はじめに
Qiita アドベントカレンダー2025へようこそ!
前回はセキュリティ設定で防御力を高めました。今日はAWSの「ネットワーク構築」を行います。
AWSを学習し始めて最初にぶつかる壁が VPC (Virtual Private Cloud) です。
「サブネット?」「ルートテーブル?」「0.0.0.0/0って何?」と混乱した経験はありませんか?
本日は、これらを「家の住所と道路」に例えて、直感的に理解し、実際にコンソールで作ってみます。
1. VPCとは?(土地を買う)
VPCは、クラウドの中に確保する「自分専用のプライベートなネットワーク空間」です。
現実世界で言えば、「家を建てるための広大な土地を買う」ことに相当します。
この土地の広さを決めるのがCIDRブロックです。
VPCには、「この土地の中で、どれくらいの住所(IPアドレス)を使えるか」という「広さ」を決める必要があります。
2. サブネットとは?(区画整理する)
広大な土地(VPC)を買っても、そのままでは管理しきれません。
そこで、用途ごとに「区画整理(サブネット化)」を行います。
AWSには アベイラビリティゾーン (AZ) という物理的に離れたデータセンター群があります(東京なら ap-northeast-1a, 1c, 1d など)。
サブネットは必ずどれか一つのAZに所属させる必要があります。
パブリックサブネット: インターネットから直接アクセスできる区画(Webサーバーなど)。
プライベートサブネット: インターネットから直接アクセスできない区画(DBサーバーなど)。
3. インターネットゲートウェイとルートテーブル(玄関と地図)
区画を作っただけでは、外(インターネット)とは繋がりません。
ここで登場するのがインターネットゲートウェイとルートテーブルです。
インターネットゲートウェイ:
家の 「玄関」 です。これがないと外に出られません。
VPCに1つだけアタッチできます。
ルートテーブル:
データの行き先を決める 「地図」 です。
「インターネットに行きたいなら、Internet Gatewayを通ってください」というルールを書きます。
パブリックとプライベートの違い
サブネット自体に「パブリック」や「プライベート」という設定項目はありません。
「Internet Gatewayへのルート(道)を持っているルートテーブルが関連付けられているかどうか」で決まります。
Internet Gatewayへの道がある = パブリックサブネット
Internet Gatewayへの道がない = プライベートサブネット
ハンズオン:自分だけのVPCを作ってみよう
それでは、コンソールから実際に作ってみましょう。
Step 1: VPCの作成
VPCコンソールを開き、左メニューの [お使いの VPC] -> [VPC を作成]。
[VPC のみ] を選択。
名前: HandsOn-vpc
[VPC を作成] をクリック。
Step 2: サブネットの作成
左メニュー [サブネット] -> [サブネットを作成]。
VPC ID: 先ほど作った my-handson-vpc を選択。
サブネット 1:
名前: public-subnet-1a
アベイラビリティゾーン: ap-northeast-1a (東京の場合)
IPv4 サブネット CIDR ブロック: 10.0.1.0/24

[サブネットを作成]。
Step 3: インターネットゲートウェイの作成とアタッチ
左メニュー [インターネットゲートウェイ] -> [インターネットゲートウェイの作成]。
作成後の画面(またはアクション)から [VPC へアタッチ] を選択し、HandsOn-vpc にアタッチする。

Step 4: ルートテーブルの作成と関連付け
左メニュー [ルートテーブル] -> [ルートテーブルを作成]。
名前: public-route-table、VPC: HandsOn-vpc -> 作成。
作成後、[ルート] タブ -> [ルートを編集]。
ルートを追加:
送信先: 0.0.0.0/0 (全世界=インターネット)
ターゲット: インターネットゲートウェイ (選択肢から HandsOn-igw を選ぶ)

[変更を保存]。
[サブネットの関連付け] タブ -> [サブネットの関連付けを編集]。
これで、「インターネットに繋がる道」が開通したサブネットを完成しました!
まとめ: 今日のToDoリスト
カスタムVPC (10.0.0.0/16) を作成した
パブリックサブネットを作成した
IGWを作成してVPCにアタッチした
ルートテーブルを作成し、0.0.0.0/0 をIGWに向けた
サブネットをルートテーブルに関連付けた
これで土地と道路の整備は完了です。
次回は、いよいよこの土地の上に家(サーバー)を建てます。
「EC2の選び方と立ち上げ方」 です。お楽しみに!


