私はまだPMとしての経験はないのですが、年齢的にもそろそろマネジメント側に回ることを考えないといけない時期になってきているのかなと考えており、将来のキャリアについて思い悩む日々を過ごしています。
しかし、マネジメント側に舵を切るとなっても、いざリーザーシップを張らないといけない立場になった際、今のままでは何もわからないままプロジェクトをまとめ上げることになってしまう……。
そうならないようにするためにも、今回は「プロジェクトマネジメントの基本が面白いほど身につく本」を手に取ってみました。
第1章 プロジェクトの基本をおさえよう
「プロジェクト」とは一体何か?という基本的な部分を説明した章。
プロジェクトは基本的に「独自の目標」と「期限」という2つの要素から成り立っており、PMの経験はなくてもプロジェクトメンバーとして動いた経験なら何度もあるにも関わらず、当たり前そうなことでも改めて言語化されると確かにそうだよなという納得感がありました。
この本の中ではプライベートにもプロジェクトが存在していると説明しています。
プロジェクトと言われるとハードルが高く思いがちですが、私自身も、例えば試験や旅行、飲み会、イベントの開催など、プライベートのプロジェクトに該当するようなことを自分が主催になって実行したことは数えきれないほどあり、自分も実は経験があるのだと考えると、少しだけですが肩の荷が降りるようでした。
プロジェクトには、期限内に目標を達成するための様々な「制限」や、期限を未来に設定することによる「不確実性」、「プロジェクトごとに変化するメンバー」が存在します。
こちらもプライベートの旅行に例えると、「制限」は何を旅行先に持っていくかの事前準備や、限られた日数内での日程調整、「不確実性」は豪雨や突風などで交通機関がストップしてしまうなどして旅程が狂ってしまうトラブル、「プロジェクトごとに変化するメンバー」は一緒に旅行へ行くメンバーとストレスなく過ごせるかどうか、などでしょうか。私は旅行が趣味であり、全て実際に考えたことがある行程だったのでイメージがしやすかったです。
プロジェクトはこれらに対応するため、活動を「やりくり」して目標達成をしていくことが求められます。この「やりくり」を行うのがPMです。
「やりくり」は非常にやることが多く、各タスクのスケジュール管理や不確実性へのリスク対応、チームメンバーとのコミュニケーションなど様々です。プライベートでのプロジェクトも「やりくり」しないといけないことが多いので、これにはしっくりくるものがありました。
この「やりくり」の一つに「ステークホルダー」が誰なのかをしっかりと把握し、良好な関係を築くことがあります。「ステークホルダー」とは、プロジェクトに直接的、または間接的に関わる人たちのことを指し、プロジェクトチームのメンバーや決裁者、経営者などの内部関係者のみならず、スポンサーや顧客など、外部の関係者も含まれます。
良好な関係を維持することで、プロジェクトに対していろんな人の協力を得ることが可能になり、余計なコストも掛からなくなるため、目標達成に向けて円滑に進めることができるのだと理解しました。
また、プロジェクトを管理するため、目標設定や計画などを言語化・可視化して「見える化」することも大切です。プロジェクトには大勢の人が関わっているため、曖昧なままだと一緒の方向が向けず、やり直しやトラブルを誘発します。できる限りスムーズに期限までに目標達成へ向かわせるためにも、言語化・可視化が必要になってくるのだと思いました。
第2章 未来の目標を明確にしよう
明確な目標設定をどのように立てたらいいのかを取り上げている章。
プロジェクトは「ゴールから考える」活動であるため、目標設定から考えていきます。つまり、「できない理由」ではなく「どうしたらできるか」を考える力が求められ、明確な目標を立てていくことが大事です。
目標設定にはまず「6W2H」を明確にすることが大切であり、ここを明確にすることで目標がイメージしやすくなり、具体的な計画も立てやすくなります。
- What(何を)
- Why(なぜ)
- When(いつ)
- Who(誰が)
- Whom(誰に)
- Where(どこで)
- How(どのように)
- How Much(いくらで)
「6W2H」をそれぞれまとめていくにあたり、大切になるのは要件定義書や計画書など、プロジェクト化される前に存在する資料です。
これらの資料は様々なステークホルダーへのヒヤリングを通じて作成される資料です。プロジェクトを構成する大切な要素である目標設定を行うにあたり、ここが杜撰だと今後のプロジェクトの方向性がずれていってしまうことにつながるため、ステークホルダーから情報をダイレクトに得て、しっかりと資料をまとめておくことが重要であると理解しました。
また、資料やステークホルダーからのヒヤリングで得られた情報には「要求事項」が含まれており、「誰が」「何を」要求しているのかを確認し、これらも管理表にまとめておくのがいいです。
管理表にまとめていく中で、ステークホルダーごとに利害が衝突した要求が出てくるため、話し合いや決裁者の意思決定を仰ぐことで優先順位をつけていく必要があります。
