Vibe Codingとは
最初から厳格なプロセスや詳細な設計にこだわるのではなく、「感覚・流れ・直感」を重視して行うプログラミングスタイルです。
一言で言うと:Vibe Coding = フローに乗ってコードを書き、まずは「動く・理解できる」ことを優先し、その後に段階的に改善していく開発手法です。
メリット
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圧倒的なスピード:
5〜10分程度でプロトタイプやツール用スクリプトを作成でき、従来なら数時間かかっていた作業を大幅に短縮できる。 -
フロー(集中状態)を維持できる:
構文を忘れたり、Stack Overflowで調べたりして作業が中断されることがなく、思考の流れを止めずにコードを書き続けられる。 -
参入障壁が低い:
コードに精通していない人でも、実際に動くプロダクトを作ることが可能になる。 -
ブレインストーミングの補助:
アイデアに詰まったとき、AIが新しい視点や、これまで思いつかなかった方向性を提示してくれる。
デメリット
しかし、Vibe Codingを過度に使いすぎると、特に学生や、Automotive・医療などの高い信頼性が求められる分野に携わるエンジニアにとっては、非常に大きなリスクを伴います。
以下は、「vibe」に頼りすぎた場合に起こり得る深刻なリスクです。
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基礎力の低下:
コードと真正面から向き合い、試行錯誤するプロセスを省いてしまうことで、問題解決能力が育たなくなります。
AIが使えない状況では、何もできない状態に戻ってしまう可能性があります。 -
思考の怠慢化:
人は本来、楽な方向(=最小努力)に流れやすいものです。
AIに過度に依存すると、自ら考える習慣が失われ、スキルが徐々に衰えていきます。 -
セキュリティ上の問題:
AIは一見もっともらしいコードを生成しますが、実際には致命的な脆弱性を含んでいたり、既に非推奨・危険なライブラリを使用していることもあります。
コードを十分に理解せずに使うと、こうしたリスクに気付けません。 -
コード品質の低下:
今日動いているコードでも、内部構造はスパゲッティコードになっている可能性があります。
その結果、保守や拡張が極めて困難になります。 -
過信による錯覚:
簡単にプロダクトが作れてしまうことで、「自分は技術を理解している」と錯覚しがちですが、実際には基礎知識が大きく欠落しているケースも少なくありません。
解決策
淘汰されず、品質を守り続けるために、私たちはいくつかの「生存ルール」とも言える原則を守るべきです。
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基礎知識がツールより先:
AIが書いたコードが正しいのか間違っているのか、最適化されているのか“ゴミ”なのかを判断できる実力が必要です。 -
主導権を握る(Human in the loop):
運転するのはあなたで、AIはあくまで副操縦士です。AIに意思決定を任せないこと。 -
Trust but Verify(信じるが、必ず検証する):
1行1行を丁寧に読み、ロジックを理解し、マージ前に厳格なテストを行う。 -
AIを「家庭教師(Tutor)」として使う:
「コードを書いて」と丸投げするのではなく、「なぜこのやり方なのか」「この概念を説明して」などと問いかけたり、自分のコードレビューを依頼する使い方が効果的です。