この記事は、Microsoft 365 Copilot の エージェント機能 について「結局なにができるの?」「Copilot チャットと何が違うの?」「Copilot ライセンスがない自分でも使えるの?」をざっくり理解するための資料です。
技術的な話は最小限にして、自分の業務にどう関係するかがわかることをゴールにしています。
🧩 エージェントとは何か
Copilot チャットは、なんでも答えてくれる便利な AI です。ただし「なんでも答えてくれる」ということは、裏を返すと 何の専門家でもない ということです。
エージェントは、この Copilot に 「あなたはこの業務の担当者です」「この資料を見て答えてください」 という役割と知識を持たせたものです。
例えば、同じ「有給申請ってどうやるの?」という質問でも、Copilot チャット に聞くと、Web の一般的な情報をもとに一般論を返します。一方 エージェント に聞くと、社内の就業規則ファイルを参照して、自社のルールに沿って回答してくれます。
🤖 従来のチャットボットとの違い
「チャットボットなら前からあったよね?」と思った方もいるかもしれません。
以前の Microsoft にもチャットボット作成ツールはありました。ただしそれは、「この質問が来たら → この回答を返す」というパターンをひとつずつ登録していく 仕組みでした。想定外の聞き方をされると答えられない、いわゆる決まった受け答えしかできないタイプです。
エージェントは違います。生成 AI がナレッジをもとに自分で文章を組み立てて回答する ので、質問の表現が多少変わっても柔軟に対応できます。
💡 従来のチャットボット作成ツール (Power Virtual Agents) は、現在 Copilot Studio に統合されています。
🏪 エージェントを使ってみる
Microsoft 365 Copilot には エージェント ストア という、エージェントを探してインストールできる場所が用意されています。
エージェント ストアには、大きく分けて 3 種類のエージェントが並んでいます。
- Microsoft が用意したもの ── リサーチ ツール、アナリスト、PowerPoint、Excel、Word など、最初から使える専門エージェント
- テンプレート ── Plan My Day、Status Update Agent など。そのまま使うことも、自分好みにカスタマイズすることもできる
- 自社や外部パートナーが作ったもの ── IT 部門が Copilot Studio で作成して社内公開したエージェントなど
まずはエージェント ストアを開いて、どんなものがあるか眺めてみるところから始めるのがおすすめです。
✏️ エージェントを作ってみる
エージェントは使うだけでなく、自分で作ることもできます。Agent Builder というツールを使えば、プログラミングの知識がなくてもエージェントを作れます。
📝 作成の流れ
ざっくりとした流れはこの 3 ステップです。
① エージェントの役割を決める
「何の専門家にするか」を日本語で書きます。例えば「社内の就業規則に関する質問に答える担当者です。丁寧な口調で回答してください。」のようなイメージです。
② ナレッジを設定する
エージェントが参照する情報を指定します。SharePoint のファイルやフォルダ、Web サイトなどを選べます。ここで指定した情報をもとに回答するので、「何を見て答えるか」を決める一番大事なステップです。
③ テストして公開する
設定が終わったら、実際に質問を投げて回答を確認します。問題なければ自分用に使い始めたり、チームに共有したりできます。
テンプレートを使えばさらに簡単です。テンプレートを選んで、ナレッジの参照先だけ自社のものに差し替えれば、すぐに使えるエージェントが出来上がります。
🔑 Copilot ライセンスの有無で何が変わるか
ここで一つ大事な話があります。Copilot ライセンス (有料アドオン) が付与されているかどうかで、エージェント機能のできることが変わります。
| Copilot ライセンスなし | Copilot ライセンスあり | |
|---|---|---|
| Copilot チャット | ✅ 使える (標準アクセス) | ✅ 使える (優先アクセス) |
| エージェントを作る (Agent Builder) | ✅ 作れる (一部機能制限あり) | ✅ フル機能 |
| ナレッジに Web サイト / アップロードファイルを指定 | ✅ | ✅ |
| ナレッジに SharePoint / OneDrive を指定 | ❌ | ✅ |
| ナレッジに Teams チャット / Outlook メールを指定 | ❌ | ✅ |
| 社内データの横断検索 (Microsoft Graph) | ❌ | ✅ |
| リサーチ ツール・アナリスト | ❌ | ✅ (月 25 クエリ) |
| AI モデルの選択 | ❌ | ✅ |
| Copilot Studio エージェント利用時のクレジット消費 | 消費される | 免除 |
| ライセンスのない人が作成・共有したエージェントの利用 | ✅ | ✅ |
| ライセンスのある人が作成・共有したエージェントの利用 (ナレッジが Web / ファイルのみ) | ✅ | ✅ |
| ライセンスのある人が作成・共有したエージェントの利用 (ナレッジに SharePoint 等を含む) | ❌ | ✅ |
| Copilot Studio で全社公開されたエージェントの利用 | ✅ (クレジット消費) | ✅ (クレジット免除) |
Copilot ライセンスがなくても、Agent Builder でエージェントを作ること自体はできます。ただし、社内データの横断検索や AI モデルの選択など、一部の機能は Copilot ライセンスがないと使えません。
