この記事で得られること(合格ライン)
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codex --versionが表示できる -
codexを起動して /status で状態を読める - /approvals の「Yes / Always / No」を正しく使い分けられる
- /model で GPT-5-Codex と Reasoning Effort(思考の深さ) を選べる
- (任意)/init で AGENTS.md(行動ルールのメモ)を作れる
Codex CLI はローカルで動くコーディングエージェント。Rust 製で軽く、ターミナルからファイル編集やコマンド実行まで行えます。公式は macOS/Linux を正式サポート、Windows は WSL の利用が推奨です。(OpenAI Developers) (OpenAI Developers)
はじめに(つまずきの正体)
最初に戸惑うのは、起動直後に出る 承認(Approval) ダイアログと、何が許可されて何がブロックされているのかが見えづらい点です。Codex は安全設計のため、作業フォルダ外の操作やネットワークアクセスに承認を要求します。既定モードは “auto” で、ワークスペース内の読み・編集・コマンド実行は自動許可、外部やネットは確認が入ります。(OpenAI Developers)
前提と環境(Windows+WSL2)
- Windows は WSL2 を推奨。Linux 互換のシェル・権限・サンドボックスが使え、Codex の設計と相性が良いです。(OpenAI Developers)
- WSL 側で Node.js と npm を入れ、
npm -gで Codex CLI を導入します。(OpenAI Developers) - 公式のサポート状況・導入コマンドは Codex CLI Overview と Windows ガイド を基準にします。(OpenAI Developers) (OpenAI Developers)
手順(コピペOK|一言解説付き)
# 0) WSL を入れて Ubuntu 起動(未導入なら)
wsl --install
wsl
# 1) Node.js を入れる(nvm 経由を推奨)
curl -o- https://raw.githubusercontent.com/nvm-sh/nvm/master/install.sh | bash
# 新しいシェルで:
nvm install 22
# 2) Codex CLI をインストール(公式)
npm install -g @openai/codex
# 3) 版数を確認(数値が出ればOK)
codex --version
# 4) 起動(TUI:ターミナルUI)
codex
# ↑ ここからは画面内コマンド(行頭に / を付けて入力)
# 5) 状態確認
/status
# 6) 承認ポリシーを整える(まずは安全寄り)
/approvals
# Workspace内の編集/コマンドは許可、ネットは "Allow once" 推奨
# 7) モデルと思考の深さを選ぶ
/model
# 例: GPT-5-Codex / Reasoning Effort: Medium→High(後述)
# 8) (任意)行動ルールの雛形を作る
/init
- インストールと起動コマンドは公式が案内する手順に準拠しています。(OpenAI Developers) (npm)
/status の読み方
/status は 承認モード・ネット可否・作業フォルダ といった安全と実行環境の要点を一枚で見せます。動かない時は、どのゲートが閉まっているかを先に特定しましょう。承認モードの既定は auto、ネットは承認が必要です(後述の /approvals とセットで理解)。(OpenAI Developers)
/approvals:Yes / Always / No の正解
- Yes:今回だけ許可
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Always:このセッション中は常に許可(あとで
/approvalsから Revoke で取り消し可) - No, provide feedback:拒否して理由メモ
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推奨の初期運用:ワークスペース内の編集・コマンドは自動許可、ネットワークは “Allow once”(必要な時にだけ都度許可)。
理由:外部アクセスは影響範囲が広いので徐々に緩めるのが安全だから。Codex の承認モードとネットの扱いは公式ドキュメントでも明記されています。(OpenAI Developers) (OpenAI Developers)
補足:CLI の approval_policy / sandbox_mode は
~/.codex/config.tomlで細かく制御できます(例:approval_policy="on-request"、sandbox_mode="workspace-write")。(OpenAI Developers)
/model:モデルと Reasoning Effort(思考の深さ)
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モデル:GPT-5-Codex を推奨(エージェント的なコーディング用途に最適化)。デフォルトは GPT-5 で、
