データ分析・機械学習・ビッグデータ処理の分野で必ず登場する技術が Apache Spark。
「Spark は高速って聞くけど、何がどうすごいの?」
「Hadoop や Flink と何が違うの?」
と疑問に残ったため、備忘として調査した内容を可能な限りわかりやすく解説します。
1. 結論:Sparkとは?(一言でいうと)
Apache Spark は「大量データを高速で処理する分散処理エンジン」
メモリ上でデータを処理できるため、Hadoop MapReduce より数十倍高速です。
2. Spark の特徴とできること
■ 2-1. 大量データを高速処理できる
通常のデータ処理ではディスクに何度も読み書きするため遅くなりがちですが、
Spark は メモリ上で計算 を行うため非常に高速です。
そのため、
- 数千万〜数十億件のデータ処理
- 大規模なデータ前処理
- 複数ステップの計算処理
を効率的に行うことができます。
■ 2-2. 分散処理で大規模データにも対応
Spark は複数のサーバー(ノード)に処理を分散できます。
そのため、1台では処理できないデータ量でも、
クラスタ全体で並列に計算して高速化
できます。
■ 2-3. SQLやPythonで扱える(学習コストが低い)
Spark は以下をサポートしています。
- Spark SQL(SQL文でデータ分析)
- PySpark(PythonでSparkを扱う)
- Scala / Java(本家言語)
特に Python だけで大規模データ分析できる のは大きな魅力です。
■ 2-4. 機械学習処理も可能(MLlib)
Spark には機械学習用ライブラリ MLlib が組み込まれています。
できることは以下のとおり:
- 前処理(スケーリング、欠損補完など)
- モデル学習(回帰・分類・クラスタリング)
- モデル評価
前処理から学習まで Spark だけで完結できる のは非常に便利です。
■ 2-5. ストリーミング処理にも対応
リアルタイムデータ処理(ストリーミング)も可能です。
例:
- Webサーバーログのリアルタイム解析
- IoTセンサーの連続データ処理
- イベントデータのリアルタイム集計
バッチ処理とストリーミングを一つのフレームワークで扱えるのが強みです。
3. Spark のメリット・デメリット
■ メリット
- メモリ上での処理で 高速
- クラスタ構成で ビッグデータに強い
- SQL・Python で書けて学習コストが低い
- ETL / 分析 / 機械学習 / ストリーミングと用途が広い
- Databricks、EMR、Dataproc などクラウド基盤との相性が良い
■ デメリット
- 分散処理の仕組み理解が必要
- チューニングが難しいことがある
- ローカル環境だけでは再現しづらい場合がある
- クラスタ構築にはインフラ知識も求められる
4. 他技術(Hadoop / Flink / Databricks)との比較
Spark とよく比較される技術を整理すると、以下のようになります。
| 技術 | 主な役割 | 特徴 | Sparkとの違い |
|---|---|---|---|
| Hadoop MapReduce | 分散バッチ処理 | 安定、歴史が長い | Sparkの方が数十倍高速 |
| Apache Flink | ストリーミング特化 | 真のリアルタイム処理 | バッチ処理ではSparkが強い |
| Databricks | Spark専用クラウド | 管理不要・高速・ノートブック統合 | Spark をより使いやすくしたプラットフォーム |
結論としては、
- バッチ + 機械学習 → Spark
- リアルタイム特化 → Flink
- 統合分析基盤をフルに使いたい → Databricks
という使い分けになります。
5. まとめ
- Spark は 大量のデータを高速分散処理できるエンジン
- SQL・Python で扱えるため初心者でも学びやすい
- ETL から ML、ストリーミングまで幅広く対応
- Hadoop より高速、Flink より汎用的
- ビッグデータ基盤には欠かせない技術のひとつ