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Kubernetes 1.15: SIG-API Machinery の変更内容

Last updated at Posted at 2019-07-01

はじめに

ついにKubernetes v1.15がリリースされました :tada:
API Machineryは、API serverやAdmission Control、CRDなどなどKubernetesのAPIに関わる機能をまるっと担当しているSIGですが、CRDのGAが近いこともあり、CRD周りで多くの機能が追加されています。

ここからは、ChangeLog v1.15のAPI Machineryに関連する変更点に絞って紹介していきます。
https://github.com/kubernetes/kubernetes/blob/master/CHANGELOG-1.15.md

:pencil: がついた文章は、ChangeLogの公式内容ではなく、私の所感を表しているのでご注意ください

1.15 What’s New :sparkles:

CustomResourceDefinitions Pruning

  • データの一貫性とセキュリティを高めるためのPruning機能がAlphaからBetaに昇格しました
    • これは、Kubernetes APIへのリクエストデータから"unknown"なフィールドを取り除いてくれる機能です
    • "unknown"かどうかは、OpenAPI validation schemaによって判定されます(トップレベル or バージョンごとの設定が必須)
    • Nativeリソースはすでに対応済みです
  • v1.15でのデフォルトでは spec.preserveUnknownFields: false ですが、GA時にはデフォルトtrueになる予定です
    • :pencil: CRDを使った開発者でValidation設定していない人はそろそろ対応を始めた方が良いでしょう。 値が飛ぶと悲惨なので設定の生成を自動化したり、テスト強化したいところ

CustomResourceDefinition Defaulting

  • CRDが新しくデフォルティングをサポートしました
    • OpenAPI validation schemaで default が使えるようになります
    • 1.15ではalphaです
  • :pencil: 去年からまってた機能。めでたい。これでSyntaxはこちら、SemanticなvalidationはAdmissionControllerと使い分けられるんじゃないだろうか

CustomResourceDefinition OpenAPI Publishing

  • OpenAPI specが /openapi/v2 から引ける機能がv1.15からはBetaに昇格しました
    • kubectlのclient-side validationとか、explainとか、client generatorとかその他色々なコンポーネントで利用されています
    • このOpenAPI schemaはCRDでも利用できます
    • 修正が必要なscheme用に NonStructuralSchema conditionも追加されています
  • :pencil: explainとかが整備されればCRDの使い方がkubectlからも分かりやすくなり、CRD validationをメンテするメリットも増えるはず

:pencil: この辺りの話をもう少し日本語で知りたい人向け

古いので参考程度に

既知の問題点

  • なし

アップグレード前に絶対に確認が必要な変更点

  • k8s.io/kubernetes 等のリポジトリ依存管理ツールが、go moduleに対応しました (#74877)
    • client-goでの取り扱い方法など、詳しくはgo-modulesを参照してください
      • :pencil: Go moduleについてはclient-goのドキュメント内でも参照している本家のwikiが一番まとまっているかと

非推奨 or 廃止される機能

kube-apiserver

API

  • Ingressリソースの extensions/v1beta はv1.19で廃止されるので networking.k8s.io/v1beta1 (v1.14+) に移行しましょう
  • NetworkPolicyの extensions/v1beta1 はv1.16で廃止されるので networking.k8s.io/v1 (v1.8+) に移行しましょう
    • 既存のデータは networking.k8s.io/v1 APIから取得できます
  • PodSecurityPolicyの extensions/v1beta1 はv1.16で廃止されるので policy/v1beta1 (v1.10+) に移行しましょう
    • 既存のデータは policy/v1beta1 APIから取得できます
  • DaemonSet、Deployment、ReplicaSetの extensions/v1beta1, apps/v1beta1, apps/v1beta2 はv1.16で廃止されるので apps/v1 (v1.9+) に移行しましょう
    • 既存のデータは apps/v1 APIから取得できます
  • PriorityClassリソースの scheduling.k8s.io/v1beta1 & scheduling.k8s.io/v1alph はv1.17で廃止されるので、 scheduling.k8s.io/v1 (v1.14+)に移行しましょう
    • 既存のデータは scheduling.k8s.io/v1 APIから取得できます
  • v1.14から非推奨になっているList APIの export クエリはv1.18で削除されます
  • Event API events.k8s.io/v1beta1series.state フィールドが非推奨になりました。v1.18で削除されます

注目機能

Stableな変更

  • kube-apiseverの watch 用に --watch-cache-size フラグが有効になりました (#74321)
    • :pencil: 廃止になった series.state もそうだが、今Event APIは主にパフォーマンス面で再設計が走っているところ

Betaになった変更

  • AdmissionWebhookでリソースに対して apps/v1 deployments などの単一バージョンを指定できるようになりました

    • 他のバージョンのリソースが変更された時にも、登録した単一バージョンのリソースに対して呼び出されます
    • これにより、新バージョンをAdmissionWebhookのアップデート無しに処理できるようになります
    • 詳しくはMutatingWebhookConfigurationとValidatingWebhookConfigurationに追加された matchPolicy: Equivalent のAPIドキュメントを読んでください
      • :pencil: matchPolicy は Exact か Equivalent で、ChangeLogの内容だけだと分かりづらいけどconversionされるようになったという話
  • BetaになったCustomResourcePublishOpenAPIについては what's new? と同じなので省略