「自分はライセンスを持っていない」という方でも、IT 部門が Copilot Studio で作成して全社公開したエージェントであれば利用できる場合があります。まずは自社のエージェント ストアに何が公開されているか確認してみてください。
🔮 この先に来る世界
Copilot Cowork という機能が、現在 Frontier プログラム (早期アクセス) で提供され始めています。一般提供はまだされていません が、一般提供されれば日々の業務に大きなインパクトがある機能なので、紹介しておきます。
ここまで紹介してきたエージェントは、基本的に 「聞いたら答えてくれる」 か 「あらかじめ設計した処理を実行する」 ものでした。Copilot Cowork は、やりたいことを伝えるだけで、やり方を自分で考えて、実行まで進めてくれる 仕組みです。
例えば「来週中にチームの定例会議を設定して」と伝えるだけで、空き確認から会議作成、案内メールの下書きまでを一気に進めてくれます。重要な操作の前には必ず確認が入ります。
利用には Copilot ライセンスが前提です。これが使えるようになれば、「自分でやるほどでもないけど、地味に時間がかかる作業」を Copilot に任せられるようになります。
✅ まとめ
- エージェント は、Copilot に役割と知識を持たせた「業務専門の AI」です
- エージェント ストア から、すぐに使い始められます
- Agent Builder や Copilot Studio を使えば、自分でも作れます
まずはエージェント ストアを覗いて、どんなエージェントがあるか眺めてみるところから始めてみてください。
❓ エージェントに関する Q&A
🔒 エージェント全般
Q. エージェントに社外秘の情報を質問しても大丈夫?
大丈夫です。Copilot のエージェントに入力した内容は、AI の学習に使われることはありません。会社のセキュリティルールが適用された状態で動いています。
ただし、エージェントを他の人と共有している場合、共有相手もそのエージェントの回答を見ることができます。機密性の高い情報を扱う場合は、共有範囲を確認してください。
Q. エージェントが間違った回答をすることはある?
あります。AI は 100% 正確ではありません。回答には参照元のリンクが表示されるので、大事な判断をする場合は必ず元のドキュメントで確認してください。
Q. 自分で作ったエージェントは他の人も使えるの?
共有設定をすれば使ってもらえます。
ただし、エージェントは 使う人のアクセス権限で動く ので、共有相手が参照先のファイルにアクセスできない場合、その部分の情報は回答に含まれません。「エージェントを共有した = ファイルも見られる」ではないのでご注意ください。
📂 ナレッジとデータ
Q. エージェントにはどんなデータを参照させられる?
Agent Builder では、以下のデータをナレッジとして設定できます。
- SharePoint Online (サイト、ドキュメントライブラリ内のファイル、リスト、ページ)
- Teams チャット
- Outlook メール
- Web サイトの URL
- 直接アップロードしたファイル (エージェント側で保管されます。最大 20 ファイルまで)
どのデータも、自分がアクセス権を持っているものだけが対象です。
⚠️ 利用できるナレッジソースの種類は、Copilot ライセンスの有無によって異なります。
Q. 参照先のファイルを更新したら、すぐに回答に反映される?
指定方法によって異なります。
- サイトの URL を指定した場合: ほぼすぐに反映されます
- ファイルやフォルダを個別に指定した場合: 反映まで 4〜6 時間かかることがあります
「更新したのに古い回答が返ってくる」という場合は、少し時間を置いてから試してみてください。
🔑 Copilot ライセンスとクレジット
Q. Copilot ライセンスがなくてもエージェントは作れる?
Agent Builder でエージェントを作ること自体はできます。ただし、SharePoint Online や OneDrive 内のデータ、Teams チャット、Outlook メールを参照させるには Copilot ライセンスが必要です。ライセンスなしの場合は、Web サイトの URL の指定とファイルの直接アップロードに限られます。
Q. Copilot ライセンスがなくても、他の人が作ったエージェントは使える?
IT 部門が Copilot Studio で作成して全社公開したエージェントであれば利用できます。ただし、ライセンスの有無によってクレジットの消費の仕方が変わります (次の Q を参照)。
Q. エージェントを使うとお金がかかるの?勝手に使っていい?
エージェントを使うときに、裏側で「クレジット」というものが消費されます。ただし、これは会社のアカウントで管理されているもので、個人にお金が請求されることはありません。
Copilot ライセンスが付与されている方は、クレジットの消費を気にせず使えます。
| クレジット | |
|---|---|
| Copilot ライセンスあり | 気にしなくて OK |
| Copilot ライセンスなし | 会社全体のクレジットが消費される |
Copilot ライセンスのない方がエージェントを使った場合は、自社環境 (テナント) に割り当てられたクレジットから少しずつ消費されます。とはいえ、普通に使う分には問題ありません。クレジットの残量は IT 部門が管理していますので、「使いすぎて止まった!」ということがないように運用されています。
不安な場合は、IT 部門に「エージェントを使っても大丈夫ですか?」と一声かけておくと安心です。
📎 付録: Copilot Studio をもっと知りたい方へ
本編で触れた Copilot Studio についてもう少し踏み込んで紹介します。





