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Touch Designerを使用したノーコード簡易ライブ照明システムの組み方

Last updated at Posted at 2025-12-07

この記事はTouchDesigner Advent Calendar 2025の8日目の記事となります。

こんにちは。服部と申します。
今回はTouch Designerを用いたライブ照明のシステムの組み方を共有させていただきます。

使用するTouch Designerのバージョンは以下になります。
Touch Designer 2023.11880(commercial)
※今回の記事の内容はNon Commercialライセンスでも動作します

TouchDesigner 2025.31310以降はPan Tilt Chopなど照明に関するオペレーターが追加されています。興味を持った方はそちらも是非お試しください。

また、DMX器具として以下の機材を想定しています。
DMX灯体 : Betopper LPC007 54x3w RGB LED PARライト
ArtnetNode : DMX King eDMX4MAX

機材のパッチ(登録)

DMX機材を制御するためにまずは機材のパッチ(登録)を行います。
パッチとはDMX機材を登録することで、Dimmer(明るさ)やRGBWなどのカラー、ムービングライトであればPan、Tiltなどを動作させるための準備をします。

まず、DMX灯体のメーカーサイトや取扱説明書に書いてあるDMXチャートと呼ばれるものを探します。
スクリーンショット 2025-12-08 010713.png

大体のDMX灯体にはモードが複数あり、目的に合ったモードを選択します。
今回はライブ照明が目的なので全体のDimmerやストロボ機能が使用できる7channel modeを使用します。

次にTouch DesignerでBase COMPを作成し、Out CHOPやMerge CHOP、そしてDMXの情報をConstant ChopでDMXチャートに記載されている順番で配置していきます。
※DMXチャートと違う順番に配置するとDMX信号を送信した際に任意でない動作をします。

この時RGB等のカラー情報やムービングライトであればPanとTilt等を同一のConstant Chopでまとめておくと編集のする際にわかりやすくなります。
スクリーンショット 2025-12-08 015234.png

演出パターンの作成

パッチが完了したら演出パターンを作成していきます。

dimmerパターンの作成

まずはDimmerに関して全灯、ゆっくり明滅、点滅の3パターンを作成します。
全灯はConstant CHOPで数値を1に設定、ゆっくり明滅と点滅はLFO CHOPを用いて波形のタイプをそれぞれTriangle、Sqareに、OffsetとAmplitudeの値を0.5に設定し、0から1の間に数値が収まるようにしています。
パターンを作成し終えたらSwitch CHOPとNull CHOPを作成し、接続します。
スクリーンショット 2025-12-08 023030.png
Null CHOPの右下のプラスマークを押し先ほど作成したdimmerのConstant CHOPにドラッグアンドドロップし値を送ります。

ライブ照明の時はUIやMIDIコントローラーからSwitch CHOPの値を変更しdimmerパターンを変更したり、LFO CHOPのFreqencyの値を操作してdimmerパターンの点滅速度などを操作します。

今回は単一の照明の為LFO CHOPでdimmerパターンを作成しましたが、同じ種類の灯体が複数ある場合はTOPで作成し、Crop TOPで切り抜く場所を決定した後、TOP to CHOPで値を取得しdimmerのコントロールを行う場合もあります。(画像見づらくて恐縮です)
スクリーンショット 2025-12-08 023923.png

colorパターンの作成

次にcolorパターンを作成します。
dimmerパターンの時と作成方法は似ておりConstant CHOP等を用いて作成していきます。
私はライブ用の固定色を数種類と撮影や転換時などに使用する色を3種類くらい作成することが多いです。
特に白色はライブで映える白色と撮影で使用する白色で色温度が異なる場合が多いので複数種類作成します。

色のパターンの作成が終わったらdimmerパターンと同様にSwitch CHOPとNull CHOPを作成し繋いであげます。
スクリーンショット 2025-12-08 030144.png

