#本記事のまとめ
フライトシューティングゲーム前提のお話だが、同人ゲームを作ってみようと思ったら…
- 自分がなぜゲームを作ってみたいのか具体的な動機に落としこもう
- 誰に遊んでもらうか、ターゲット層を決めよう
- できれば、遊んでもらえる人を捕まえよう
- 開発は最小単位から、まず完成させて遊んでもらう
そうしないと、漠然とした曖昧なゲーム内容になったり、なんとなく開発が続いていつまでも完成しなかったりしちゃうぞ!
#はじめに、ゲーム作ってみようかな…と思ったら
フライトシューティングゲームを作ってみたいなぁ、と思った貴方。(え? 思ってない?)
思い立ったが吉日、すぐに作り始めよう!
……ってちょっと待った。モチベーションが冷めないうちにすぐ始めることには大賛成なのだけど。
漠然と作り始めると、なんだかよくわからないもやっとした内容になって、お蔵入りになりがち。なぜかって?
ゲームの製作者は、ゲームが完成するまでの間、様々な決断を迫られる。どれも好きに決めてよいものならば楽なのだが、技術的な制約、時間的な制約、金銭的な制約……いろいろな制約の中で、難しい判断をしなければならないことが何度も起きる。
そんなとき、なんとなくで方向を決めていくと、焦点のはっきりしない、何を楽しんだらいいかプレイヤーに伝わらないゲームになりがちだ。
そうした不幸な事態を避けるために、要点を押さえて、楽しく開発をしたい。
では、どんなことに気をつけたらいいだろうか。…まず最初に、あなたが「どうしたいか」を、漠然とした思いでなく、もう少し具体的な内容にしておくことが必要だ。
#動機を分析しよう。貴方は、まず何がやりたいのかな?
フライトシューティングゲームを作ってみたいと思った貴方は…何がやりたくて作りたいと思ったのだろうか?
ざっと、よくありそうな理由を書き出してみた。
- 有名フライトシューティングゲームが楽しくて、似たようなものを作ってみたいと思った。
- まだまだ飛び足りないので、違う地形や違う敵を相手にしたミッションを飛びたい。
- お話が楽しくて想像が膨らんだので、二次創作のお話や別のお話を作りたい。
- 私の好きなあの機体に乗れなかったので、乗れるミッションを作りたい。
- 有名フライトシューティングゲームを遊ぶ同好の仲間に、一泡吹かせてやりたい。
- あのゲームのあのミッション解くの楽しかったけど、こういう風にしたらもっと難しくなるんじゃないかなあ。
- 新しいミッションの仕掛けを思いついたぞ。解けるものなら解いてみんしゃい。
- 遊び友達が「俺超強くね?」と天狗になっているので、「死ぬが良い」したい。
- 面白い内容を考えたので、それを体験してもらう装置としてフライトシューティングゲームを使いたい。
- 面白いキャラとお話を考えたので、それを楽しんでもらいたいよ。
- 素敵な世界観を考えたので、その中で遊んで欲しいよ。
- カッコイイ飛行機を考えたから、それを使って飛んで欲しいよ。
- そのほか
あなたの動機はだいたいこのうちのどれか…多くは複数だろうけれども、まずは動機を具体的な内容として自覚することが大切だ。なぜなら、この項目が、あとで実際に開発するとき、「ゲームのどの要素をもっとも重視するか」に関わってくる。
あなたの持つ時間も、予算も、利用する開発環境の性能も、すべて限られている。その中で何を追求し、何を省略することでゲームを完成させるのか、あなたの持つモチベーションこそが、決断するときの道しるべになるのだ。
#ターゲット層を考えよう。誰に遊んでもらうのかな?
ゲームが出来上がったら、誰に遊んでもらいたいのだろう。ターゲット層をちょっと考えてみよう。これにはいろいろな軸がある。
- どの程度の広さ?
