複数の総和(シグマ)を抽象化して1つにまとめる方法
〜「りんごとバナナの売上データ」から学ぶ数式の一般化〜
背景
たとえば、以下のような売上データがあるとする:
- りんごの売上(2日分):
x₁ = 100
,x₂ = 150
- バナナの売上(3日分):
y₁ = 80
,y₂ = 90
,y₃ = 110
これらを合計する式はこうなる:
∑_{i=1}^{2} x_i + ∑_{j=1}^{3} y_j
直感的な例え:りんごとバナナを数える
この式は、次のような状況に置き換えられる:
「りんご2個とバナナ3本を数える」
→ 「果物の種類d
ごとに、個数k
を数える」
このとき、d = 1
をりんご、d = 2
をバナナとすれば、
「果物の種類ごとに、個数を数える」という形で統一的に表現できる。
抽象化の目的
このように「種類ごとに長さが異なる複数の和」を、ひとつの統一的な構造で表現したいときがある。
そのために、以下のような抽象化を行う:
∑_{d ∈ {1, 2}} ∑_{k ∈ I_d} z_k^{(d)}
各記号の意味と具体例
記号 | 意味 | 具体例(売上データ) |
---|---|---|
d |
データの種類(グループ番号) |
d = 1 → りんごd = 2 → バナナ |
I_d |
グループ d に属する日数の集合 |
I₁ = {1, 2} (りんご2日分)I₂ = {1, 2, 3} (バナナ3日分) |
z_k^{(d)} |
グループ d の k 日目の売上 |
z_1^{(1)} = x_1 = 100 z_2^{(1)} = x_2 = 150 z_1^{(2)} = y_1 = 80 z_2^{(2)} = y_2 = 90 z_3^{(2)} = y_3 = 110
|
x_i , y_j
|
元の変数(売上データ) |
x_i :りんごの売上y_j :バナナの売上 |
例:売上の合計を求める
元の式:
∑_{i=1}^{2} x_i + ∑_{j=1}^{3} y_j = 100 + 150 + 80 + 90 + 110 = 530
抽象化後の式:
∑_{d ∈ {1, 2}} ∑_{k ∈ I_d} z_k^{(d)} = 530
メリット
- 和の構造を統一できる
- データの種類が増えても同じ構文で処理できる
- プログラムや数式処理で汎用的に扱える
- データ構造の抽象化に役立つ
まとめ
複数の和を抽象化して1つの式にまとめることで、数式の再利用性や可読性が向上する。
「りんごとバナナの売上を合計する」という具体例と、「果物の種類ごとに個数を数える」という直感的な例えを使えば、抽象的な数式も自然に理解できる。