プロジェクトの前提となる資料やステークホルダーへのヒヤリング、要求事項を調整したら、プロジェクトの目標を明確にした書類の一つである「プロジェクト憲章」をまとめていきます。
「プロジェクト憲章」をまとめるにあたり、プロジェクトに必要な各項目ごとに「6W2H」を更に詳細化し、各項目の内容には「MORSの法則」や「SMARTの法則」を考慮しながら記載していきます。
「6W2H」や「MORSの法則」、「SMARTの法則」は、この本のみならず、ビジネスシーンで頻出する単語なので、覚えておく必要があるなと思いました。
プロジェクトを実行していくと、プロジェクトに反対する関係者も現れてくるため、プロジェクトを円滑に進めるべく、ステークホルダーと良好な関係を築くための「ステークホルダーマネジメント」をプロジェクトの初期から進めていくことも大切です。
どのステークホルダーがどのようなことに関心があり、プロジェクトには賛成か反対かなど、ステークホルダーとの関係性を把握するにあたり、「ステークホルダー管理表」が重要なツールになります。
私にはこのような人との関係性を表でまとめるという発想が元々なかったため、人間関係という範囲まで管理をすることもあるのだなという意外性がありました。
プライベートの話になってしまいますが、マッチングアプリで出会った人のプロフィールや会った時に話した内容をエクセルなどにまとめて管理する人をそれなりに見かけるので、もしかしたらこのようなビジネスの手法をなぞったものなのかもしれないです。
第3章 プロジェクトを計画しよう
プロジェクトの計画を立てる方法を具体的に説明をした章。
プロジェクトの目標設定が明確になり、プロジェクト憲章が承認されたら、計画を立てるフェーズに入ります。この計画を立てる際にまず必要なのは、目標を細分化することであり、このことを「要素分解」と呼びます。
このようにタスクを細分化して計画を立てやすくする方法については、新卒の時に自分のタスクの実行計画を立てる際にも大事だと教わったため、プロジェクト全体の計画を立てる際にも必要だということはイメージしやすかったです。
この要素分解に必要なツールが「WBS」で、一般的に四層構造のツリー図にして作成していきます。
WBSを作成していく際には、管理しやすいサイズでタスクを分解していくことが大事になってきます。大きすぎると進捗管理が難しくなり、小さすぎると進捗管理の工数が増えてしまうため、PMとして経験を積んで、試行錯誤をすることで感覚的にちょうどいいサイズを見つけていくことがいいと理解しました。
WBSでタスクを導き出した後は、「ガントチャート」という工程表を作成していきます。
ガントチャートは作業者としてもPMが作成したものを何度も見たことがありますし、副業でWedサイト制作を行った時にも軽いものを自分で作成したこともあるので、マネジメントをしたことがない私も身近なものでしたが、具体的な作成方法を知るのは初めてだったので非常に学びになりました。
ガントチャートでスケジュールを作ると、プロジェクト憲章で明示した期日までに収まらないことがあります。この場合、譲れない時間的ポイントである「マイルストーン」を決め、これに合わせて人的リソースなどを投入して作業のスピードを高めるなどをしてタスクを調整していき、調整しても間に合わない場合は、プロジェクト検証を修正する必要が出てきます。
また、計画時には予算について考えることも大事です。これらは「コスト管理表」を作成してまとめて、コストをWBSがガントチャートから見積もっていきます。
「タスク」と「要素成果物」、「成果物」の各コストをそれぞれ見積もって、算出をしていくことで、プロジェクト全体のコストを出していきます。
予算を導き出すという点でも、WBSやガントチャートを使用することになるので、これらをまずしっかりと固めていくことが大事なのだなと思いました。
また、プロジェクトを進行していくと、必ずと言ってもいいほどリスクが発生します。リスクが発生した際、最低限実施すべきことは「リスク管理表」にまとめて、計画的にリスクに対応する準備も必要となってきます。
リスク管理をする際、まずはリスクの洗い出しをします。この洗い出したリスクを、縦軸を発生頻度、横軸を影響度にしたマトリックスへ配置をし、ここから優先順位をつけていきます。優先順位をつけた上で、それぞれのリスクに対する対策内容や対応コストをまとめた「リスク管理表」を作成していくことになります。
上記全ての計画書類をまとめて「プロジェクトマネジメント計画書」と呼び、プロジェクトの資源であるヒト、モノ、カネ、ジョウホウ、ジカンを管理するのに大事な書類となります。マネジメントに慣れていない人はこれらに沿ってまずは実践することが大事です。
第4章 プロジェクト計画を実行しよう
プロジェクトを実行する際の流れや注意点について説明をした章。
プロジェクトの実行する最初には、まず必ず「キックオフ」を開催します。
キックオフではPMやメンバーの自己紹介やプロジェクトの概要説明、チーム内のルール共有などを行います。
このキックオフの大切さはメンバーの一人としてもとても理解しています。
業務内容の概要や意義がわかることで、自分の関わっている業務の解像度が上がり、「何に関わっているものなのか」が明確になって安心して作業を進められますし、区切りの一つとしてモチベーションも上るなというのは実感としてあるものです。
