ってしたほうがより本質的なんじゃないの。なんて思ったんですよ。どうなんでしょう?
当然資格だけでは本当に仕事できるのかなんてわかりませんけど、学歴だってそれは同じことだと思うんですよ。大卒の資格は結構お金がかかって、そのために奨学金制度とかあるわけですが、基本情報だと7500円、しかも春と秋の2回チャンスがあるわけで、より公平性が高いのではないでしょうか?
プログラミングスクールとかに通っている場合じゃねぇ!基本情報取るぞ!
まあ、人気のあるキラキラ業界とは違って、慢性的な人手不足に悩む側はそう注文つけられる場合でもないわけですが……来てもらえるだけありがたいし、来た人材を育てて資格取らせるほうが早かったりするわけなんですよね。
最後になりますが、もし採用活動に関わっている方、もし、DBスペシャリストの資格とか持っている人がふらっと現れたら、東大生レベルのレア人材が来たと考えてしっかりアピールした方がいいです。思ったよりそいつ貴重なレア人材だぜ!あと、うちのチームに是非ください。よろしくおねがいします。いや、マジで。本当に。