はじめに
AI業界の変化を追うとき、記事本文を時系列に並べるだけでは「何が起きたか」と「そこから何を考えるか」が混ざりやすくなります。
本稿では、予兆(yocho)で検討している、「出来事・対象・関係性・仮説」の分離を紹介します。これは実装済み機能の報告ではなく、根拠と解釈を追跡可能にするための設計方針です。
4つの型を分ける
- 出来事:発生した出来事と発生時点
- 対象:企業、製品、人物、技術など
- 関係性:出来事や対象の間にある関係
- 仮説:複数の根拠から人間が更新する解釈
出来事と仮説を同じレコードにしないことが重要です。事実の修正と解釈の更新では、必要な証跡もレビューの方法も異なるからです。
根拠を先に残す
仮説を更新する前に、根拠となる文書や出来事への参照を保存します。どの根拠が仮説を支持するのか、弱めるのか、判断を保留するのかを区別できると、後から再評価できます。
AIに抽出を任せる場合も、抽出結果、根拠の位置、処理世代を一緒に残し、AIの解釈を事実として扱わない境界を作ります。
具体例:1つの変化をどう整理するか
例として、AI企業AがモデルBを公開したとします。事実と解釈を分けると、次のように記録できます。
- 出来事:AI企業AがモデルBを公開した
- 対象:企業A、モデルB、競合企業C
- 関係性:モデルBの公開が、企業Cの価格戦略に影響する可能性
- 仮説:推論コストの低下が、導入判断の基準を変えるかもしれない
仮のデータ構造
{
"event": "企業AがモデルBを公開した",
"entities": ["企業A", "モデルB", "競合企業C"],
"relationships": ["モデルB → 企業Cの価格戦略"],
"hypothesis": {
"text": "推論コストの低下が導入判断を変えるかもしれない",
"status": "provisional"
}
}
これは考え方を示す例で、実装済みの保存形式を示すものではありません。流れは「根拠文書 → 出来事 → 対象・関係性 → 仮説 → 更新」です。
読者が次にできること
仮説を読むときは、まず根拠になった文書と、そこから導いた関係性を確認してください。予兆の設計・開発の進捗は https://yocho.ai で更新します。
まとめ
AI業界インテリジェンスを作るときは、記事の収集量だけでなく、出来事から仮説までの変換過程を追跡できるデータモデルが必要です。予兆では、この設計を実装と検証の両面から深掘りしていきます。