こんにちは!株式会社ミリタンイの大石です。
AsanaにAIチームメイトが加わって、「AIに仕事を任せる」という選択肢が現実的になってきました。ただ、支援の現場でよくいただくのが「作ってはみたけど、どう話しかければいいのか分からない」というご相談です。
弊社でもしばらく実際に使ってきて、分かったことがあります。悩みどころだと思われている部分と、実際に効いてくる部分がずれているのです。
先に結論を書きます。依頼の仕方は、思っているほど重要ではありません。重要なのは、AIチームメイトの中身をどう育てるかです。
以前「Asanaのコメント、ちゃんと使えていますか?」の中で、コメントに文脈を残すことはAIが仕事を理解するうえでも効いてくる、と書きました。今回はその続きにあたる話でもあります。
そもそもAIチームメイトは「アカウントを持った同僚」です
まず押さえておきたいのが、AIチームメイトの立ち位置です。
AIチームメイトは自分のアカウントとプロフィールを持っていて、人のメンバーと同じようにタスクの担当者に設定できます。Asanaの公式ページでも、他のチームメンバーと同じようにタスクを割り当てられる存在として説明されています。
ここが、画面の隅にあるチャット欄に質問を打ち込むタイプのAIとの一番の違いです。アシスタントではなく、プロジェクトの中に席がある同僚として扱う。この前提が、後半の話につながります。
依頼の仕方は、そこまで気にしなくていい
AIチームメイトへの仕事の渡し方は、大きく2つあります。
ひとつは、通常のタスクを作って担当者にAIチームメイトを設定する方法。もうひとつは、既存タスクのコメント欄でメンションして頼む方法です。
導入前はこの2つの使い分けをかなり気にしていました。ただ実際に両方を回してみると、返ってくるものの質はそこまで変わりませんでした。どちらで頼んでも、こちらが伝えた内容に応じたものが返ってきます。
| 観点 | タスクの担当者にする | コメントでメンションする |
|---|---|---|
| 依頼の残り方 | マイタスク・プロジェクトに残る | コメントスレッドに残る |
| 期日の管理 | できる | できない |
| 後から探しやすさ | 探しやすい | スレッドを遡る必要がある |
| 出力の質 | 伝えた内容次第 | 伝えた内容次第 |
違いが出るのは、依頼が後からどう残るかという管理面のほうです。期日をつけて追いかけたい仕事、後から誰かが探しそうな仕事はタスクにしておくとラクになります。それ以外はコメントで十分です。
つまり、AIの精度を上げるために使い分けているわけではありません。人の仕事を管理しやすくするために使い分けている、という位置づけです。
メンションだけは付けておいたほうが確実です
ひとつだけ実務上のコツがあります。コメントで頼むときは、AIチームメイトを明示的にメンションすることです。
コメント欄には複数の人が書き込むので、宛先が曖昧だと「この書き込みは自分宛てか」という判断が入ります。メンションを付ければ、そこで迷いが生じません。
なお反応するきっかけには、担当者への割り当てやコメントのほかにも条件があります。条件は変わる可能性があるので、Asanaヘルプセンターの「AIチームメイトのトリガー」を確認しておくと確実です。
本当に重要なのは「動作」と「メモリ」
では何が効くのか。AIチームメイトのカスタマイズ設定、具体的には「動作」と「メモリ」の2つです。
動作、つまり事前の役割設定
動作は、AIチームメイトを作るときに設定する、いわば人物設定にあたる部分です。ここで決めるのは主に3点です。
| 設定項目 | 決めること | 具体例 |
|---|---|---|
| 口調 | どんな話し方で返すか | 敬語を使わず簡潔に、結論から述べる |
| 分野 | どんな仕事を担当するか | 社内イベントの会場選定と日程調整 |
| 情報の取り方 | 何をもとに判断するか | 過去の開催記録と参加者のフィードバックを優先 |
この3点を具体的に書くほど、返ってくるものが安定します。「丁寧に対応する」ではなく「専門用語を使わず、要点を3つ以内の箇条書きにまとめる」のように、行動レベルまで落とすのがコツです。
口調の設定は、思った以上に定着に効きます
ここは半分おまけの話なのですが、実は馬鹿にできません。
弊社では、好きなキャラクターの口癖をあらかじめ「動作」に登録して、そのキャラクターと一緒に仕事をしている感覚を楽しんでいる社員が何人もいます。私もその一人です。
