<あらすじ>
日経平均株価:世界で3番目の規模を誇る東京証券取引所、その1部上場企業から選ばれし225銘柄の平均株価
日本の株式市場を代表する株価指数ならば、その値動きにつられて一緒に上がる(下がる)銘柄があってもいいのではないか?
という疑問を以前を検証しました。
「日経平均株価が上がった次の日に上がる銘柄を見つけたい」
今回の検証は上記の続編として分単位で値動きを比較します。
※続編ですがなるべくこの記事だけでも内容が分かるように書きました
【疑問】
・分単位ならば日経平均株価が個別銘柄に及ぼす影響を観測できるのか?
【結論】
・日経平均株価は個別銘柄に影響を与えない
・分単位よりも日単位の方が傾向が観測しやすい
きっかけ
前回の検証「日経平均株価が上がった次の日に上がる銘柄を見つけたい」の内容を要約すると
- 疑問①:日経平均株価につられて一緒に上がる銘柄が存在するのか?
- 検証①:日経平均株価が上昇した前日/翌日、個別銘柄が上昇したか調査
- 結果①:日経平均の値動きに個別銘柄がつられる確率よりも、前日に個別銘柄が上がって翌日に日経平均が上がる確率が高い
- 疑問②:225銘柄の過半数が上昇した、次の日に日経平均株価は上昇する確率が高いのか?
- 検証②:上昇した個別銘柄の数と翌日の日経平均株価の関係を調査
- 結果②:短期的には上昇した個別銘柄が多い日の翌日、日経平均株価は上昇するが検証期間を長くすると50%に収束する
- 結論:個別銘柄の前日の値動きは、翌日の日経平均株価の値動きに影響しない
上記の検証では日経平均株価が個別銘柄に影響を与えるのかを知るために、1日ごとのデータで検証しました。
しかし、「投資の世界では1日という期間は大変長く、個別銘柄に及ぶ影響を読み取れないのではないか」
「日経平均株価の値動きの影響を受けるのはもっと小さな銘柄なのか」と考えました。(そもそも受けないのかも...)
ということで、今回は分単位で日経平均株価が個別銘柄に影響を与えるのかを調査したいと思います。
検証方法
検証方法は前回と同様ですが対象銘柄と期間を変更します。
<検証項目>
以下の3パータンで日経平均株価が上昇(下降)したときに、ある銘柄が上昇(下降)したかを確認します。
- 日経平均株価が上昇した、同じ時刻に上昇したか
- 日経平均株価が上昇した、1分後に上昇するか
- 日経平均株価が上昇した、1分前に上昇していたか
同じ方向に動いた場合1ポイントとし、ある期間の合計ポイントを各銘柄で求めます。
その後、一致率 [%] = 合計ポイント/ 期間 × 100 で値動きの一致率を算出する。
※下降した場合も同様
また、1分単位に加えて5分単位でも検証します。
<対象銘柄>
・日経平均株価を構成する全225銘柄
・東証マザーズに上場する全333銘柄
<期間>
・2020年12月7日~2020年12月11日
・2020年12月14日~2020年12月18日 計10日
▼ パターン2/パターン3のとき(ともに一致率:33.3%)
※ 検証プログラムは前回と同様のため省略
結果
【パラメータ】
検証期間:2020年12月7日~12月11日, 12月14日~12月18日
検証間隔:1分, 5分
比較銘柄:日経平均225銘柄,東証マザーズ333銘柄
パターン1. 日経平均株価が上昇した、同じ時刻に上昇したか
パターン2. 日経平均株価が上昇した、1分後に上昇するか
パターン3. 日経平均株価が上昇した、1分前に上昇していたか
【結果】
下に検証結果の表を記載してありますが、ざっとまとめると
・日経平均銘柄に比べてマザーズは出来高が小さいため、分単位では一致率が低くなる(そもそも値動きがない)
⇒値動きがない場合も0ポイントとしたため一致率は低いが、これは日経平均株価の値動きに連動していないとも言える
・1分間隔/5分間隔に関わらずパターン2,3のように比較する時刻をずらすと、全ての期間かつ全銘柄において最大一致率は55%程度
・パターン1の同じ時刻の時点で値動きの一致率がほとんどの場合50%未満である
⇒1日間隔で行った前回の検証では同じ日ならば70%一致していたが、分単位の場合は別々の方向に動く
・パターン1とパターン2,3を比較すると2,3の両方で1分間隔で約6%,5分間隔で約13%一致率が低下する(前回の1日間隔では約20%低下)
⇒同じ時刻とずらした場合を比較したとき、検証間隔が長くなるほど一致率の低下は大きくなる
まとめ
前回の検証に引き続き「日経平均株価が個別銘柄に影響を与えるのか」検証しました。
・投資の世界では1日という期間は大変長く、個別銘柄に及ぶ影響を読み取れないのではないか
・日経平均株価の値動きの影響を受けるのはもっと小さな銘柄なのか
という疑問から、検証データを分単位にし、検証銘柄にマザーズ上場銘柄を追加して検証を行いました。
しかし結果は日経平均株価の値動きとの一致率は最大でも55%程度となりました。
(1日間隔で行った前回の検証では最大で一致率が80%を超える銘柄も存在した)
分単位では別々の方向に動いても、1日単位ならば値動きの方向は一致する銘柄があることが分かります。
よって、分単位よりも日単位の方が各銘柄の傾向が観測しやすいのではないかと考えます。
日経平均株価と個別銘柄の関係を2回にわたって検証していて薄々感じていましたが、今回で日経平均株価は個別銘柄に影響を与えないと結論付けます。
得られた教訓は「銘柄の値動きの相関を検証するときは日単位で行う」ということです。
<結論>
疑問:日経平均株価は個別銘柄に影響を与えるのか?
回答:与えない!
教訓:分単位よりも日単位の方が傾向が出やすい
次は
今回の検証では日経平均株価の値動きの幅について考慮していないため、大きく動いたとき(〇%以上)に絞って検証してみるのも面白いかもしれません。(今回はデータが少なく大きく動いたのが寄り付きくらいだったため検証できませんでした)
また、今後個別銘柄の値動きに与える影響を検証するときは、もう少し間接的に影響を与え、タイムラグが生じやすそうな事象を考えてから検証してみたいと思います。
<例>
・製造メーカーと材料費
・農業関連銘柄と天気予報
・医療/観光銘柄とコロナ感染者数
※かなり安直ですが...
今後の予定
・積み立て投資するなら何日に設定すると良いか
・ゴールデンクロス後は実際のところどれだけ上がるのか