背景
Facebookは2018年の前半頃から、水面下で独自のブロックチェーンとそれを用いたグローバルコインを開発していた。
2019年6月18日(昨日)、公式ページとともにホワイトペーパーが公開された。
公式ホワイトペーパー
(日本語:https://libra.org/ja-JP/white-paper/#introduction)
(英語:https://libra.org/en-US/white-paper/)
他のブロックチェーンとの比較
初めに、Facebookが開発した独自のブロックチェーンということで、すでに公開されている他のブロックチェーンとの比較を行う。 (決済のベンチマークとして、VISAの列も用意した。)
最大の特徴は、Libraコインが、通貨バスケット型を採用しており、法定通貨等の裏付けが取れているため、他の暗号通貨のように大きな価格変動が起こらないという点だ。
この点、決済で広く使われることを目的としていることが汲み取れる。
Libraブロックチェーン の特徴
以下ホワイトペーパーの内容を搔い摘んで記載する。
Move
- スマートコントラクトの開発には、新しい言語Moveを採用
- これまで発生したセキュリティのリスクを抑えて開発がしやすいように作り出された言語
匿名性
- LIbraブロックチェーン には匿名性がある
- ユーザーは複数のアドレスを保持することができる
Libraの方向性
ミッション
「多くの人々に力を与える、シンプルで国境のないグローバルな通貨と金融インフラになる」
- 銀行を持たない人々(世界人口の31%)に金融サービスを提供
- 労働の成果を自分でコントロール
- グローバルに、オープンに、瞬時に、かつ低コストで資金を移動 → 経済機会の増加
- グローバル通貨と金融インフラを公共財として統治
- 既存通貨と共存することが目標
マイルストーン
- 20190618 公式サイト、ホワイトペーパー、テストネット公開
- 2020年前半にメインネットリリース
- 2025年までにパブリックチェーンとして公開することを予定
ユースケース
- 銀行を持たない人々(世界人口の31%)に金融サービスを提供
- WhatsApp, Messengerで利用可能
- 海外で働く人が祖国の家族に簡単に送金
リザーブの仕組み
資金源
- 投資トークンの投資家(私募)
- Libraユーザー(ユーザーは、法定通貨と等価のLibraを購入してリザーブする)
インセンティブ
- 創立者
- 協会が創立者へのインセンティブをLibraコインで支払う
- ユーザー
- ユーザーはリザーブからの利益を受け取らない
- Libra
- LIbraはリザーブを資産運用し、利子を生み出す
- 利子は運営費用(エコシステムの拡大、NGOへの助成、エンジニアへの資金提供)に利用される
- 裏付け資産
- 安定して信用のある中央銀行が発行する通貨や公債
- 法定通貨のバスケットに結び付けられる
- リザーブの管理
- 協会に認定された再販業者のみが大量の法定通貨とLibraをリザーブに出し入れできる
- 認定再販業者は、ユーザーを相手に暗号通貨を売買する取引所やその他の期間と統合
- 現金とLibraの交換を希望するユーザーは認定再販業者を利用
- コインの発行と焼却
- 認定再販業者からの需要に応じてのみ行われる
- 協会の価格調整についてユーザーが懸念する必要はない
- 取引所への上場
- 電子取引所への上場を促進
- 主な暗号通貨交換業者や金融機関が認定再販業者として取引する(話し合い中)
- ポリシー
- バスケット内の中央銀行のポリシーを継承
- Libraの利用方法
購入方法
- Libraを取り扱う取引所で購入
- Libraブロックチェーン を基盤とするアプリケーション(デジタルウォレット・その他の金融商品・金融サービス)で購入
#Libra協会
- 独立、非営利、メンバー制
- 本部:スイスのジュネーブ
創立者
-
決済:Mastercard, PayPal, PayU (Naspers' fintech arm), Stripe, Visa
-
テクノロジー・マーケットプレイス:Booking Holdings, eBay, Facebook/Calibra, Farfetch, Lyft, Mercado Pago, Spotify AB, Uber Technologies, Inc.
-
電気通信:Iliad, Vodafone Group
-
ブロックチェーン:Anchorage, Bison Trails, Coinbase, Inc., Xapo Holdings Limited
-
ベンチャーキャピタル:Andreessen Horowitz, Breakthrough Initiatives, Ribbit Capital, Thrive Capital, Union Square Ventures
-
非営利組織、多国間組織、学術機関:Creative Destruction Lab, Kiva, Mercy Corps, Women's World Banking
2020年までの課題
- APIとライブラリの文書化
- プロトコルのテストから、ウォレットや取引所と連携したフルスケールテストまでの実施
- 地理的に分散調査された管理者からなるリザーブのグローバル管理機関を設立
- Libra協会評議会を約100の多様なメンバーへ拡大
以上、ざっと一通り概要をまとめました。
次は技術解説ページ https://developers.libra.org/
をまとめる予定です。