Claude Code の v2.1.303 〜 v2.1.310 の中から、実務への影響が大きいと思われるものを5つ選んで深掘りします。網羅的な変更点一覧は リリースノートまとめ にあるので、今回は「なぜ注目に値するか」にフォーカスします。
1. サンドボックスと Bash パーミッションチェックの大規模な穴埋め(v2.1.309)
v2.1.309 は、サンドボックスとパーミッション判定の抜け道をまとめて塞いだリリースです。
- サンドボックス内の Bash が、各コマンドの前にシェルの起動ファイルをサンドボックス外で実行していた問題を修正(macOS / Linux)
- サンドボックス内コマンドや自動承認された編集が、
--mcp-configで渡した MCP 設定ファイルを変更できた問題を修正 -
Edit(path)の deny ルールが、サブシェルを含むコマンドの Bash リダイレクトを止められなかった問題を修正 -
cdがラップ/前置された複合コマンドで git を実行する場合も、通常のcdと同様に確認が出るようになった - worktree 分離セッションの isolation guard をすり抜けるロケール接頭辞付き・zsh 算術コマンドを修正
- Windows の PowerShell で、
Set-Location/cdが余分な引数付きで自動承認されていた問題を修正
挙動が変わる点もあります。
-
sed -iは標準の Bash プロンプトを通り、書かれたとおりに実行される(ファイル編集のプレビューを模擬しない)。他の Bash 編集と同じく/rewindでは復元されない - サンドボックスから除外したコマンドは、サンドボックスが有効なのに動作しない場合、書き込み許可リストのパスへ書く前に確認される
なぜ注目に値するか
権限ルールは「書いたとおりに効く」ことが前提です。deny ルールがリダイレクトで迂回できたり、サンドボックスの外で起動ファイルが走ったりすると、その前提が崩れます。auto mode や無人運用でサンドボックスに頼っているチームは、アップデート後に確認ダイアログが出る場面が増える可能性がありますが、それは以前は素通りしていたものが止まるようになった結果です。sed -i を /rewind で戻す運用をしていた場合は、巻き戻せなくなる点にも注意してください。
2. ゲートウェイ配下・他クラウドでの互換性向上(v2.1.304 / v2.1.305 / v2.1.310)
Bedrock、Vertex、Foundry、LLM ゲートウェイ経由で使うときの失敗が大きく減りました。
| バージョン | 内容 |
|---|---|
| v2.1.304 |
context_management: Extra inputs are not permitted を返すゲートウェイには、そのフィールドを外して再送。ツール検索はカスタム ANTHROPIC_BASE_URL でも既定オン(400 / 422 なら無効にして再試行) |
| v2.1.305 | ツール検索を拒否するエンドポイント/ゲートウェイで全リクエストが失敗する問題(v2.1.304 のリグレッション)を修正し、ツール検索なしで再試行 |
| v2.1.310 |
effort-2025-11-24 ベータ値や会話途中のシステムメッセージを拒否するゲートウェイでも、外して再試行 |
| v2.1.310 | Monitor ツールとプラグインモニターが Bedrock / Vertex / Foundry、およびテレメトリー無効の環境でも使える(長いフォアグラウンド sleep はブロック) |
なぜ注目に値するか
社内ゲートウェイや互換サーバーは、新しいベータ機能のパラメーターを理解できないことがよくあります。以前はそれが「全リクエスト失敗」になりえましたが、拒否されたら外して再試行する方向に統一されつつあります。さらに Monitor ツールが使えるようになったことで、長時間コマンドを sleep で待つ書き方から、イベント駆動の待ち方へ移行できる環境が広がります。
3. 観測性の向上: claude_code.safety_event と /usage(v2.1.305 / v2.1.307)
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claude_code.safety_eventOpenTelemetry イベントが追加された。パーミッションルール、auto mode、安全チェック、フック、サンドボックスがツール呼び出しを止めた/確認した/差し戻したたびに発行される(v2.1.307) -
/usageの各警告が「出どころを示す1行の修正案」になり、fキーで適用できる。同じ修正案が VS Code と/doctorにも出る(v2.1.305) -