大体の数値は事前に設定しますがクラブやライブハウスにおいてある照明の種類によって色にブレが出るので最終は現地調整します。

strobeパターンの作成

strobeのパターンを作成します。
strobeのパターンにはstrobeなし、strobeの速度を固定する(低速、中速、高速等)、マニュアルstrobe、random strobeのようにいろいろな種類があります。
私は基本的にstrobeなし、マニュアルstrobe、random strobeの3種類を作成しstrobeの速度などはMIDIコントローラーのノブなどにアサインしています。

マニュアルstrobeとstrobeの速度を固定する方法であればそのままstrobeのConstant CHOPに値を入れますが、BPMに合わせたstrobeやrandom strobeを行いたい為dimmerに乗算する形でstrobeパターンを組むことが多いです。
スクリーンショット 2025-12-08 032257.png

最終出力部分の作成

いままでの工程でdimmer,color,strobeそれぞれのパターンを作成することが出来たため、いよいよArtnetNodeを通して灯体に信号を送信する為のシステムを作ります。

まずはMath CHOPを用いて値の範囲を変更します。
今までのパターンは0から1までの値で作成していますが、DMXは0から255までの値を送信する必要がある為です。
スクリーンショット 2025-12-08 033146.png

次にMerge CHOPを作成します。
灯体が複数ある場合はこのMerge CHOPで信号をまとめてあげます。

注意点としてこのMerge CHOPでの接続した順番がそのままDMXチャンネルに送信されてしまいます。
DMX灯体には1から512の間でスタートチャンネルというものが灯体で設定されています。
例えば今回設定した灯体のスタートチャンネルが12だった場合、12から18までそれぞれGeneral dimmer,Red dimmer,Green dimmerというように7ch分制御を受信できる準備ができます。
しかしスタートチャンネルを間違えた場合、例えば実際のスタートチャンネルが12からだったにもかかわらず11チャンネルから信号を送ってしまった場合は、Red dimmerの情報を送信しても灯体のGeneral dimmerの値が変更してしまいます。
これを防ぐため1-11チャンネルまで0の値を送信するConstant CHOPを作成し、LED parより前に接続することでLED parのスタートチャンネルを12に合わせてあげます。
スクリーンショット 2025-12-08 035435.png

最後にDMX信号を送信する為DMX OUT CHOPを作成し、InterfaceをArtnetに変更します。
※ver 2025.31310以降は初期値がArtnetになっています。
Universe、Net、Subnetの値をArtnetNodeと同じ値にあります。今回の場合はすべて0にしています。

Networkの設定はNetwork Addressの値をArtnetNodeのIPv4アドレスに、Local Addressの値をTouch Designerを使用しているPCのIPv4アドレスに設定します。

出力の準備が出来たら先程のMerge CHOPとDMX OUT CHOPを接続します。
スクリーンショット 2025-12-08 035553.png

DMX灯体が正常に制御できれば完了です。

最後に

以上が簡易的にDMX灯体を操作するライブ照明システムの組み方になります。

UIを作成し、UIでパターン変更、MIDIコントローラーで灯体のdimmerやstrobeのスピードを変更出来るようにすると演出にリアルタイムで緩急をつけられる為おすすめです。
自分の例では下の画像のUIのボタン部分をタッチパネル式のモニターから、スライダーとノブ部分をMIDIコントローラーから制御しています。
スクリーンショット 2025-12-08 041309.png

センサーや細かい音を用いた照明制御等は、普通の照明卓では出来ない(制限がある)為Touch Designer特有のライブ照明ができると思います。
その1歩目として今回の記事が読んでいただいた皆様の助けになりましたら幸いです。
dtk3Lighting.jpg

雑記

本日12月8日はフランスのリヨンで行われているFête des Lumièresという光の祭典の起源日及び2025年最終日です。
光やプロジェクションマッピングに興味がある方はサイトや動画を見てみると面白いかもしれません。
https://www.france.fr/ja/event/fete-des-lumieres-lyon/

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