この記事はLITALICO Engineers Advent Calendar 2025 カレンダー4 の 15日目の記事です
はじめに
はじめまして!新卒2年目、株式会社LITALICOの@Pop_Shunです。
突然ですが、みなさんは「進捗管理」や「自己管理」に自信がありますか?
僕は……正直、ずっと苦手意識がありました。
(心の声) 💭
「日報、時間管理は後でまとめて書けばいいか……」
「予定より遅れてるけど、最終的に間に合えばいいよね?」
自分でも「自己管理力が足りてないな」とは薄々気づいていました。
でも、「まあ、なんとかなる」と甘えていました。
そんな今年のある日、上司との面談で、その甘えを見透かされたようなフィードバックをもらいました。
👨💻 上司
「マイクロマネジメントはしたくないし、君には裁量を持って自由に働いてほしい。
でも正直、今の進め方だと状況が見えなくて、安心して任せきれないんだ」
ハッとしました。
僕は「自由にやりたい」と思いながら、自由を得るための「説明責任(見せる化)」を果たしていなかったのです。
この記事は、そんな「隠れ進捗ズボラ」だった2年目エンジニアが、
「マネージャーが勝手に安心する仕組み」を作るために試行錯誤した、泥臭い改善の記録です。
1. なぜ「安心して任せられない」と言われたのか
当時の僕は、決して仕事をサボっていたわけではありません。
ただ、日々の業務に追われる中で、「進捗の可視化」の優先順位が著しく下がっていました。
進捗のブラックボックス化 📦
当時の僕の働き方は、マネージャーから見ると完全に「ブラックボックス」でした。
具体的には、以下のような状態です。
-
部署全体で取り組んでいる「時間管理」が止まっている ⏱️
- 毎日の稼働入力が途絶え、予実のズレが見えない状態
-
日報に進捗率がない 📉
- 「◯◯機能の実装」としか書かれておらず、あとどれくらいで終わるのか、順調なのかハマっているのかが不明
マネージャーから見れば、作業していることは分かっていても、「順調に進んでいるのか、実は何かにハマって苦戦しているのか」が外からは分からず、声をかけるべきか判断できない状態だったのです。
「報告」を「業務終了後の宿題」にしてしまっていた 📝
なぜこうなってしまったのか。
当時の僕は、報連相や記録を「仕事の流れ(プロセス)」の一部ではなく、「全て終わった後の事務作業」として捉えていました。
これが大きな落とし穴でした。
(心の声) 💭
「ふぅ、やっと今日の開発が終わった……」
「え、ここから細かい時間管理と日報? しんどいし、明日まとめて書こうかな……」
1日働いて頭も体も疲れている状態で、重たい「記録作業」を残してしまっている。
そうすると、当然のように「今日はいいや」という甘えが出ます。
その積み重ねの結果、記録は空白だらけになり、マネージャーに「状況が見えない」という一番のストレスを与えてしまっていることに、当時の僕は気づいていませんでした。
2. 戦略の転換:「管理される」から「安心させる」へ
「このままでは信頼を失う」
そう痛感した僕は、仕事の進め方を根本から見直すことにしました。
まず変えたのは、報連相に対する「スタンス」です。
これまでは「聞かれたら答える」「終わったら報告する」という受け身(守り)の姿勢でした。
しかし、それでは相手に「見えない不安」を与え続けてしまいます。
そこで、「聞かれる前に見せる」「見えすぎるくらい見せる」という攻めの姿勢に切り替えました。
目指したのは「マネージャーが勝手に安心する」状態
具体的には、会社で元々行われていた「時間管理」や「日報」への向き合い方を改め、さらに先回りのMTGを追加しました。
-
「未来を握る」先回りMTG 🤝
- 週2回のMTGを設定し、報告だけでなく未来の予定を合意する
-
「実態を証明する」リンク付き時間管理 🔗
- 詳細かつリンク付きにし、カレンダーと実態を紐づける
-
「思考と進捗が見える」構造化日報 🧭
- 「やったこと」だけでなく、進捗率や思考(KPT)を可視化する
ただの事務作業としてこなしていたツールを、チャットやログを見れば勝手に状況が把握でき、安心できる状態を作るためのツールへとアップデートする。
それが結果として、マネージャーの負担を減らし、チームとして円滑に仕事を進めるための土台になると考えたのです。
3. マネージャーが勝手に安心する「3つの見せる化」ハック
ここからは、僕が実際に取り組んだ具体的なアクションを紹介します。
特別な新しいツールを導入したわけではありません。「書き方」と「タイミング」を少し変えただけです。
3-1. 「未来を握る」先回りMTG 🤝
まず最初に行ったのは、「自分からMTGを設定すること」です。
これまでは「何かあったら相談する」「聞かれたら答える」というスポット的なコミュニケーションが中心でしたが、自分から定期的な枠を押さえに行きました。
- 頻度:週2回(月曜・金曜など)
- 時間:1回 15分〜30分
📝 具体的に話していること
単なる進捗報告だけでなく、中長期のスケジュール感も含めてすり合わせを行っています。
- 先週の振り返り(予定通り進んだか、何に時間を使ったか)
- 今週やることの共有(今週のゴール設定)
- 1ヶ月単位での予定の共有(現在持っているタスクをいつまでにやるか、デッドラインの確認)
- 課題相談(今ハマっていること、技術的な相談)
💡 こだわりポイント
この時間は、過去の報告だけでなく「未来の合意」のために使います。
- 「今週はここまで終わらせます」と宣言する
- 「この実装方針で進めますが、違和感ないですか?」と聞く
週の初めにこれを握っておくだけで、「思っていたのと違う」という手戻りがなくなり、お互いに安心して1週間を過ごせるようになりました。
