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[Microsoft Ignite 2025 参加レポート] AIエージェント時代の幕開け - Microsoft Agent 365とAgentic AIの衝撃

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はじめに

2025年11月18日〜21日、サンフランシスコで開催されたMicrosoft Ignite 2025に参加しました。今年のIgniteのキーワードは明確に「Agentic AI(自律型AI)」でした。単なるAIアシスタントではなく、人間の指示を待たずに自律的にタスクを実行する「エージェント」が、企業のワークフローの中心に据えられる時代が始まっています。

この記事では、基調講演で発表された主要なトピックを簡潔にまとめます。

Microsoft Ignite 2025の会場風景とキーノートの様子
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Microsoft Agent 365 - AIエージェントの包括的管理

発表内容

MicrosoftはIgniteで「Microsoft Agent 365」を発表しました。組織内のあらゆるAIエージェントを一元的に管理するための新しいプラットフォームです。

主な機能

1. エージェントレジストリ

  • 組織内のすべてのAIエージェントを可視化
  • Microsoft製、サードパーティ製、オープンソース製を問わず一覧表示
  • 「シャドウエージェント」(無許可で稼働しているエージェント)の検出

2. アクセス制御

  • エージェントごとに必要最小限のリソースアクセスを設定
  • リスクベースの条件付きアクセスポリシー
  • エージェントによる侵害を防止

3. 統合管理

  • Microsoft 365管理センターから一元管理
  • ID、ポリシー、オブザーバビリティ、セキュリティの統合

なぜ重要なのか

従来、IT部門はユーザーとデバイスを管理していました。AIエージェントが業務の至る所に組み込まれる時代では、「誰が何にアクセスできるか」だけでなく、「どのエージェントが何にアクセスできるか」も管理する必要があります。

Microsoft Agent 365は、この新しい課題に対応するための包括的なソリューションとして位置づけられています。

Microsoft Agent 365の管理画面イメージ
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Work IQ - インテリジェンスレイヤーの登場

Work IQとは

Work IQは、Microsoft 365 Copilotと連動する新しい「知能レイヤー(Intelligence Layer)」です。メール、会議、ファイルから重要な情報を自動的に抽出し、パーソナライズされたインサイトを提供します。

主な特徴

  • コンテキスト理解: ユーザーの業務内容、優先事項、関係者を理解
  • プロアクティブな提案: ユーザーが尋ねる前に必要な情報を提示
  • 音声対応: 「Hey, Copilot」で起動し、音声で対話可能

実践例

  • 会議の前に関連資料と過去の議論内容を自動でまとめる
  • メールの優先順位を自動判定し、重要なものを通知
  • プロジェクトの進捗状況を複数のソースから統合して報告

実際に使ってみると、情報の検索時間が大幅に削減できそうだなと感じました。

Windows 11 - AIエージェントのプラットフォームへ

タスクバーからのエージェント呼び出し

Windows 11に「Ask Copilot on the taskbar」(プレビュー)が追加されました。タスクバーから直接Copilotやエージェントを呼び出せるようになります。

主な機能:

  • ワンクリックでCopilotにアクセス
  • 「@」を入力してエージェントを直接起動
  • 音声またはテキストで操作可能

エージェント専用ワークスペース

Windowsに「Agent Workspace」(プレビュー)が導入されます。エージェントが安全に動作するための専用の実行環境です。

WindowsをAI基盤として位置づける戦略

Microsoftは、WindowsをAI時代の「キャンバス」と位置づけています。クラウドだけでなく、ローカルデバイスでもAIエージェントがシームレスに動作する環境を目指しているようです。

Microsoft Foundry - エージェント開発のための基盤

Foundry Agent Service

Foundry Agent Service」(パブリックプレビュー)が発表されました。エンタープライズグレードのAIエージェントを構築・展開するためのサービスです。

主な機能:

  • ホストエージェント、マルチエージェントワークフロー
  • ビルトインメモリ
  • Microsoft 365およびAgent 365への直接デプロイ

Model Context Protocol (MCP) 対応

Microsoft FoundryがMCP(Model Context Protocol)に対応しました。エージェントがビジネスシステムやデータに安全にアクセスできるようになります。

MCPは標準化されたプロトコルなので、異なるベンダーのエージェント同士が連携しやすくなるのがメリットです。

11,000以上のモデルから選択可能

Microsoft Foundryでは、OpenAI、Anthropic、Meta、Mistral AI、Cohereなど、11,000以上のAIモデルから選択できます。特に今回、**Anthropicのクロードモデル(Sonnet 4.5、Opus 4.1、Haiku 4.5)**が追加されたことは大きなニュースです。

Agentic AIとは何か

定義

「Agentic AI」とは、人間の指示を待たずに自律的に判断し、タスクを実行するAIシステムを指します。従来のAIアシスタントは「質問に答える」役割でしたが、Agentic AIは「目標を達成する」役割を担います。

具体例

  • 営業エージェント: 顧客データを分析し、最適なタイミングでフォローアップメールを自動送信
  • ITサポートエージェント: システム障害を検知し、自動的に復旧手順を実行
  • 財務エージェント: 予算執行状況を監視し、超過リスクを事前に警告

なぜ今なのか

AIモデルの推論能力が飛躍的に向上し、複数ステップのタスクを自律的に実行できるようになりました。また、Microsoft Foundryのようなプラットフォームにより、エージェントの構築・管理が容易になったことも大きな要因です。

まとめ

Microsoft Ignite 2025は、AIの進化が「アシスタント」から「エージェント」へと移行する転換点を明確に示しました。

主要なポイント:

  • Microsoft Agent 365: あらゆるAIエージェントを一元管理
  • Work IQ: パーソナライズされたインテリジェンスレイヤー
  • Windows 11: AIエージェントのプラットフォームとしての進化
  • Microsoft Foundry: エージェント開発の基盤とMCP対応
  • Agentic AI: 自律的に行動するAIの時代へ

次のステップ

企業は今後、以下の点を検討する必要がありそうです:

  1. どの業務プロセスにエージェントを導入できるか
  2. エージェントのガバナンスとセキュリティをどう確保するか
  3. 既存のワークフローをどうエージェント対応させるか

Microsoft Agent 365とFoundryは、これらの課題に取り組むための強力なツールセットになるのではないかと思います。

参考リンク

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