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【Part1】Azure OpenAI Serviceを使ってみた!基本から環境構築まで

Last updated at Posted at 2025-10-31

2025年10月現在、OpenAIの強力なGPTモデルをAzure環境で使える「Azure OpenAI Service」がめちゃくちゃ便利です。
この記事では、Azure OpenAI Serviceって何?というところから、実際に環境を構築するまでを解説していきます。

シリーズ構成

  • Part1:基本知識と環境構築(本記事)
  • Part2:実際の使い方とプロンプトのコツ
  • Part3:セキュリティと運用のベストプラクティス

Azure OpenAI Serviceとは

Azure OpenAI Serviceは、OpenAIが開発した強力なAIモデルをAzure上で使えるマネージドサービスです。
簡単に言うと、「ChatGPTをもっと安全に、企業向けに使えるようにしたサービス」といった感じです。

使えるモデル(2025年10月時点)

2025年になって、かなりモデルのラインナップが充実してきました:

GPT-5シリーズ(最新!)

  • GPT-5 Pro / GPT-5 / GPT-5 Codex:制限付きアクセス(申請が必要)
  • GPT-5 mini / GPT-5 nano / GPT-5 chat:申請不要で使える

GPT-4.1シリーズ

  • GPT-4.1:100万トークンのコンテキストウィンドウ(めっちゃ長い文章を扱える)
  • GPT-4.1 nano:軽量版

GPT-4oシリーズ(現在の主力)

  • GPT-4o:テキスト、画像、音声をまとめて処理できるマルチモーダルモデル
  • GPT-4o mini:コスパ重視の軽量版

推論特化モデル

  • o3 / o4-mini / o3-mini:複雑な数学やプログラミングに強い
  • o1シリーズ:科学・数学・コーディングの難問解決に特化

その他

  • GPT-4 Turbo with Vision:画像理解ができる
  • GPT-3.5 Turbo:軽量でコスパ良し
  • Embeddings:検索やレコメンドに使える
  • GPT-image-1(DALL-E 3の進化版):画像生成
  • Whisper:音声認識
  • テキスト読み上げ:音声合成
  • Sora:動画生成(プレビュー)

できること

  • 文章の生成・要約
  • 画像の理解と説明
  • コード生成・デバッグ
  • セマンティック検索(意味で検索)
  • 音声認識・音声合成
  • 画像・動画生成

アクセス方法

  • REST API
  • Python/C#/JavaScript/Java/Go SDK

Azure OpenAI vs ChatGPT:何が違うの?

よく聞かれるんですが、「ChatGPTと何が違うの?」という質問。基本的には同じモデルを使ってるんですが、いくつか重要な違いがあります。

Azure OpenAIのいいところ

  1. セキュリティが段違い

    • プライベートネットワークで接続できる
    • Azure AD(Entra ID)で認証管理
    • データを好きなリージョンに配置できる
    • 超重要:データはMicrosoftのモデル学習に使われない
  2. 安心安全な機能

    • コンテンツフィルタリングが標準で入ってる
    • 有害なコンテンツを自動でブロック
    • カスタマイズもできる
  3. 日本で使える

    • 日本のデータセンターでホスティング可能
    • データを日本国内に置ける(法規制対応)
    • レスポンスが速い
  4. 他のAzureサービスと連携しやすい

    • Azure Monitorで監視
    • Azure Policyでガバナンス
    • 他のサービスとスムーズに統合

APIの互換性

Azure OpenAIとOpenAIのAPIは互換性があるので、エンドポイントURLと認証方法を変えるだけで移行できることが多いです。

検証環境

今回はこんな環境で試してみました:

  • Azureサブスクリプション:共同作成者権限以上あればOK
  • リージョン:東日本(Japan East)
  • デプロイモデル:GPT-4o
  • アクセス方法:Azure AI Foundryポータル + REST API

※ネットワーク周りは作成済みということで、今回は割愛します。

事前に知っておくべきこと

Azure OpenAI Serviceを使う前に、いくつか確認しておきたいことがあります。

制限付きアクセスについて

GPT-5シリーズやo3など、一部のモデルはMicrosoftの承認が必要です。
申請はこちらから。

リージョンによって使えるモデルが違う

これ、めっちゃ重要です!

2025年10月時点で、日本リージョン(東日本・西日本)では以下のような状況です:

日本リージョンで使えるモデル(標準デプロイ)

  • GPT-4o:使える!
  • GPT-4 Turbo:使える!
  • GPT-3.5 Turbo:使える(ただし段階的に廃止予定)
  • Embeddings:使える

日本リージョンで制限があるモデル

  • o1 / o3シリーズ:まだ未対応(グローバル標準デプロイなら使える)
  • GPT-5シリーズ:制限付きアクセス + リージョン制限あり

最新の情報は公式ドキュメントで確認してください。

デプロイの種類について

Azure OpenAIでは、いくつかのデプロイ方式があります:

  1. 標準(リージョン):従量課金で使える。日本リージョンOK
  2. グローバル標準:世界中のデータセンターから最適なところを自動選択。日本リージョン指定は不可
  3. プロビジョニング済み:事前に処理能力を確保。安定したパフォーマンスが必要なら
  4. グローバルバッチ:大量のデータを一括処理。リアルタイム性は不要な場合に

その他の注意点

  • トークン制限:各モデルに処理できる最大トークン数がある
  • レート制限:1分あたりのトークン数(TPM)とリクエスト数(RPM)に制限がある
  • クォータ管理:サブスクリプションとリージョンごとに上限がある

では、実際に作っていきましょう!

