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ネットワーク学校の振り返り 3/n

Last updated at Posted at 2025-06-13

前回記事はこちら

スイッチング

L2スイッチとL3スイッチ

簡単に、L2スイッチとL3スイッチの比較表を提示する。

比較項目 L2スイッチ(レイヤ2) L3スイッチ(レイヤ3)
主な機能 MACアドレスを使ったスイッチング(転送) IPアドレスを使ったルーティング(経路選択)
処理レイヤ(OSI参照) レイヤ2(データリンク層) レイヤ3(ネットワーク層)
VLAN間通信 不可(ルーターやL3スイッチが必要) 可能(内部でルーティングできる)
ルーティングプロトコル 非対応 対応(OSPF, RIP, static routingなど)
使用場所の例 小規模ネットワーク、アクセススイッチなど 中規模〜大規模ネットワーク、VLAN間ゲートウェイなど

ちなみにルーターとの違いも出しておく。

機器 主な働き OSI層(参照) 通信単位
L2スイッチ 同じネットワーク内で通信(MACアドレスで転送) レイヤ2(データリンク層) フレーム(MAC)
L3スイッチ VLAN間など異なるネットワークの通信が可能 レイヤ3(ネットワーク層) パケット(IP)
ルーター 異なるネットワーク間の通信(インターネット含む) レイヤ3(ネットワーク層) パケット(IP)

アクセスポートとトランクポート

主にスイッチのポート設定に関連する用語で、VLANを扱う際に重要な概念である。
違いは以下表参照。

特徴 アクセスポート トランクポート
所属できるVLAN数 1つのみ 複数(タグで識別)
フレームの形式 タグなし(untagged) タグ付き(tagged)
主な用途 PCやプリンタなどの接続 スイッチ間やルータとの接続
VLAN識別の方法 スイッチ側で設定したPVID 802.1Q タグによる識別

アクセスポート

主にエンドユーザーのデバイス(PC、プリンタなど)を接続するために使われる。
そもそもネットワーク自体は網上に色々な線を張り巡らしているものだが、アクセスポートからは1つのネットワークしか生み出せない。(=これらのデバイスは通常1つのVLANだけに属する、ということ)
PCやプリンターは、このアクセスポートとつながらないとスイッチを介して情報収集やデータ送信などができないため、これが必須だということ。
そのデバイスが複数VLANをまたぐ必要があるか? を判断基準とし、アクセスポートを付与するか、トランクポートを付与するかを検討すればよい。

トランクポート

複数のVLANのトラフィックを同時に通すポート。主にスイッチ間の接続やルータとの接続に使われる。
データを送る時に、どのアクセスポートに送るかを送る側のスイッチがタグ付けする。
受け取った側のスイッチはつけられたタグを読み取り、対象のアクセスポートへ送る。この機能により、送り先に正確な情報を送ることができる。

スイッチAとスイッチBをトランクポートで接続すると、VLAN 10、20、30のトラフィックを1本のリンクで同時に通せる。

STP(スパニングツリーアルゴリズム)

スイッチ同士が繋がっている場合に使われる仕組み。
そもそもスイッチは、 「どこにデータを送ればいいか」を見て、正しい方向にデータを中継(リレー) する機械。
たとえば、こんな順番。
①Aさん → スイッチ → Bさん にメッセージを送る
②スイッチは「Bさんはこのポートにつながってるな」と判断して、そこにデータを送る
でもスイッチは 「最初は誰がどこにつながってるか」を知らない ので、初めは「とりあえず全部の出口に送ってみよう」とする。
※これを「フラッディング(flooding)」という。

ループするとどうなるか?

例として、スイッチが3台(スイッチA~B)あるとする。
これが三角形のようにつながってるとする(=ループ)。
スクリーンショット 2025-06-11 134922.png
ここでAにデータが入ってくると…
①Aは「誰宛かわからないから、全部に送ろう!」→ BとCに送る。
②Bは「新しいデータきた!全部に送ろう!」→ AとCに送る。
③Cも同じように → AとBに送る。
……あれ?
Aが出したデータが、またAに戻ってきちゃう!
そしてそのデータがまたフラッディングされて…永遠にぐるぐるぐるぐる……止まらない!
ループすると、データが何重にも増えてネットワークがパンクするし、スイッチが混乱して、誰がどこにいるのか覚えられなくなるし、最悪、全員ネットが使えなくなる。(通信が麻痺)

これを防ぐのがSTP!!!(キラキラキラ

STPを有効化すると?

STPはネットワークを見て、「あ、このルートはループになるから、一時的に切っとこう」と判断する。
その結果、以下のようになる。
スクリーンショット 2025-06-11 135441.png
これならループは起きない。
しかも、 もしどこかのスイッチが壊れても、「お、じゃあさっき切ってた道、いま開通させるね!」と自動で直してくれる。 これが本当に便利!

STPを有効化するような構成は?