また、メンバー同士の交流を図るという点でも、お互いの顔がわかるだけでも仕事を進める時にやりやすくなります。今はリモートワークで業務を行う会社も多く、顔が見えなくなりやすいからこそ更に重要になってくると思います。
そこから遂にプロジェクトの実行に移ります。実行開始後、計画とチームメンバーによる各種の実績を確認する「進捗管理」を行います。
進捗管理は最低でも週一回はすることが大事とのことですが、私が今までに関わってきたプロジェクトでは、大概、毎日朝会や夕会をして、メンバーごとの進捗確認を行なっていました。業務を進めているとリアルタイムで毎日何かしらの問題が発生するため、週一では足りないのではないかと思っています。
進捗管理の中でもスケジュールの進捗について、各タスクの進捗率の平均値をプロジェクト全体の進捗率とする、というルールを定めると明確な基準を持って進捗報告をすることができます。
進捗管理を行っていると、スケジュールが遅延をしていたりなど、進捗に異変を覚えることがあります。この際に必要なのが「是正措置」です。
是正措置を行うために大切なことは、メンバーやステークホルダーなどとのコミュニケーションを行うことで情報収集をし、早期発見をすることです。
また、この是正措置を予防措置につなげることも大事となってきます。
是正措置や予防措置を行なっても計画通りに進まない場合、目標や計画自体を変更していくことを考えます。もし、変更することになった場合、プロジェクト全体にどのような影響を与えるのかを見る必要があり、全体のバランスを考えて決めていくことが大事です。
プロジェクト実行中には、チームとしての生産性を高めるためにチームの育成もPMとして重要な仕事の一つとなります。もしメンバー同士の「コンフリクト」が発生した場合、PMが仲裁役として入り、お互いの価値観や文化の違いを理解させて、これらを解消していきます。
そして、プロジェクトが終了したら「プロジェクト終了書」を作成します。プロジェクト終了書は、プロジェクトをずるずると継続しないよう、正式に終了させるためにまとめる必要があります。
また、PMの知識を組織内に蓄積させ、ノウハウを残すためにも大切です。
第5章 「戦略的思考」を身につけよう
プロジェクトを進める際に役立つ独特の思考について説明をした章。
ゴールから考える活動であることを反映した、目標からいつまでに何が必要かを逆算して考える「バックキャスティング思考」や、あらゆるモノやコトを可視化させてマネジメントしやすくさせる「エンジニアリングアプローチ」などが紹介されていました。
特に私が何度か見聞きしたことのある用語である「クリティカルパス」についても取り上げられており、プロジェクトではこのクリティカルパスを意識してマネジメントすることが求められるとのことです。
基本情報技術者試験の問題の中に、このクリティカルパスを把握して最短で完了する作業を計算するものがあるのですが、試験問題を解くだけではこれらの重要性がいまいち掴めませんでした。しかし、本書を読むことで、クリティカルパスはプロジェクト全体のスケジュールと同じであるため、ここに含まれているタスクを遅延させないようにコントロールすることが肝であるのだなということがスッと理解ができました。
第6章 リーダーシップを発揮しよう
リーダーシップを発揮するための「人間力」の重要性を説明した章。
PMとして人を動かすために重要なものは、「リーダーシップ」や「コミュニケーション」、「モチベーションマネジメント」などの人間の情緒に呼びかけていく「人間性」です。
リーダーシップは共通の定義は存在しませんが、2名以上いる組織で発揮されることと、リーダーがいればフォロワーのいることが共通点となります。
リーダーシップを発揮するためには、対象のフォロワーや環境によってリーダーシップのスタイルを使い分けることが大切です。
例えば、基本的なものだと「指示型」と「支援型」の二つがあります。プロジェクト内で緊急事態が起こった際は、リーダーが率先してフォロワーに支持するスタイルである「指示型」が求められますし、緊急時以外ではフォロワーを主体として、リーダーがそれを支援しながら結論に導いていく「支援型」で進めていくのが望ましく、その時々の状況によって切り替えてリードすることが重要です。
また、メンバーのモチベーションを育てていくこともプロジェクトを成功に導く鍵となります。
各メンバーごとに何でやりがいを感じるのかという価値観が違ってくるため、個々の価値観を知り、適切なコミュニケーションを取ることで、メンバーの感情を動かすことで、プロジェクトに対するモチベーションを高めていくことが大事です。
まとめ
本書ではプロジェクトマネジメントを行う際の基本的な考え方や進め方が一通り網羅されており、漠然としていたマネジメントのやり方が明確になりました。
思っていた通りですが、やはりマネジメントは気を使わないといけない場面も多く、そんな中で上手くリーダーシップを取ってくれている現役のPMに対する尊敬の念が更に強まりました。
しかし、いずれは私がPMなることもあるでしょう。そんな時、再度読み直せるように、お守りとして仕事用の机に置いていきたい。そんなことを思えるような本でした。