制御工学を学習していると登場するPade近似について調べたのでまとめます。
Pade近似とは
Pade近似は、ある関数を有理関数(分子と分母が多項式である関数)で近似する手法です。特に関数の振る舞いが複雑な場合や、マクローリン展開が収束しない場合に有用です。
一般に$f(x)$のn次のPade近似は以下で表現されます。
f(x) \cong \frac{a_0 + a_1 x + a_2 x^2 + \cdots + a_n x^n}{1 + b_1 x + b_2 x^2 + \cdots + b_n x^n}
例(指数関数の1次Pade近似)
今回は、$e^x$の1次のPade近似について考えます。
$f(x)$のマクローリン展開は以下で表現されます。
f(x) = f(0) + f'(0)x + \frac{f''(0)}{2!}x^2 + \frac{f'''(0)}{3!}x^3 + \cdots
よって、$e^x$をマクローリン展開すると、
e^x = 1 + x + \frac{x^2}{2!} + \frac{x^3}{3!} + \frac{x^4}{4!} + \cdots \tag{1}
ここで、$e^x \cong \frac{bx+c}{ax+1}$とし、マクローリン展開すると
\frac{bx+c}{ax+1} = c+(b-ca)x -a(b-ca)x^2 + a^2(b-ca)x^3 + \cdots \tag{2}
(1), (2)を2次の項まで係数比較すると
c=1, b-ca = 1, -a(b-ca) =\frac{1}{2}
よって、
a=-\frac{1}{2},b=\frac{1}{2},c=1
以上より、
e^x \cong \frac{\frac{1}{2}x+1}{-\frac{1}{2}x+1}