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第1話 AI時代の文字入力は、「正確に質問しなくちゃ!」を捨てるところから始まる

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Last updated at Posted at 2026-08-04

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この記事は、生成AIを使う前の「入力のしんどさ」に注目した、現場目線の試行錯誤メモです。

はじめまして。

NTTデータ九州 法人システム事業部 第二ビジネス統括部 DXテクニカルセンタ担当の須崎 修二です。

主に、サポートセンター業務や現場での技術支援を通じて、社内外の課題解決や業務改善に関わっています。

そんな私ですが、世間的なプロフィールとしていうなら、IT業界で30年ほど働いてきた、現場寄りのおじさんです。日々の業務に取り組む中で、最近ふと気づいたことがあります。サポートセンターの現場にも、生成AIや自動化の波がじわじわ押し寄せてきている、ということです。波というより、気づいたら足元まで水が来ていた感じです。

気がつけば、使う道具も、画面も、手順も少しずつ更新されています。

システムやツールは日々更新されていきますが、こちらの身体は自動アップデートしてくれるわけではありません。細かい文字は見づらくなり、動画の説明は少し早く感じ、タイピングも以前ほど軽快ではなくなってきました。OSやアプリは勝手に新しくなっていきますが、自分の目と指はそう簡単にはバージョンアップしてくれないようです。

この連載では、そんなおじさんが現場で試しながら、AIとの付き合い方を探っていく様子をお届けします。

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この記事で扱うこと

  • AIに指示を出す前の入力負荷
  • Windows 11の音声入力を試した感想
  • サポートセンター業務での活用イメージ

この記事で扱わないこと

  • 生成AIサービス同士の性能比較
  • 音声認識エンジンの技術解説
  • 社内ルールを超えた業務利用方法

私の年齢から見ると、文字入力は単に速く打てるかどうかだけでは済まないものです。長い文章を打つ負担、画面を見続ける負担、細かな操作を何度も繰り返す負担は、仕事のしやすさにじわじわ効いてきます。生成AIのような新しい道具が増えると、こうした小さな負担の感じ方も少し変わってきます。今回はその中でも、AIに指示を出す前段階でつまずきやすい「文字入力」と、そこで試してみた音声入力の話です。

AIに頼む前に、指示を打つところで疲れる

話すことから始めてみました。キーボードを打つのが面倒になった、というと少し怠けているように聞こえるかもしれません。ですが、AIに長めの指示を何度も入力していると、文章を作る前に、こちらが先に息切れしてきます。せっかくAIに手伝ってもらうはずなのに、その前の「お願い文」を作るところで一仕事になってしまうのです。音声入力自体は、スマホの検索やメッセージ入力で使っている人も多いと思います。ただ、会社のオフィスで使っている方は少ないのではないでしょうか?

この記事では、実際に人柱として試してみた失敗談や感想を交えながら、AIを使う前の「入力のしんどさ」を少し軽くする考え方を書いてみます。

今更ですが、ChatGPTやCopilotのような生成AIを使うと、文章の下書きや要約、説明文の作成はかなり楽になります。以前なら自分で一から書いていたものを、AIにたたき台として作ってもらえる場面が増えましたし、これからもっと拡大していくでしょう。

ところが、便利になったはずなのに、別のところで手が止まることがあります。AIに何をしてほしいのかを入力するところです。文章を整えてほしいのか、構成案がほしいのか、説明をやわらかくしたいのか。そこを毎回キーボードで打っていると、たたき台を作る時間よりも、依頼内容を考えて打ち込む時間の方が長く感じることがあります。

タイピングが速い人でも、AIに長い指示を毎回打ち込むのは少し面倒に感じることがあるかと思います。まして、入力が得意でない人にとっては、AIを使う前の「指示を入力する」という段階がハードルになるかもしれません。そこで、もっと楽に考えを外へ出す方法はないかと考えるようになりました。

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音声入力を試してみた

一般的には、思い通りの回答を得るために、補助ファイルやURLなどをAIに渡し、その情報をもとに考えてもらう方法もあります。ただ、その場合でも「そのファイルは何か」「何をしてほしいのか」を入力する必要があります。ここで扱いたいのは、そうした工夫以前の、もっと入口に近い問題です。

そこで私が試したのが音声入力です。「キーボードで打つ代わりに、思いついたことをそのまま話して、文字にしてAIに指示してみた」ただそれだけです。

スマートフォンに話しかけることには慣れていても、オフィスでPCに向かって話すとなると、少し、いや、かなり恥ずかしさがあります。もっというと、カラオケでトップバッターを任されたうえに、イントロで全員がこちらを見ているときに近い緊張感があります。Web会議をしているように見えるならまだよいのですが、何もない画面に向かって独り言を言っているように見えるのは、なかなか慣れません。