- あなた自身(自分で作り、自分だけが楽しむ。確かにそういう遊び方もあるでしょう)
- あなたの身の回りの友達
- それ以外…あなたの遊ぶゲームのファンクラスタ
- さらに広く
- どの程度の腕前?
- ジャンルに熟練したプレイヤーたち
- ジャンルを遊んだことがあるプレイヤー全体
- ジャンルに初めて触れるひとも含めてみんな
- どんな趣味嗜好?
- 現用機好き(さらに西側・東側・北欧・活躍時期などで分類ができる)
- レシプロ機好き(枢軸、連合などで分類できる)
- 架空機好き、SF志向
- そのほか
- どんな内容が好き?
- 真面目な戦争もの
- SFだ!
- コメディがいい
- ドラマなぞ不要、硬派に淡々と作戦をこなしたい
自分がどのあたりの領域に属していて(複数ということもあろう)、作ったゲームをどのあたりの趣味の人に楽しんでもらいたいのか? 考えておこう。難易度、世界観や設定を決めるときの参考になるし、どの範囲に遊んでもらいたいかは発表方法の選択にも関わってくるだろう。
まず完成させよう。…精神論じゃないぞ。
ゲーム製作というのは、とかく大変で時間のかかる作業が続くものだ。「すでにお話の筋書きも、作りたいミッションも決まっていたとしても、実際には手を動かさないと生まれない」からだ。
機体の製作、マップの製作、台本作成、ユニット配置、ゲーム進行スクリプト記述、バランス調整etc……あなたがゲーム製作を経験したことがないならば、想像以上に時間がかかるものだと思ったほうがいい。
その状態で、「よーし、30ステージからなる長編を作っちゃうぞー」と大上段に振りかぶって突撃していくと、まず間違いなく未完成のまま終わる。作業しても作業しても作業しても終わらず、完成せず、気になるところをいつまでも直し、いつしかモチベーションが薄れ、人生に忙しくなり、ついにはお蔵入りだ。
人生は短い。次の節目を迎えるまでなんて、あっという間に来てしまう。
短い期間で開発のモチベーションを維持し、未完成のままで終わることを回避するおすすめの開発方法はこれだ。
- お試しの状態ですぐに遊んでもらえる人を確保する→1面を試作したらすぐに遊んでもらう
- とにかく、小さい状態で遊べるよう完成させる→2面の台本の推敲・校正をするよりは1面を遊べるように調整して楽しめるようにする(複数人でのチーム作業ではスケジュールの都合もよく考えないといけないが)
ゲーム製作者にとって、自分のゲームを遊んでもらって「楽しかったよ」と感想をもらうこと、これが一番のモチベーションになる。すぐに試遊してくれる人が身近にいる、というのは、すぐに感想を聞けるという意味で、とても大きい。そればかりか、自分では気が付かず見過ごしていたミスや説明不足について、すぐに指摘がもらえる、というのも大きなメリットだ。(もちろん謙虚に聞ける姿勢がなければならない)
え? 1面を試作するだけでも難しくて力尽きそうだって?
そんなあなたは、まず「ゲームの要素として本当に最低限必要なもの」だけある状態を作ろう。
プレイヤー機がいて、敵が1機いる。倒せたらミッションクリアになるだけ。この状態のミッションを作り、徐々にいろいろな改良をちょっとずつ加えては一端遊んでもらえる状態にするのだ。
- 敵や味方を増やしてみる
- セリフを言わせてみる
- 開幕や終わりにイベントシーンを入れてみる
- ミッションの途中に幕間のイベントシーンが入り、ミッションオブジェクティブが変わるのを作ってみる
小さいとはいえ「遊べる状態の暫定完成品」が常時ある状態を維持しながら開発すると、何よりモチベーションが維持できるし、何か異常があっても調べるべき部分が小さいため調査と修正が簡単になるし、そもそも常時完成状態なのだから未完成病に陥らないし。いいことずくめなのだ。
いきなり大きな規模の作業を行うよりも、とにかく遊べる最小単位のものを作って改良・拡張していこう!