Alphaな変更

  • ListOptionsにalphaな AllowWatchBookmarks が追加されました
    • apiserver側のWatchBookmark実装はFeatureGateから有効にできます
    • :pencil: ちょい前からWatchのパフォーマンス改善のために再設計が走っていて、その実装のBookmark使って転送量を減らそうというもの (#74074)

その他

  • Content-Encodingとして proxy/transport がサポートされました (#76551)
  • AdmissionWebhookがscaleとdeployments/rollbackのsubresourceでも正常に呼ばれるようになりました (#76849)
  • CRDの spec.preserveUnknownFields がv1beta1でfalseに設定されました。v1でtrueになります
    • :pencil: pruningの話のこと
  • chunked listの逐次処理を有効にするため、ListPager.EachListItemのユーティリティ関数がclient-goに追加されました (#75849)

その他の注目機能

  • port 設定がAdmissionWebhookConfiguration、AuditSinkWebhookConfigration、CRD ConversionWebhook、kube-aggregatorのServiceReferenceに追加されました (#74855)
  • 重複排除用のロジックがv1beta1.Event APIに入りました (#65782)
    • :pencil: client-goのEventRecorderの実装ががっつり変わりました
  • AdmissionWebhookConfigrationに objectSelector が追加されました
  • WatchレスポンスがTableかPartialObjectMetadata形式への変換をサポートしました (#71548)
  • CRD ConversionWebhookで、LabelとAnnotation以外のメータデータへの変更を無視するようになりました (#77743)
  • ListMeta.RemainingItemCountが追加されました。List時、サーバ側にまだデータが残っている場合にはListOptions.RemainingItemCountに残りのオブジェクト数が設定されます (#75993)
  • clientがv1 TableかPartialObjectMetadata形式のレスポンスをリクエストできるようになりました (#77448)
  • マルチバージョンのCRDで、statusサブリソースを変更するときに発生するバージョンエラーのバグが修正されました (#78713)
  • Delete直後に追加されたFinalizerが無視されるapiserverストレージのバグが修正されました (#77619)
  • AdmissionWebhookでHTTP status codeに400以上を指定してrejectした場合、400ステータスコードが割り当たるようになりました (#77022)
  • CRDの変更中にCRDにAPIリクエストが発生する一時的なバグを修正しました (#77816)
  • client-go dynamic clientのメソッド名バリデーションを追加しました (#75072)
  • OpenAPI v3 validation schemaに無効な正規表現が含まれている場合、structuredとは見なさなくなりました (#78453)
  • k8s.io/apiserverとk8s.io/sample-apiserverのAPIページングの推奨値がtrueになりました (#77278)
  • CVE-2019-11244にまつわるclient-goとkubectlがキャッシュされたdiscovery fileに対してworld-writeableパーミッションで書き込まないように修正しました (#77874)
  • ログが溢れないようにOpenAPI aggregationログのレベルを上げました (#75781)
  • k8s.io/client-go/dynamic/dynamicinformer.NewFilteredDynamicSharedInformerFactoryがnamespace引数を処理するようになりました (#77945)
  • DelayingQueue.ShutDown() がClosedChannelのエラーを起こすことなく複数回呼び出せるようになりました (#77170)
  • EtcdがnilなオブジェクトのUpdate/Deleteイベントを検知するとInformerがスタックするエラーを修正しました (#76675)
  • ラベルに不正な値を設定したとき、どのラベルの値が不正かがエラーメッセージに表示されるようになりました (#77144)
  • DryRunがPod/evictionのサブリソースに効いていないバグを修正しました(#76969)
  • DeleteCollectionエンドポイントのDeleteOptionパラメータがOpenAPI specに含まれるようになりました (#77843)
  • ResourceQuotaControllerのデッドロッグバグが修正されました (#74747)
    • リソース使用量の一部しか処理できない場合にも、複数リソースを指定しているQuotaオブジェクトを部分更新できるようになりました
  • ValidatingAdmissionWebhooksがpods/binding、pods/eviction、bindingsのCREATEリクエストの時でも正常に呼ばれるようになりました (#76910)
  • ストレージが削除された時、CustomResourceのWatchが正常に終了するようになりました (#78029)
  • 終了処理中オブジェクトの metadata.deletionGracePeriodSeconds が0 or nilだった場合、 metadata.finalizers から全てのfinalizerを削除すると即座にオブジェクトが削除されるようになりました (#77952)
  • rest.AnonymousClientConfig(*rest.Config) *rest.Config というHelper関数が TransportWrapTransport をコピーしなくなりました (#75771)
  • Parallelize関数が非推奨になりました。代わりにParallelizeUtilを利用してください (#76595)
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