ただ、AIに長い指示を打つのがしんどいなら、一度話してみる価値はあります。実際にやってみると、うまく文章になるところもあれば、途中で詰まったり、思わぬ誤変換に引っかかったりするところもありました。

「えー。京都じゃなくて影響度」事件

この記事を作る途中で、AIに構成案を出してもらったり、表現を相談したりしていました。その壁打ちの中で、試しに音声入力も使ってみました。「音声入力をするときの自分の声が、周りの人にどのくらい影響するのか」「オフィスでPCに向かって話すのは変に見えないか」といったことが気になり、まずAIに投げてみました。ところが、話し始めると、頭の中の文章がそのまますらすら出てくるわけではありませんでした。結果…

自分の滑舌の悪さに少し意気消沈しました。しかも、修正しようとしてさらに言い直すので、文章としてはどんどん崩れていきます。

この記事では、AI時代の文字入力について書きたいです。

キーボードだけでなく、音声入力の話も入れたいです。

えー、京都……

じゃなくて影響度です。

おじさんメモ

音声入力は、はじめて使うと少し恥ずかしいです。

体感としては、カラオケでトップバッターを任されたときに近いものがあります。

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「正確に質問しなくちゃ!」を捨てる

ここで、いったん「あーもう、きれいに話すのは無理」と割り切ることにしました。音声入力で正確な文章を一発で作るのは、もう狙わない。うん、もういい。短文でも、単語でも、あとから意味が分かればいけるんじゃないか。変な句読点が入っても、誤認識が混ざっても、まずは材料として出してしまえばよい。あとはAIと一緒に直せば何とかなる。

そうすると、不思議なことが起きました。さっきまで清書しようとして苦しんでいた音声入力が……なんということでしょう。急に「考えを止めないための材料出しツール」に見えてきました。

でも本当に、入力途中の表示を見ると、かなり不安になります。でも心配ありません。というのも話している途中では変な変換に見えても、言いたいまとまりを最後まで話すと、前後の意味を手がかりにして自然な文に近づくことがあります。

ただ、ここで注意事項があります。ここでいう「最後まで話す」とは、言いたいことを全部長く話すことではありません。途中の誤変換に引っぱられて止まらず、短い文を積み重ねながら、全体として何を言いたいのかを残すことが重要だと思います。

AIに質問するとき、つい「正確に書かなければ」と思ってしまいますが、そのスタイリッシュな幻想は、いったん机の横に置いておくくらいでよさそうです。

もちろん、AIを利用するときには、正確でフォーマルな入力を行い、フォーマルな返答を期待しがちです。(少なくとも私は。)「丁寧に聞けば、より意図に沿った回答を返してくれる」といった話を見かけることもあるように、なぜか聞き方を気にしてしまいます。

しかし、音声入力では、まず材料をプロンプト内に残すことを優先します。きれいな文章にするより、思いついた単語や短い文を置いていく。あとでAIに整理してもらう前提なら、多少崩れていても、考えの流れが残っている方が役に立ちます。

先ほどの「京都じゃなくて影響度」のように、途中で訂正が入っても構いません。正しい単語や補足が後ろに続いていれば、AIはそれも文脈の一部として扱ってくれます。つまり、最初の入力は完成文ではなく、会話のきっかけでよいのだと思います。そう考えると、音声入力は急に気楽になります。うまく話すための道具というより、考えを止めないための道具として見えてきます。

私は、音声入力に対しては、どこかで「話せば一発できれいな文章になるはず」という幻想を持っていました。実際に人柱として試してみると、そんなに都合よくはいきません。途中で言い直す。変な単語に化ける。自分でも何を言いかけたのか迷子になる。けれど、それでも材料は残ります。そして、材料さえ残っていれば、AIと一緒にあとから整えることはできます。

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まずは、すぐ使える場所から試してみる

とはいえ、特別な準備が必要だと、それだけで試す気持ちがしぼみます。私も、設定画面を探し回るところから始まると、その時点でそっとブラウザを閉じたくなります。

Windows 11では、標準機能として音声入力を使えます。入力したい場所にカーソルを置き、Windowsキーを押しながらHキーを押すだけです。インターネット接続、動作するマイク、入力先のテキスト欄があれば始められます。

音声入力は、Teamsのチャット欄、Outlookのメール本文、Word、メモ帳、Webフォームなど、文字を入力できる場所で使えます。今回は、お使いのAIチャットの入力欄で試してみるくらいがちょうどよいと思います。

試した環境

項目 内容
OS Windows 11
入力方法 Windows標準の音声入力
起動方法 Windowsキー + H
利用先 AIチャットの入力欄
用途 指示文の下書き、メモ、文章構成の相談