くだらないと思われるかもしれませんが、AIチームメイトが放置される一番の理由は「話しかけるのが面倒」だからです。開くのが少し楽しみになる仕掛けがあるだけで、使う頻度が変わります。定着支援の観点から言っても、これは合理的な設計だと考えています。
メモリ、つまり一緒に働きながら育てる部分
そしてもっとも重要なのが、カスタマイズの中にあるメモリ機能です。
動作が「最初に決める設定」だとすれば、メモリは「働きながら足していく知識」です。一緒に作業を進める中で、今後も覚えておいてほしいことを、その都度メモリに追加していきます。
やり方はシンプルで、やり取りの中で「これはメモリに追加してほしい」と伝えるだけです。難しい操作は要りません。
ここを面倒がると、AIチームメイトはいつまでも初日の新人のままです。逆にきちんと伝えていくと、こちらが毎回説明していた前提を覚えた状態で仕事に入ってくれるようになります。同僚として扱うという話は、この部分でいちばん実感します。
実例、ランチと飲み会の会場探し
弊社でAIチームメイトに任せている仕事のひとつが、ランチや飲み会の会場探しです。
業務の本丸ではないのですが、AIチームメイトの練習台としてはかなり優秀だと感じています。理由は3つあります。
失敗しても痛くない
会場選びが多少ずれても、業務に支障は出ません。返ってきたものが期待と違ったときに、動作の設定を直したりメモリに情報を足したりする練習が、気楽にできます。
いきなり顧客対応や品質管理を任せると、外れたときの損失が大きく、検証どころではなくなります。まずは軽い仕事で挙動を掴むほうが結果的に早いです。
依頼が毎回ほぼ同じで、条件だけが変わる
「今回は何人」「予算はこのくらい」「エリアはこのあたり」と、変わるのは条件だけです。依頼の型が固定されているので、動作の設定が効いているかどうかを判断しやすくなります。
メモリの価値がはっきり分かる
これが一番大きい理由です。
会場選びは、覚えておいてほしい情報のかたまりでできています。誰が何を苦手としているか、前回どの店に行ったか、どのエリアが集まりやすいか、予算の相場はいくらか。こうしたことを毎回説明していたら、自分で探したほうが早くなります。
一度メモリに入れておけば、次からは条件だけ伝えれば済みます。メモリを育てると何が変わるのかを、短いサイクルで体感できるのです。
ここで掴んだ感覚は、そのまま業務側に応用できます。顧客の呼称ルール、社内の承認フロー、部署ごとの繁忙期。人の新人に少しずつ教えていくのと同じことを、AIチームメイトにもやればいいと分かります。
つまずきやすいところ
動かないときは、指示文よりアクセス権を疑う
AIチームメイトは、Asana上ですでに使われているアクセス制御をそのまま引き継ぎます。プライベートなプロジェクトやタスクには、人のメンバーと同じように明示的に追加しないとアクセスできません。権限が勝手に広がることもありません。
「この資料を参照して」と指示しただけでは足りず、実際にそのプロジェクトのメンバーに追加する作業が必要になります。指示文を書き直す前に、まず見える範囲を確認したほうが早いです。
役割を欲張らない
導入時によくある失敗が、いきなり広い役割を持たせることです。
何でもできるAIを目指すと判断基準が曖昧になり、応答の精度が落ちます。ひとつの役割に絞ったほうが精度は上がりますし、うまくいかなかったときに動作のどこを直せばいいかも見えます。
会場探しのような小さな役割からひとつずつ増やしていくほうが、遠回りに見えて確実です。
まとめ
- 依頼の仕方(タスクかコメントか)で出力の質はさほど変わらない。人が管理しやすいほうを選べばいい
- 効いてくるのは「動作」の事前設定と、「メモリ」に情報を足し続けること
- ランチや飲み会の会場探しのような軽い仕事は、メモリを育てる感覚を掴む練習台として優秀
最初の一歩としておすすめしたいのは、業務ではない小さな仕事をひとつ任せてみることです。そして一緒に進めながら「これは覚えておいて」と伝える回数を増やしてみてください。同僚として扱うという意味が、そのうち実感として分かってきます。
株式会社ミリタンイは、日本初のAsana Services Partnerに認定されたAsana活用のプロフェッショナルです。
導入設計から定着支援・運用改善まで、業務改善を一貫して支援しています。
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