はじめに
コミュニティでの繋がりでAWS生成AIアプリ構築実践ガイドを献本いただきました。
AWSでの生成AIアプリ構築が網羅されており、とても良書だったので感想と題しアウトプットします。
本書の概要
ここ数年は生成AIの進化が凄まじく、2025年はAIエージェント時代のようにいわれています。実際に利用してる人も多いかと思いますが、構築となるとハンズオンはやったことあるけど、業務利用は手付かずの方も多いのではと思います。
この本では構築実践ガイドの名前通り、AWSでの生成AIアプリ開発の構築がハンズオン形式で紹介されており、なんと導入までが網羅されています。
生成AIアプリ初心者から上級者、導入をリードする人まで刺さる一冊です。
本書の構成
全9章で大きく3部に分けて構築されており、前半が基礎、後半に構築、最後には導入の知見の記載があります。
各章を簡単に紹介します。
第1章 役にたつ生成AIアプリをつくる
生成AIのトレンドや進化が紹介されており、生成AIがどのように活用されているのか、アプリを開発するために重要な観点などが紹介されています。話の視点が構築をベースとしているため、AIエージェント評価や監視の重要性についての基礎を学ぶことができます。
第2章 基礎モデル(FM)と大規模言語モデル(LLM)
生成AIアプリを開発する上で大事な概念である、FMやLLMやRAGなど専門用語が紹介されています。また、AWSでアプリを構築する上でのサービススタックの細かな役割などの記載もあり、なんと最新のサービスで話題のAmazon Bedrock AgentCoreまでも網羅されています。
LLMの各種モデルの違いや特徴やベンチマークがまとめらており、開発の参考になる基礎情報が盛りだくさんです。
第3章 プロンプトエンジニアリング
生成AIアプリの開発には欠かせないプロンプトエンジニアリングの基礎からテクニックまでが解説されています。 AWS本らしく、Amazon Bedrock Prompt Managementなどプロンプトエンジニアリングを行うためのツールが紹介されています。
第4章 RAG
RAG(検索拡張生成)の概要や仕組み、構築する上での専門用語の説明が詳細に紹介されています。
第5章 AIエージェント
最近話題のAIエージェントの概要や仕組み、構築する上での専門用語の説明が詳細に紹介されています。
開発用のフレームワークであるStrands AgentやAIエージェントをマネージドでデプロイできるAmazon Bedrock AgentCoreが紹介されています。
ここまでが基礎編となります。
第6章 RAGアプリ構築の実践
Amazon Bedrok Knowledge Basesを使ったRAGの開発をハンズオン形式で体験できます。RAG開発に重要となるチャンキング戦略の方法なども学ぶことができます。
かなり本格的でRAGの評価と改善までも網羅されているのが特徴的です。
第7章 AIエージェント構築の実績
マルチエージェントで構成されたエネルギー消費予測エージェントアプリの構築をハンズオン形式で体験できます。マルチエージェントなので複数のエージェントが相互に通信してタスクを実行します。構築にはAmazon Bedrock Agentsが利用されています。
ここまでが構築となります。
第8章 生成AIアプリ本番導入に向けて
生成AIアプリを本番運用するために重要視すべき事柄を2つの観点から紹介されています。生成AIの開発をビジネスの発展に繋げるため重要な要素を学ぶことができます。
第9章 最強の生成AIアプリのアイデアを練り上げよう
アプリの導入は意外と一番難しいステップかもしれません。この章ではその考え方が紹介されており、生成AIアプリの導入に置き換えて説明されているのが特徴です。
まとめ
私自身、業務でRAGアプリの構築や導入の支援などを行っていますが、生成AIアプリは継続的な監視や改善が欠かせないと思っています。この書籍では業務利用が前提の実践に向いた内容が紹介されており、AWSでの生成AIアプリ開発では必須の一冊かと思います。
コラムも実践に向けて充実したことが書いてるため隅々まで楽しめる一冊です。巻末にはAWSとJupyter NoteBookの環境構築なども紹介されているので、初心者でも楽しめる一冊かと思います。