うまく話すより、止まらず残す

試してみて感じたのは、音声入力は「上手に話す人」のためだけの道具ではない、ということです。むしろ、途中で詰まる人、言い直す人、考えながら話す人ほど、使い方を割り切る必要があります。短く区切って話す。途中の変換に驚いても止まらない。誤認識に気づいたら、「正しくは影響度です」のように短く訂正する。最初から完成文にしようとせず、あとから整える前提で材料を残す。これくらいで十分だと感じました。

Before / After

Before After
長い指示を毎回キーボードで入力する まず話して材料を残す
完成文にしようとして手が止まる あとからAIと整える前提にする
誤認識で止まる 短く訂正して文脈に残す

音声入力を疲れずに使うための5か条

  1. 短く区切って、最後まで話す

途中の変換に驚いて止めず、短い文を積み重ねてでもよいので、全体の文脈を残すと、あとから整えやすくなります。

  1. 少しゆっくり、はっきり話す

早口や言い淀みが多いと、誤認識が増えやすくなります。少しだけ間を置くくらいが扱いやすいです。

  1. 最初から完成文を目指さない

音声入力は、AIに渡す下書きやメモを作る道具として使うと気が楽です。

  1. 誤認識は短く訂正する

「正しくは影響度です」「先ほどの京都は誤りです」のように、修正内容を短く明確にします。それだけで、類推してくれて訂正部分を特定してくれます。

  1. 周囲の音に注意する

周囲の会話や会議音声を拾うと誤認識しやすいため、可能であればヘッドセットを使います。

補足例:あとから訂正しても、文脈で拾ってくれる

たとえば、次のように途中で誤認識が入っても、後ろで短く訂正しておけば、AIが前後関係を見て意図を拾ってくれることがあります。

  • 音声入力した内容
    • この記事では、AI時代の文字入力について書きたいです。キーボードだけでなく、音声入力の話も入れたいです。えー、京都…
    • じゃなくて影響度です。オフィスで声に出すと周囲にどのくらい影響するのか、そこも書きたいです。正確に質問しなくちゃと思うと手が止まるので、あとから直せる前提で話す方が楽ですという趣旨の構成にしたいです。
  • AIの返答例
    • 承知しました。「京都」ではなく「影響度」の話ですね。オフィスで音声入力を使うときに、自分の声が周囲にどのくらい影響するのかを含めて、AI時代の文字入力について考える構成にします。

業務で使うときに気をつけたいこと:安心して活用するために

業務で音声入力やAIを使う場合は、便利さだけでなく情報管理も意識しておきたいところです。安心して活用するために、機密情報、個人情報、顧客情報を音声入力やAIサービスに渡す場合は、社内ルールや利用可能なサービス範囲を確認します。

  • 周囲に聞かれてよい内容か確認する。
  • AIに渡してよい情報か確認する。
  • 音声入力の結果は送信前に見直す。
  • 誤認識された内容をそのまま外部に送らない。
  • 会議中の他人の声や周囲の会話を拾わないよう注意する。

使う前のミニチェック

  • 周囲に聞かれてよい内容か
  • AIに渡してよい情報か
  • マイクが周囲の会話を拾っていないか
  • 送信前に誤認識を見直したか

特にオフィスで使う場合は、自分の声だけでなく周囲の音にも注意が必要です。音声入力は手軽に試せますが、業務で使う場合は、入力内容と周囲の環境を確認してから利用する方が安全です。

まとめ:音声入力、思ったよりいけそうです

今回試してみて一番の収穫は、「音声入力、なんとかいけるぞ」と思えたことです。もちろん、言い直しもありますし、誤変換もありますし、ときどき入力がAIとの会話の中で迷子になることもあります。それでも、考えを止めずに材料を残せるだけで、AIとのやり取りはかなり楽になりました。

サポートセンターの現場でも、この使い方は意外と効きそうです。一般的な事務作業でも、最初からきれいな文章にしなくてもよい場面は結構あります。短く話して材料を残し、AIに整えてもらい、最後は人間が確認して判断を返す。テックブログ風に言えば、音声入力は入口、AIは整形係、人間は最後の「それでよし」係、といったところでしょうか。

まだまだ試したいことはあります。AIとの付き合い方は、ツールの性能だけで決まるものではなく、現場の人間がどう伝え、どう受け取り、どこで判断を返すかで変わっていきそうです。サポートセンターに関わる立場として、現場で使えるAIとの付き合い方をこれからも考え続け、お客様の笑顔につながる対応を一つでも増やせるよう、取り組んでいきたいと思います。また何かつかめたら、こちらで披露させてください。


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