マルチステージ承認とAI承認について
Copilot Studioのエージェントフローで新たに実装された 人間が介入する(Human in the loop) 機能のうち、Run a Multistage Approvals について紹介します。
この機能は、標準的な承認を拡張し、人間とAIのレビューを組み合わせた複雑な承認プロセスを構築できるものです。
- 複数の承認ステージを設定できるため、人間による確認とAIによる自動判定を組み合わせ、精度の高い意思決定が可能。
- 条件分岐を設定することで、案件の重要度やリスクに応じて承認フローを動的に制御できる。
- AI承認ステージを活用することで、単純な承認作業を自動化し、担当者の負担を軽減。
- 承認待ち時間を短縮し、全体の処理スピードを向上。
Microsoft Power Platform : 2025 年リリース サイクル1で発表され、現在はPreviewの状態です。
Run a Multistage Aapprovals は現在(2025/12/04)、Preview機能となり、安定性や完全なサポートは保証されません。
仕様変更や機能削除の可能性があるため、本番環境での利用は慎重に検討する必要があります。
主要機能
つの機能を組み合わせることで、複雑な承認フローを構築できます。
AIによる申請内容のチェック → 人間による最終承認/否認の決定 といったシナリオが実現可能です。
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手動承認ステージ
複数の人間承認者による確認。従来のApprovalの「承認の作成」アクションと類似。 -
AI承認ステージ
AIモデルによる自動意思決定。AI Builderのプロンプト機能に近く、承認条件を満たしているかをAIが判断。 -
条件付き承認
条件に応じて承認フローを動的に制御。
設定方法
Copilot Studio よりエージェントフローデザイナーを開き、「Run a Multistage Approvals」を追加します。
「Human in the loop」 というコネクタになります。

手動承認ステージ
人間に承認の決定を要求する機能です。
従来のApprovalの「承認の作成」アクションとほぼ同じアクションが作成できます。
ただし、「承認の種類」は[承認/否認 - 最初に応答]および、[承認/否認 - すべてのユーザーの応答が必要]の2種類のみ(カスタム応答は不可)。
現時点で、他のアクションとの値の連携は不可のようです。
(動的なコンテンツ、変数が利用できない)
また、異なるステージに同じ承認者を割り当てることは不可となります。
通知
Teams 承認アプリ、およびメールに対し、申請が届きます。
このあたりも、通常のApprovalの「承認の作成」アクションと同じですね。
日本語は文字化けしました。
AI承認ステージ
承認ワークフローの中で、自動化された意思決定を実装できます。
入力(ドキュメント、画像、ナレッジなど)とプロンプトを元に、AIは根拠を伴う承認/否認の判断を行います。
Copilot Studio の Copilot クレジットを消費する機能です。
Copilot Studio のライセンス要件 をご確認ください。
プロンプト ライブラリも用意されており、カスタマイズのベースとして利用できそうです。

動的なコンテンツを追加できる
AI プロンプトと同じく、動的なコンテンツを追加可能です。
ここで追加したコンテンツはアクションの引数として、エージェントフローデザイナーにて値の代入が可能となります。
コンテンツはbase64 形式で指定してください。

承認結果の動作
承認の結果の動作として、「続行」「承認済でアクション終了」「却下でアクションを終了」が選択可能

テスト機能
作成したステージはテストできます。
結果の根拠が明確に示されています。
このような請求書サンプル(png)を読み込ませてみましたが、正しく承認処理しています。

条件付き承認
作成済みステージの下部には、「条件」が追加可能です。
条件として設定可能な内容は多く、また変数の利用が可能なため、複雑な条件を伴った承認プロセスが実装可能となっています。
- グルーピングを含む複数の条件が設定可能(AND,OR)
- 「ならば」、「当てはまらない」により、If ~ Else のアクションが可能
- アクションとしては「続行」「承認済でアクション終了」「却下でアクションを終了」が選択可能
変数
変数の型として、Boolean、数値、文字列が設定可能です。
ここで定義した変数はアクションの引数として、エージェントフローデザイナーにて値の代入が可能となります。
まとめ
Run a Multistage Approvals を利用すると、高精度な承認をAIに任すことができ、人手による承認コストを大幅に削減できます。
これにより、承認業務のスピードアップが期待できるだけでなく、申請内容が社内規定に沿っているかを自動でチェックすることで、より安心感のある運用が実現します。また、申請業務の標準化が進み、業務プロセス全体の効率化にもつながります。
AIを活用した承認プロセスを手軽に作成できるこの機能は、 Copilot Studio のエージェントフロー限定機能ですが、業務への活用機会は増えると思います。


