/modelで切り替えできます。(OpenAI Developers) - Reasoning Effort:Low / Medium / High で「どれだけ深く考えるか」を指定。高いほど精密・ただし時間増。API ガイドの reasoning.effort と同義の概念です。(OpenAI Developers) (OpenAI Platform)
例:状況別の選び方
- 「ファイルの一括置換や軽作業」→ Medium
- 「設計のすり合わせ・リファクタ・テスト修復」→ High
- 「ログ整形や抽出など決定的処理」→ Low/Minimal(Cookbook 例も参照)(OpenAI Cookbook)
よくある“詰まり”と即効薬
A:codex: not found
原因:PATH 未設定または導入失敗
対処:npm i -g @openai/codex をやり直し → codex --version で確認。(npm)
B:Permission denied (os error 13)
原因:ネットワークアクセスがブロック
対処:/approvals で Web/Network を Allow once。(OpenAI Developers)
C:Windows で動きが重い/不安定
原因:/mnt/c 上で動かしている、WSL のメモリ/更新不足 など
対処:WSL の Linux ホーム配下(例 ~/code/...)にリポジトリを置く、wsl --update 後に wsl --shutdown。(OpenAI Developers)
まとめチェックリスト(貼って使える)
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codex --versionが数値で返る -
codex起動 →/statusの意味がわかる -
/approvalsで Yes / Always / No を安全に使い分け -
/modelで GPT-5-Codex と Reasoning Effort を選択 -
(任意)
/initで AGENTS.md を作成し、禁止事項と実行手順を明文化(チーム運用に効きます)
一言辞書(本文で使った用語)
- TUI:Terminal User Interface。ターミナル上で動くUI。
- Approvals(承認):危険になり得る操作の前にユーザーに確認を求める仕組み。モードは Read Only / auto / Full Access。(OpenAI Developers)
- Workspace:Codex が自動操作してよい作業フォルダ。既定はここに限定。(OpenAI Developers)
- Reasoning Effort:出力前にどれだけ「考える」かの指標(Low/Medium/High)。(OpenAI Platform)
参考リンク
- Codex CLI Overview:導入・Windows は WSL 推奨、/model 推奨(GPT-5-Codex)、承認モードの概要。(OpenAI Developers)
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Config(
~/.codex/config.toml):approval_policy / sandbox / reasoning_depth など主要オプション。(OpenAI Developers) -
Windows ガイド:WSL 導入・
/mnt/cを避ける・更新手順。(OpenAI Developers) -
Reasoning ガイド(API):
reasoning.effortの概念・使いどころ。(OpenAI Platform) - GitHub リポジトリ:README(Quickstart / CLI 使い方)・Releases。(GitHub)
類似/参考(比較・トレンド把握用)
- Qiita「OpenAI Codex CLI のクイックスタートを試してみた」(Qiita)
- Zenn「Codex CLIを使いこなすための機能・設定まとめ」(Zenn)
- Qiita「Codex CLI 完全ガイド:全オプション徹底解説」(Qiita)
おまけ:本文に沿った AGENTS.md 最小例(/init 後に貼り替え)
# AGENTS.md(最小例)
- 目的: このフォルダ内の定型タスクを **安全に自動化**
- 禁止: 秘密情報の外部送信/破壊的操作の無承認実行/Workspace外の無断編集
- 承認: Workspace=自動、ネット=都度(Allow once)。必要に応じて /approvals で Revoke
- 手順: 説明 → 提案 → 承認 → 実行(4段階)
- 出力: 実行前に **差分/コマンド** を箇条書き+一言解説で提示
付録:コマンド一覧(初心者向けの意味つき)
| コマンド | 何をする? | 例・ヒント |
|---|---|---|
npm i -g @openai/codex |
Codex CLI をグローバル導入 | 失敗したら管理者権限/ PATH を確認 |
codex --version |
版数表示(導入確認) | 数字が出ればOK |
codex |
TUI を起動 | 画面内では /status などのスラッシュコマンド |
/status |
承認モード・ネット可否・作業フォルダを表示 | 困ったらまずこれ |
/approvals |
自動許可の範囲を設定 | ネットは最初 Allow once 推奨 |
/model |
モデルと Reasoning Effort を選択 | GPT-5-Codex / Medium→High |
/init |
AGENTS.md の雛形を生成 | チーム運用の安全網になる |
(/status・承認モード・モデル推奨などの仕様は公式ドキュメントに基づきます。)(OpenAI Developers)