スイッチが 複数の道でつながってる(冗長構成) 。(例は以下)
スクリーンショット 2025-06-11 140528.png
スイッチが1本ずつ直列につながってるだけなら使わない。ループが生まれないからね!(例は以下)
スクリーンショット 2025-06-11 140606.png

ルートブリッジ(Root Bridge)

ルートブリッジは、STPにとっての「中心点」。
すべてのスイッチは「ルートブリッジを起点に、どの道が一番近いか?」を考える。
そうすることで、「この道は使おう」「この道は封鎖しよう(ブロックしよう)」ってちゃんと決められる。
結果として、ループのない安全なネットワークができる!

ルートブリッジはどのようにして決まる?

BPDUに格納されているBridge IDという数字を見て、それが一番小さい人がルートブリッジになる。

順序としては以下。

  • 全スイッチが「自分がリーダーだ」と思ってBPDUを出す。
  • ほかのスイッチがそのBPDUを受け取って「自分より小さい番号の人がいる!」と気づく。
  • 一番ブリッジIDが小さいスイッチが、最終的にルートブリッジとして残る、ということ。

Bridge IDの構成

ブリッジIDは、以下の2つを組み合わせた数字のこと。
スクリーンショット 2025-06-11 144858.png

プライオリティ(Priority)

スイッチに最初から設定されてる数字。普通は「32768」。
管理者が「このスイッチをリーダーにしたい」と思ったら、この数字を小さくすればよい。
(例:4096や0にすれば、選ばれやすくなる)

MACアドレス

スイッチについてる世界で一つの番号。
同じプライオリティのときは、MACアドレスが小さいほうが勝ち!

ルートポート(Root Port)

ルートブリッジに一番近いポートのこと。
他のスイッチから見て、「委員長のところへ行くならこの道がいちばんいいよ!」っていう専用の道。だから、1台のスイッチに1つだけルートポートがある。
各スイッチが、ルートブリッジに向かってデータを送るための「専用通路」みたいなイメージ。
ちなみにルートブリッジ自身にはルートポートはない(自分が委員長だから)。

ルートポートはどう決まる?

スイッチが受け取ったBPDUを見て、「コストが一番小さいポート」 を見てルートポートを決定する。
もし同じコストの道が複数ある場合は以下。

  • 送ってきたスイッチのBridge IDが小さい方を選ぶ。
  • それでも同じなら、ポート番号の小さい方を選ぶ。

指定ポート(Designated Port)

1つのネットワークセグメント内で、通信を通してよいと許可された代表ポートのこと。
セグメントごとに1つだけ選ばれ、そのポートから他のスイッチや端末にデータを送信できる。

指定ポートはどう決まる?

「そのセグメントから見て、一番効率よくルートブリッジへ行けるポート」が指定ポートに選ばれる。
ルートポートの選出方法とは違って、 セグメントごとに選ばれるということ!

選ぶ基準(優先順位)は以下。(ルートポートの選出方法と同じ)

  • そのポートからルートブリッジまでのパスコストが最も小さいポート。
  • コストが同じなら、そのスイッチのBridge IDが小さい方。
  • それも同じなら、ポートID(ポート番号)が小さい方。
ポートの種類 どこで選ばれる? 目的
ルートポート(RP) 各スイッチごと そのスイッチがルートブリッジへ向かう最短ルートを通すポート
指定ポート(DP) 各セグメントごと セグメント内でルートブリッジに最も効率よく行ける代表ポート

非指定ポート(Non Designated Port, Blocking Port)

STPにおいて、ループを防ぐために通信を遮断されているポート(RPにもDPにも選ばれなかったポート)のこと。
セグメント単位でも、スイッチ単位でもない。

項目 内容
状態 Blocking(ブロッキング)状態
通信 データフレームは通さない(※ただしBPDUは受信)
役割 ループを防ぐため、あえて使わないように「待機状態」にされている
存在する場所 スイッチのポートで、RPでもDPでもないもの

  • セグメント:「みんなで集まって、誰がリーダー(指定ポート)になるか決める」
    →それ以外の人は通信を止めて待機(=非指定ポート)
  • スイッチ:「どのポートを使ってルートブリッジに行くか決める(RP)」
    →それ以外は、必要ならDP、いらなければ非指定(=通行止め)

BPDU(Bridge Protocol Data Unit)

STPがスイッチ同士でやりとりするメッセージ(フレーム)のこと。
スイッチたちはSTPで「どの道を使って、どの道を止めるか」を決めるが、そのためには、お互いに「今の状態」や「自分がどの位置にいるか」を伝え合う必要がある。
その情報をやりとりするのが、BPDUというメッセージ。

BPDUに格納されている情報は?

以下のような情報が格納されている。ホントはもっとあるけど、代表的なものを…。

フィールド フィールド(日本語) 意味
Root ID ルートブリッジのID 経路探索の起点となるスイッチ(ルートブリッジ)のID
Bridge ID 送信元ブリッジのID 自身の識別ID(ブリッジID)
Path Cost コスト ルートブリッジまでの距離を表す値
Max Age, Hello Time, Forward Delayなど タイマー情報 「何秒ごとにBPDU送る? 古くなったら無効にする?」など

参照

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