/usageは、レート制限が解除される時刻を表示するようになった(v2.1.304) - 圧縮要約に、それまで呼ばれたツール名が表示される(Ctrl+O のトランスクリプト、v2.1.304)
なぜ注目に値するか
これまでは「何が止められたのか」を知るには、画面かトランスクリプトを見るしかありませんでした。safety_event により、どの仕組みが止めたかをテレメトリーで集計できます。権限ルールの見直しや、auto mode が過剰にブロックしていないかの確認に使えます。/usage の修正案も、トークン消費の原因探しを短縮してくれます。
4. セットアップと運用の支援: /auto-mode-setup(v2.1.304)
/auto-mode-setup は、プロジェクトと最近のセッションを読み取って、auto mode にあなたの環境を教えるガイド付きセットアップです。Bedrock、Vertex、Foundry、Claude apps gateway、テレメトリー無効のセッションでも使えます。
あわせて、運用まわりの小さいが効く変更も入っています。
- Pro / Max で、非アクティブな会話の再開が 5 時間枠の使用量をかなり消費する場合に警告。そのまま再開するか、新しい会話で前回の内容を参照させるか選べる(v2.1.304)
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CLAUDE_CODE_RETRY_WATCHDOG_USAGE_LIMIT_RECHECK_MS: 無人リトライモードが、リセット前に解除された使用量制限を検知できる(v2.1.305) -
/loopの 1 時間待機が、プロンプトキャッシュ切れの直後に発火して未キャッシュで再読込になる問題を修正(v2.1.304)
なぜ注目に値するか
auto mode は、環境固有の「これは安全」「これは危険」を知らないと、ブロックしすぎたり、逆に緩すぎたりします。専用のセットアップコマンドで環境を学習させられるのは導入の障壁を下げます。また、使用量や再開コストを事前に見せる変更は、長いセッションを抱える人ほど恩恵があります。
5. データ損失を防ぐ修正群(v2.1.304 / v2.1.310)
地味ですが、「消える」系の事故を防ぐ修正がまとまって入りました。
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claude --worktreeが、HEAD がデタッチ状態や別ブランチのとき、終了時に確認なしで worktree とブランチを削除してコミットを失いえた問題(v2.1.304) -
rm -rでマウント済みドライブや最上位フォルダ(/Volumes、/media、WSL の/mnt/c)を消す際に、rm -rf /Applicationsと同様の安全確認が出ない問題(v2.1.304) -
CLAUDE_CODE_TRANSCRIPT_LOCAL_GCが、ディスク満杯時にトランスクリプトのメッセージを落とす問題(v2.1.304) - Bash / PowerShell が、大きな出力ファイルをコピーできなかったときに出力ファイルを削除する問題(v2.1.304)
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cleanupPeriodDaysを非常に大きくすると、貼り付けた画像などの最近のファイルが削除される問題(v2.1.310) - 「Prompt is too long」後のコンパクションが、base64 や SVG を含む会話を残しすぎて、次のリクエストも失敗する問題(v2.1.310)
なぜ注目に値するか
どれも「普段は起きないが、起きると取り返しがつかない」タイプの問題です。特に --worktree で複数ブランチを並行運用している人は、v2.1.304 以前では終了時にコミットを失うリスクがありました。該当するワークフローがある場合は、早めのアップデートをおすすめします。
まとめ
| テーマ | 内容 |
|---|---|
| セキュリティ | サンドボックス・Bash / PowerShell パーミッションの抜け道をまとめて修正 |
| 互換性 | ゲートウェイが拒否する機能を外して再試行。Bedrock / Vertex / Foundry で Monitor も利用可 |
| 観測性 |
claude_code.safety_event、/usage の1行修正案 |
| 運用 |
/auto-mode-setup、使用量警告、無人リトライの改善 |
| 安全網 | worktree・rm -r・クリーンアップ関連のデータ損失を防止 |
特に 1 は、アップデートするだけで確認が出る場面が変わります。サンドボックスや権限ルールを運用しているチームは、sed -i の扱いと除外コマンドの挙動を確認しておくと安心です。