はじめに
エンジニアとして働く中で、提案資料や設計書を作成する機会は多いと思います。
しかし、いざ上司にレビューを依頼すると「コストの根拠は?」「このパターンのリスク対応が抜けている」など、いつも同じようなポイントで差し戻しを食らって心が折れそうになることはありませんか?
「だったら、本物の上司に見せる前に、上司の思考を完全にトレースしたAIに壁打ちしてもらえばいいのでは?」
今回は、GeminiのカスタムAI作成機能である**「Gems(ジェムズ)」**を利用して自分専用の「仮想上司」を構築し、資料作成のレビュープロセスを自動化・効率化した手法をご紹介します。
やったことの全体像
今回、仮想上司を錬成するために以下のステップを踏みました。
- 会議レコーディングから上司の特徴を抽出
- 日頃チャットの上司コメントを抽出
- 上司の性格(着眼点や口癖)を分析
- 命令文(プロンプト)の作成
- GeminiのGems機能に組み込む
- 資料の叩き台を添付して壁打ち&修正
1. 上司のデータをかき集める(会議録・チャット)
まずは仮想上司の「思考のベース」となるテキストデータを収集します。
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会議のレコーディング(文字起こし):
Google Meetや各種Web会議ツールの文字起こし機能を使い、上司が意思決定をしている会議や、レビューをしている場面のログを抽出します。 -
日頃のチャット履歴:
自分やチームメンバーに向けられた、チャットツールでのフィードバックコメント(ダメ出しや質問)をコピペしてまとめます。
💡ポイント: 雑談ではなく、「業務上の判断」や「指摘」をしているテキストを重点的に集めるのがコツです。
2. 上司の性格・思考のクセを分析する
集めた生データをそのまま使うのではなく、まずはGeminiを使って上司の「レビューにおける性格分析」を行います。
▼ 性格分析用のプロンプト例
以下のテキストは、私の直属の上司の発言録とチャット履歴です。
このテキストから、以下の項目を抽出・分析してください。
- 資料や提案をレビューする際の「最も重視するポイント(コスト、保守性、リスクなど)」
- よく指摘する「抜け漏れ」の傾向
- 典型的な口癖やフィードバックのトーン
これにより、「常に運用フェーズの負荷を気にする」「代替案がないと絶対に首を縦に振らない」といった、上司特有のレビュールールが言語化されます。
3. 仮想上司の指示文(プロンプト)を作成する
言語化された分析結果をもとに、Gemsの振る舞いを決定づける「指示(インストラクション)」を作成します。
▼ 仮想上司プロンプトの例
あなたは私の直属の上司として振る舞う「仮想上司」です。
以下の特徴とレビュー基準に従って、私が提出する資料の叩き台を厳しく、かつ建設的にレビューしてください。
【上司のペルソナ】←下記にGeminiに抽出/出力を貼り付け
- 性格: 論理的で無駄を嫌う。結論ファーストを好む。
- 口癖: 「で、結局運用に乗るの?」「最悪のケースの想定は?」
- レビューの重点項目:
1. 導入後の運用保守コスト(工数)が考慮されているか
2. 発生しうるリスクと、その回避策が網羅されているか
3. 他部署との連携プロセスにボトルネックはないか
【あなたのタスク】
私が添付した資料を読み込み、上記ペルソナの観点から「突っ込まれやすい箇所」を3〜5点リストアップし、どう修正すべきか示唆を与えてください。
4. GeminiのGems(カスタムAI)機能への組み込み
作成したプロンプトを、Geminiの画面から設定します。
Geminiのサイドメニューから「Gems の管理」または「Gems を作成」を選択。
任意のタイトル(例:鬼レビュー上司(仮想))を入力。
「手順」の欄に、先ほど作成したプロンプトを貼り付けて保存。
これで、24時間365日、感情的にならずに的確なダメ出しをしてくれる「自分専用の仮想上司Gems」が誕生しました。
5. 実際に壁打ち&資料修正を繰り返す
あとは実戦投入です。
叩き台の作成: 構成案や初稿(テキストやMarkdown、PDFなど)を準備する。
仮想上司Gemsに投下: 作成したGemsを開き、ファイルを添付、またはテキストを貼り付けてレビューを依頼。
ボコボコにされる: 「リスクに対する代替案が記載されていません」など、本物さながらの鋭いツッコミをもらう。
修正: 指摘された箇所(本物の上司が絶対突っ込んでくるであろう箇所)を事前に潰し、資料をブラッシュアップする。
これを数回繰り返してから、最終版を「本物の上司」に提出します。
まとめ
仮想上司を壁打ち相手にすることで、以下のメリットがありました。
心理的ダメージがゼロ: 本物の上司に渋い顔をされる前に、AIに指摘されるので精神衛生的によい。
手戻りの劇的削減: 本番レビュー時には「上司が気になるポイント」がすでに網羅されているため、一発OKや微修正で通る確率が跳ね上がる。
相手の思考をハックしてAIに移植するこの手法は、エンジニアの設計書作成から企画書作りまで幅広く応用できます。上司のレビューで消耗している方は、ぜひ一度試してみてください!
ではまた