はじめに(前提の整理)
Guardium Collector の HWアプライアンスは、
見た目は物理サーバーですが、製品としては SW です。
そのため、更改作業では
- 契約・問い合わせ・製品整理は SW 前提
- 実際の導入・更改・廃棄作業は 物理サーバー前提
という二面性を意識する必要があります。
※ Guardium HWアプライアンスの位置づけについては、
前編の記事を先に読むと理解しやすくなります。
【前編】Guardium HWアプライアンスは「サーバーの姿をしたSW」である、という整理
https://qiita.com/N_M_vc/private/14ff014be991ca2e6e31
今回の更改シナリオ
-
現行:Guardium Collector HWアプライアンス稼働中
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次期:現行とは独立した新 DC に新規 HWアプライアンスを設置
-
切り替え方式
- 新環境で事前構築
- サービスイン時に切り替え
-
旧アプライアンスは データ消去後に搬出
導入前に必ずやること(物理要件の確認)
Guardium は製品分類上は SW ですが、
導入前準備は完全に物理サーバーとして扱う必要があります。
設計書や Guardium の論理構成が固まっていても、
この段階の確認が抜けると DC 作業直前で手戻りが発生します。
確認すべき主な項目
- 搭載先ラックおよびラック内 U 位置
- サーバー重量および DC 床の耐荷重
- 消費電力・発熱量
- DC との契約電力量
- 電源系統(A/B 系冗長構成)
- IP アドレス設計
これらについては、
DC 事業者(またはプロジェクト内の設備・DC 担当)との事前調整が必要です。
ラック搭載・床耐荷重への影響
Guardium は機種変更のタイミングで
筐体重量が大きく変わることがあります。
同一ラック内の他サーバーと合算した重量が
DC の床耐荷重制限に近づく、または超過する場合、
- 同一ラックへの搭載不可
- ラックそのものを別エリアへ移動
- ラック分散による再設計
といった対応が必要になるケースがあります。
👉
「同じ 1 台追加/入れ替え」でも、
重量次第でラック移動が発生し得る点は要注意です。
諸元例(Collector x3264 → x3364)
以下は Guardium Collector の世代移行時に確認した実例です。
| 項目 | x3264 | x3364 |
|---|---|---|
| 重量 | 18.8 kg | 26.3 kg |
| 発熱量 | 3,358 BTU/hr | 2,559 BTU/hr |
| 消費電力(VA) | 984 VA | 534 VA |
| 消費電力(W) | 984 W | 750 W |
| 消費電流 | 4.92 A | 4.1 A |
このように、
- 重量は大幅に増加
- 消費電力・発熱量は減少
という、直感に反する変化が起きることもあります。
👉
ラック耐荷重と契約電力量の 両方を必ず確認する理由です。
DC 契約電力量への影響
DC では、
- ラック単位
- 列単位
- 区画単位
などで 契約電力量が管理されていることが一般的です。
既存ラックへ Guardium を搭載する場合でも、
- 既存機器との 消費電力合算
- 契約値超過の有無
を事前に確認する必要があります。
特に「旧機器撤去 → 新機器設置」の場合でも、
一時的に 同時稼働期間が発生するケースには注意が必要です。
電源ケーブルの差し位置(PDU 冗長性)
Guardium HW アプライアンスは、
通常 **冗長電源(2 系統)**を備えています。
そのため、
- 電源 A → PDU-A
- 電源 B → PDU-B
のように、
異なる PDU/異なる系統に分けて接続することが前提になります。
事前に検討すべきポイントは以下です。
- 利用する PDU の系統(A/B)
- 空きコンセント位置
- ケーブル長
- ケーブル取り回し(前後/上下)
👉
電源ケーブルの差し位置は 当日の作業中に決めるものではなく、
事前に決めておくべき設計事項です。
Lenovo 管理コントローラー(XCC / IMM)について
Guardium HWアプライアンスは Lenovo 製サーバーをベースとしており、
管理コントローラーとして次のいずれかが搭載されています。
-
Lenovo XClarity Controller(XCC)
→ 比較的新しい世代 -
Integrated Management Module(IMM)
→ 旧世代のサーバーで搭載されている場合あり
Guardium の手順書上ではまとめて記載されることがありますが、
実際の画面構成・メニュー名は XCC と IMM で異なる
という点を理解しておくと、
リモートコンソール操作時に混乱しません。
機器到着~ラッキング
-
木箱梱包で配送
-
ラックマウントキット、電源ケーブル、SFP は同梱
-
以下は同梱されないため事前準備が必要
- モニター
- キーボード
- NW ケーブル
- DVD ドライブ
ラッキングおよび結線作業は専門の技術員に依頼するケースが一般的です。
NW ポート位置の確認
Guardium HW の NW ポート位置(XCC 用/物理 LAN)は、
Lenovo の製品資料が一次情報になります。
- 例:ThinkSystem SR630 v2(X3364 ベース筐体)
👉 https://pubs.lenovo.com/sr630-v2/sr630_v2_setup_guide.pdf
結線指示時には、この背面図(上記の場合、P.19)を参照すると確実です。
初回起動と注意点
- 電源結線が完了するとサーバーは自動起動
- インストール済みの Guardium SW が起動
⚠️ 注意
物理アプライアンスの CLI 初期パスワードは
SW アプライアンスと異なる場合があります。
(バージョンにより変更されることもあるため要確認)
異なる Guardium バージョンを利用する場合
プリインストールされている Guardium とは
異なるバージョンで構築する場合は、
- ✅ ISO による上書きインストールを先に実施
します。
ISO のマウントや KVM 操作は
XCC(または IMM)から行います。
👉 Lenovo XClarity Controller (XCC) User’s Guide
https://pubs.lenovo.com/xcc3/xcc3_user_guide.pdf
移行時の代表的なパターン
Guardium も DB も新規
- アプリケーションの接続先切り替えを待つのみ
DB 継続、Guardium のみ新規
- DB サーバー内の S-TAP の向き先 IP を変更
- 旧 Guardium → 新 Guardium
終了時の作業(データ消去)
Guardium の内部 DB(MySQL)には
監査ログという機密データが保存されています。
そのため、
DC 外へ搬出する前にデータ消去が必須です。
初期化手順(概要)
[1] Guardium サーバー停止
- IMM / XCC に接続
- Power Actions → Power Off Server Immediately
- 初期化のためGuardiumのコマンド(stop system)ではなく
IMM / XCCからの停止を実施
[2] HWコンソール起動
- IMM / XCC → Server Management → Remote Control
- Multi-user mode で起動
- 証明書警告はすべて続行
[3] 電源 ON
- HW コンソールから電源 ON
- BIOS パスワード要求時は指定ルールに従い入力
(機種によって、IBM-[Lenovoシリアル番号]の場合と[Lenovoシリアル番号]のみの場合がある。
Lenovoシリアル番号=7ケタの数字)
[4] ブートデバイス選択
- 起動時 → Boot Device Manager
- CD/DVD を選択
[5] ISO 起動確認
- ISO LINUX などの表示を確認
- Collector 導入が自動開始
[6] 初期化完了待ち
- 約 30 分待機
[7] BMC(XCC)の初期化
- BMC Factory Reset を実行
- IP・証明書情報も消去
→ 電源 OFF で作業完了
まとめ(後編)
- Guardium 更改は SW 前提 × HW 作業
- 導入前は物理要件(重量・電力)が最大の落とし穴
- 管理コントローラーは XCC / IMM の世代差に注意
- NW ポート位置や HW 操作は Lenovo マニュアルが一次情報
- 廃棄時は 必ずデータ消去
- 障害・問い合わせは IBM Support 起点