3-2. 「実態を証明する」リンク付き時間管理 🔗
そもそも僕の所属する部署では、エンジニア全員が日々の稼働を記録する「時間管理」という取り組みを行っています。
これは単に数字を管理するためのものではありません。「品質をつくるための『正しい時間』で業務ができているか」を可視化し、健全な働き方を守りながらチームの「改善サイクル」を回していくための、非常に大切な仕組みです。
それなのに、以前の僕はこの大切な取り組みを単なる「業務終了後の事務作業」として扱っていました。
当然、仕事上がりはヘトヘトで「明日でいいか……」と後回しにしてしまい、結局、翌日などに記憶を頼りにまとめて書くことが多かったです。
その結果、内容も「◯◯機能の実装」といった粗い粒度になり、正確なリンクも貼れていませんでした。
そこで、「記録のための時間」を業務時間内に強制的に確保するため、毎日カレンダーに「日次振り返り」という予定を登録することにしました。 また、記録の中身についても、文字だけでなく「リンク1つで実態に飛べる」状態に変えました。
❌ Before(ダメな例)
(後日、記憶を頼りに記入)
10:00 - 11:00 問い合わせ対応
11:00 - 12:00 要件定義
13:00 - 16:00 実装
16:00 - 17:00 PRレビュー
17:00 - 19:00 テスト作成
書いてはいるものの、具体的にどこまで進んだのか、成果物がどこにあるのかは分かりません。
⭕ After(改善後の記入例)
10:00 - 11:00 〇〇に関する問い合わせ対応(SlackスレッドURL)
11:00 - 12:00 〇〇機能の要件マトリクス作成(スプレッドシートURL)
13:00 - 16:00 〇〇画面の実装(PRリンク #123)
16:00 - 17:00 メンバーのPRレビュー(PRリンク #456)
17:00 - 19:00 〇〇機能のテスト観点作成(スプレッドシートURL)
💡 こだわりポイント
-
カレンダーで「日次振り返り」の枠を確保する
- 毎日夕方に「日次振り返り」の時間をカレンダーに入れています。「終わってからやる」のではなく、「業務の一部」として時間をブロックすることで、書き漏らしや後回しがなくなりました
-
PRやスプレッドシートのURLを貼る(一次情報への誘導)
- 「進んでる?」と聞かれなくても、リンクを踏めばマネージャーが勝手にコードや仕様書を確認できます
- (自分へのメリット) 後から振り返った時に、「あの時の実装、どうしたっけ?」とすぐに該当のコードやドキュメントに辿り着けるので、自分自身の検索性も爆上がりしました
3-3. 「思考と進捗が見える」構造化日報 🧭
日報は、単なる「作業ログ」から、「自分の現在地と見通しを伝えるツール」へと変えました。
ダラダラ書くのではなく、項目を明確に分け、タスクには可能な限り「進捗率(%)」を併記します。さらに週末には振り返りを入れることで、マネージャーに安心感を提供します。
⭕ 実際のフォーマット例
## やること
* 会議系
* チーム定例
* 1on1
* タスク系
* 〇〇機能の実装(進捗:80%)
* △△のテストケース作成(完了)
* ××の調査(進捗:20% - ハマり中)
## 学んだこと
* 〇〇の仕様について(1日の中で学んだこと・新たにできるようになったことを記載する)
## 今週の振り返り(Good / More / Next)
* 良かった 😄
* 予定通り、〇〇のリリースまで完了できた
* もう少し 😇
* レビュー依頼を少し溜めてしまった
* 次に活かす 🚀
* まとめてやらず、毎日1件は消化するようにスケジュールを組む
## 次にやること
* 会議系
* チーム定例
* カジュアル面談
* タスク系
* 〇〇機能のPR修正
* 月次のテスト実施
💡 こだわりポイント
-
タスクに進捗率(%)や状態を書く
- 「順調です」という定性的な言葉だけでなく、「80%」「完了」「ハマり中」といった状態を具体的に併記します。これだけでマネージャーは「介入すべきか、任せていいか」を一瞬で判断できます
-
「タスク」と「会議」を分ける
- 以前は混ぜて書いていましたが、分けることで「純粋に手を動かしている時間」と「拘束時間」のバランスが可視化されました
-
Good / More / Next で振り返る
- 数字で表せない部分はここでカバーします。「More(反省)」や「Next(次どうするか)」を書くことで、「自分で課題に気づいて修正しようとしている姿勢」を見せることができます
おわりに
以前の僕は、報告や記録を「業務終了後に余力があればやる、面倒な宿題」程度にしか考えていませんでした。
だからこそ後回しにし、記憶頼りの適当な報告になってしまっていたのです。
しかし、今回の改善を通して、「自分の状況を正しく伝えること」こそが、チームで仕事をする上で何より大切だと痛感しました。
また、この取り組みを始めてから、以前言われたある言葉の意味がようやく腹落ちしました。
「仕事は『できる』から任されるんじゃない。『できそう(安心して任せられそう)』だから任されるんだよ」
いくら技術力があっても、中身が見えないブラックボックスの状態では、危なっかしくて「任せよう」とは思ってもらえません。
「見せる化」こそが、信頼を手に入れる最短ルートだったのです。
もし同じように「進捗管理が苦手だな」と感じている方がいたら、
まずは自分から「見えすぎるくらいの見せる化」を試してみてください。
きっと、景色が変わるはずです!
明日のアドベントカレンダー16日目は、
- @R-Tsukada さん
- @k_kamon さん
- @seki_n さん
- @hemm さん
です!是非明日の記事も楽しんでいってください!