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AIの無料プランは「打ち切り」ではなく「使われなくなる」形で終わる

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AIの無料プランがいつまで使えるのかが気になったので、各社の公開情報だけで調べました。調べ始める前の想定は2つとも外れたので、そこも含めて書きます。

結論から書きます。

  • 無料が削られているのは、推論コストが理由では説明がつかない。同じ時期に ChatGPT は制限を緩め、Gemini は絞っている
  • 逼迫しているのは無料側ではなく 有料側。最上位プランが新規受付を止めていた時期がある
  • 料金プランの差は機能ではなく 使用量 で決まっている。背景にあるのはエージェント型利用のコスト構造
  • 無料は打ち切られるのではなく、有料プランにチャットが同梱されることで使う理由が消える
  • 無料で採算が合う理由は 広告。2026年6月22日から日本の無料プランで配信されている

以下、順に書きます。単位は極力使わず金額に換算します(原データは末尾に置きました)。

1. 直近の変更を並べる

時期 サービス 変更内容
2026/8/6 ChatGPT 既定モデルが軽量な GPT-5.6 Luna に。テキストチャットの回数制限を撤廃
2026/10/9 Gemini 無料の個人アカウントで通常の Flash と Pro が利用不可に。Flash-Lite のみ
2026 Claude 「5時間◯メッセージ」の固定表記を廃止し、週次上限を併用

方向が揃っていません。ChatGPT は緩め、Gemini は絞った。同じ時期に逆のことをしています。

「AIの無料は終わりつつある」という一枚岩の説明は、この時点で成り立ちません。

2. 推論コストでは説明がつかない

各社の自己発表値から、1回あたりのコストが計算できます。

1回あたり
ChatGPT 約 0.01円(0.34 Wh)
Gemini 約 0.007円(0.24 Wh)

安い。ただし世界全体で積み上げれば年間で約170億円の規模になります(全AI合計を1日50億回と置いた筆者の概算)。

ここだけ見れば「コストがかさむから無料を削る」は筋が通って見えます。

しかし、それなら ChatGPT が回数制限を撤廃した説明がつきません。 コストが理由なら緩める動機がない。別の要因があります。

3. 詰まっていたのは有料側だった

調べていて一番引っかかったのがここです。

ChatGPT の最上位プラン(月200ドル)が、2026年に新規受付を停止していました。 理由は公開されています。新モデル登場で需要が跳ね上がり、計算容量がひっ迫したためです。その後、2026年9月29日に受付を再開しています。

普通の商売なら、金を払う客は歓迎のはずです。それを断った。しかも最上位プランを。

混んでいたのは無料側ではありません。有料側です。

4. 料金が「量」で決まる理由

Claude の料金プランです。

プラン 月額 使用量
Pro 20ドル(約3,000円) 1
Max 100ドル(約15,000円) 5倍
Max 20x 200ドル(約30,000円) 20倍

価格が10倍違うのに、増えているのは使用量だけです。機能差はありません。

なぜ機能ではなく量で切るのか。エージェント型の利用がコストの桁を変えるからです。

消費電力 通常チャット比
通常のチャット 1回 約0.3 Wh ―
コーディングエージェント 1回の作業 約41 Wh 138倍
1勤務日 約1,300 Wh 382倍

Claude Code や Codex を日常的に回している人なら、心当たりがあると思います。1人で通常ユーザー382人分を消費している計算になります。

ここまでで、3節の「有料側が詰まる」も説明がつきます。エージェントを常用する層が増えれば、最上位プランから先に容量が足りなくなります。

5. 無料は「打ち切り」ではなく「使う理由が消える」形で終わる

ここが、調べる前の想定と一番違ったところです。

エージェントを使うには有料プランが必要です。そして有料プランにはチャットが最初から含まれています。 別料金ではありません。

つまり、こうなります。

エージェントを使いたい → 有料プランを契約 → チャットも付いてくる
                                  ↓
                     無料のチャットを開く理由がなくなる

無料プランは残ると考えています。新規ユーザーの入口として会社側に利点があるからです。ただし、継続して使う人はいなくなる。値上げでも打ち切りでもなく、乗り換えによって終わります。

一度エージェントを使った人が「聞いたら答えるだけ」のモデルに戻るかというと、戻らないと思います。便利さは一方通行です。

6. 無料で採算が合う理由は広告

2つ目の想定も外れました。「赤字で耐えている」と思っていたのですが、収益源がありました。

2026年6月22日から、日本の ChatGPT の無料プランに広告が配信されています。 回答の最下部に「Sponsored」と明示された枠で表示されます。対象は Free と Go で、Plus・Pro は対象外です。

通常のバナー広告と違うのは、いま進行中の会話の文脈に合わせて選ばれる点です。ターゲティングには「現在の会話内容」「過去のチャット履歴」「メモリの情報」の3層が使われます。旅行の計画を相談していれば旅行の広告が出やすくなる、という挙動です。

OpenAI は次の2点を明示しています。

  • 広告主は利用者の会話内容を閲覧できない。渡るのは表示回数とクリック数のみ
  • 広告費で回答内容は操作できない。回答生成と広告選択は分離されている

収益性を概算します。日本での実配信の平均 CPM は約773円でした。1回表示あたり約0.77円です。

広告1回の表示で、チャット約77回分の推論コストをまかなえる計算になります。

ただし「黒字」とは言えません。0.01円は電力コストのみで、ハードウェア償却も人件費も開発費も含みません。実際 OpenAI 全体では赤字との報道が続いています。正確には 電力コストだけを見れば十分にペイする ということです。それでも無料を維持する理由にはなります。

まとめ

  • 無料プランの増減は、コスト削減ではなく各社の戦略の差として現れている
  • 逼迫しているのは有料側。原因はエージェント型利用
  • 料金が量で決まるのは、1人あたりの消費量が最大382倍まで開くから
  • 無料は打ち切られず、有料への同梱によって使われなくなる
  • 無料の採算は広告で成立している(電力コストベースで約77倍)

個人的に一番の収穫は、6月から出ていた広告に自分がまったく気づいていなかったことでした。回答の最下部は、意識して見にいかない場所です。試しに今の ChatGPT の回答を最後までスクロールしてみてください。

関連

同じ調査をもとに、各社の戦略の比較と、今後どのAI企業が優位になるかの予測を note にも書いています。

どのAIが競争に勝って、どのAIをいつ買うべきか?
https://note.com/nextsurvive/n/ndca5c91a61c0

検証用の原データ

項目 値 出典
ChatGPT 1回 0.34 Wh Sam Altman
Gemini 1回 0.24 Wh Google(2025/8)
コーディングエージェント 1回 約41 Wh(約59万トークン)/1勤務日 約1,300 Wh 実測ブログ
ChatGPT広告 日本の平均CPM 約773円 広告運用レポート
電気代換算 1 kWh = 31円 ―
為替 1ドル = 150円 ―

参考にした情報

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