はじめに
IoTや組み込みシステムの現場では、Ethernetだけでなく電源供給も必要な場面が多くあります。
特に**PoE(Power over Ethernet)**が使えれば、LANケーブル一本でデータと電力を同時に伝送でき、とても便利です。
今回紹介するのは、そんなEthernet通信と電源供給を、コンパクトにまとめたいというニーズにぴったりなモジュール、PP-W5500-POEです。

製品概要
PP-W5500-POEは、WIZnetのW5500 Ethernetチップをベースに、IEEE 802.3af規格のPoE機能を搭載した、小型のEthernetモジュールです。
- 最大8Wの電力供給が可能なPoE対応(Mode A / B)
- 入力電圧範囲:40 VDC ~ 60 VDC
- 過電圧・過電流保護回路、2 kVrmsの絶縁仕様で産業用途にも対応
- 高効率DC/DC変換による安定供給・過熱抑制
- W5500チップにより、TCP/UDP/ICMP/IPv4/ARP/IGMP/PPPoEなどのハードウェア対応
- 最大8ソケット同時通信、32 KBのバッファメモリ搭載
- SPIでの高速通信対応(SPIモード 0, 3)
- 10/100 Mbps Ethernet PHY内蔵、Auto Negotiation対応、フル/半二重対応
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LDOによる5V・3.3V出力とステータスLED(LINK/Action/Speed/Duplex)搭載
実際のユースケース例
このモジュールは以下のようなシーンで特に効果を発揮します:
- デジタルサイネージや小型監視カメラなど、LANケーブルだけで通信と給電を完結させたい機器
- スマートセンサーや環境モニタリング機器に電源ケーブルの配線を削減したい場合
- 調査ボードや屋外設置機器で、電源ラインが確保しにくい場所への配備
PoE対応により配線がシンプルになり、設置の自由度が大幅に向上します。
使いやすさと技術面の魅力
特に優れている点は以下の通りです:
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配線の簡略化
- LANケーブル1本で通信も電源も確保できるため、設置作業の手間が劇的に軽減されます。
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堅牢で安定した動作
- 過電圧/過電流保護・高い絶縁性能・効率の良いDC/DC変換により、産業環境でも安心して使用可能です。
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豊富な通信機能
- W5500チップによるネットワーク機能対応と、8ソケット同時通信に対応した設計で、幅広いアプリケーションを想定できます。
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モジュールとしての柔軟性
- LDOによる電源供給、SPIインターフェース、ステータスLEDなどが組み込まれており、ユーザーのカスタマイズ用途にも適しています。
まとめ
PP-W5500-POEは、Ethernet通信と電力供給を同時に、安定して行えるモジュールです。
配線を簡素化したいIoT機器や埋め込み機器、屋外装置など、多様な応用のニーズにマッチします。
- デジタルサイネージや監視カメラなど屋外機器に
- 煩雑な配線工事を省略したい工場設備に
- コンパクト設計ながら高機能・高堅牢性を求めるスマートデバイスに
等々、PoE込みで機器をシンプルに構築したい全ての場面で役立つ製品です。