はじめに
通常、仕事に関するイメージとしては「会社で働いて自社に貢献する」といったイメージが強いと思う。社内SE(社内システムエンジニア)であれば自社システムの開発と運用、システムの保守や管理を行うエンジニアだ。しかし、エンジニアの働き方として、近年ではSES(システム・エンジニアリング・サービス)という働き方もある。SESとはIT業界における契約の一種で、技術者を求めている企業に対しSES企業がエンジニアを派遣し業務を行う事を指す。このようにエンジニアには働き方の選択肢があり、私はSES企業のエンジニアとして勤めているが、SES企業のエンジニアと聞いて「派遣社員」のイメージが強くマイナスに思う人も少なくない。
今回はSES企業に勤めてきて感じたことをまとめていく。
SESエンジニアのメリット、デメリット
私がSESエンジニアとして働く場合にメリット、デメリットと感じるものは以下になる。
<メリット>
①様々な業種、業務内容の経験
②自分に合う働き方ができる
<デメリット>
①案件ごとに設けられる契約期間
まずメリットとして①様々な業種、業務内容を経験できることだ。私はこれまでに建築業、医療業、通信業、飲食業、金融業といった多様な業種の案件に参画してきた。どれも私たちの生活で見受けられるようなシステムだったので貴重な経験をさせてもらえた。またもしSESエンジニアとして多様な業種を経験していれば、そのうち自分が他の業種で働きたいとなった時に参考にできるかもしれない。また業務内容も本人のやる気次第で別の業務内容を選択することも可能だ。例えば最初はテスターとして経験を積んできたが、他社のプロジェクトに参画する中で「やっぱり開発の業務に携わってみたい」「PMOとしてプロジェクトが円滑に進むようにサポートしたい」といった別の仕事がしたいとなった際に、転職も同じチームの人に伝えるといった事もせずに路線変更することができる。
次のメリットとして②自分に合う働き方ができる点だ。人によっては「夜に働きたい」「常駐がいい」「リモートワーク多めがいい」といった要望もあるだろう。SESのエンジニアとして働けば案件先を探す際の選択肢として自分が望む働き方ができる案件に参画することができるかもしれない。また休むタイミングも案件の繁忙期やチームメンバーの休暇日を考慮し、現場内にある月の稼働時間を下回らなければ休みを入れることも可能だ。
このようなメリットがあるSESエンジニアだが逆に私がデメリットのように感じる点もある。それが①案件ごとに設けられている契約期間についてだ。SESエンジニアは社内SEと違い期間限定でその会社の社員となっているため、プロジェクトの終了や先方の予算都合により退場を宣告されることも少なくない。そうなった場合、また新たに次の案件を探す必要があり、もし次の月から参画する場所が決まらなければ継続して案件を探すことになり、前案件の終了日から次案件の参画日までの期間(いわゆる「待機時間」)は、案件に参画していた時よりも収入が減ってしまう。
ただ、案件が決まらないというのは余程のこと(次の案件を探すにあたり拘り過ぎてしまったり、他の競合から経歴が豊富な人と被ってしまったり、あるいは自分が次の案件を探す工程で面倒くさがったりなど)がない限り発生しえないもので、また案件に参画できなかった期間の給料に関しても基本的に支給はされるため生活に困ることはないだろう。前者(他の競合が多い場合)に関しての対策として私が行ったのは、「他に自分が経験してきた・業務を行える作業」の案件に参画するか、「未経験として別の業務ジャンルに挑戦してみる」のいずれかだ。特に後者は、最初は自分の現時点の収入に比べ単価の低い案件しか入れない可能性がある(未経験扱いのため)が、自分の経験やスキルアップに繋がる可能性があるだけでなく案件探しに難航した場合に次の選択肢として選ぶこともできる。
おわりに
SESのエンジニアは上述したもの以外に私個人として、「様々な場所に派遣されるから知らない土地の魅力を知れる」といった点もある。全く同じところに派遣され続けるという事はないので、初めてくる場所だと少し冒険した気分にもなって、休日にも訪れてみたりと日常の中に楽しさが増える。
近年、SES企業に対する見方も変わり所属するエンジニアも増えてきている。もしエンジニアを目指すのであればこの記事も参考にしてもらいSES企業に所属して働く選択肢も視野に入れてほしい。