Azure OpenAIリソースの作成

まずは、Azure OpenAI Serviceのリソースを作ります。

Azure Portalから作成

  1. Azure Portalにログイン

  2. 「リソースの作成」をクリック

  3. 「Azure OpenAI」を検索して選択

  4. 以下を入力:

    • サブスクリプション:使いたいサブスクリプション
    • リソースグループ:新規作成か既存のものを選択
    • リージョン:東日本(Japan East)がおすすめ
    • 名前:わかりやすい名前(例:my-openai-resource)
    • 価格レベル:Standard S0
  5. 「ネットワーク」タブでアクセス方法を選択

    • すべてのネットワークから(開発・テスト用)
    • 選択したネットワークのみ(本番用)
  6. 「確認および作成」→「作成」

数分待てばリソースができます。

CLIで作成する場合(参考)

az cognitiveservices account create \
  --name my-openai-resource \
  --resource-group myResourceGroup \
  --location japaneast \
  --kind OpenAI \
  --sku S0 \
  --subscription mySubscription

モデルをデプロイする

リソースを作っただけでは、まだAPIを使えません。使いたいモデルをデプロイする必要があります。

Azure AI Foundryでデプロイ

  1. 作成したAzure OpenAIリソースを開く

  2. 「概要」ページで「Azure AI Foundryに移動」をクリック

  3. 左メニューから「デプロイ」を選択

  4. 「+ デプロイの作成」→「モデルをデプロイする」

  5. モデルを選択(例:gpt-4o)

  6. デプロイ設定:

    • デプロイ名:gpt-4o-deployment(好きな名前でOK)
    • モデルバージョン:最新版がおすすめ
    • デプロイタイプ:標準
    • TPM(1分あたりのトークン数):10K(後で調整できる)
  7. 「デプロイ」をクリック

デプロイが完了したら、一覧に表示されます。

TPMって何?

TPM(Tokens Per Minute)は、1分間に処理できるトークン数のことです。
これによって、どれくらいの処理能力があるかが決まります。

  • 開発・テスト:10K TPMで十分
  • 本番環境:30K〜240K TPM以上を推奨
  • 不足すると429 Too Many Requestsエラーが出る

クォータの範囲内で設定できます。足りなくなったら増やせます。

プレイグラウンドで試してみる

デプロイできたら、まずはプレイグラウンドで動作確認してみましょう。

Chatプレイグラウンドで遊んでみる

  1. Azure AI Foundryで「プレイグラウンド」→「チャット」を選択

  2. 「デプロイ」で作成したデプロイメントを選択

  3. システムメッセージを設定(例:「あなたは親切なAIアシスタントです」)

  4. パラメータを調整:

    • Temperature:0.7(創造性のレベル。0-2)
    • Max response:800(最大トークン数)
    • Top P:0.95(サンプリング制御)
    • Frequency penalty:0(繰り返しの抑制)
    • Presence penalty:0(トピックの多様性)
  5. チャットボックスに質問を入力

例えば:

ユーザー:Azureって何?簡単に教えて

アシスタント:Azureは、Microsoftが提供しているクラウドサービスです。
サーバーやデータベース、AI機能など、いろいろなサービスが200個以上も
用意されていて、企業や開発者がシステムを作ったり運用したりするのに
便利なプラットフォームです。

プレイグラウンドの便利機能

  • Few-shot例を追加:例を見せて学習させる
  • コードビュー:実際のAPI呼び出しコードを確認できる
  • パラメータの調整:リアルタイムで変更して試せる

まとめ(Part1)

Part1では、Azure OpenAI Serviceの基本と環境構築について解説しました。

押さえておきたいポイント

  1. Azure OpenAI Serviceの特徴

    • エンタープライズレベルのセキュリティ
    • データはモデル学習に使われない
    • 日本リージョンでホスティング可能
  2. リージョンとモデルの関係

    • 日本リージョンではGPT-4o、GPT-4 Turboが使える
    • 最新モデル(GPT-5、o3など)は制限あり
  3. デプロイの流れ

    • リソース作成 → モデルデプロイ → プレイグラウンドで確認

次回予告

Part2では、実際にAPIを使った開発方法や、プロンプトエンジニアリングのコツ、トークンとコストの管理について詳しく解説します!
【Part2】Azure OpenAI Serviceを使ってみた!実践的な使い方とプロンプトのコツ

参考リンク

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