🔐 同型暗号(Homomorphic Encryption)の種類まとめ
同型暗号とは、暗号化されたデータに対して直接演算(加算・乗算など)を行える暗号方式。
復号しなくても処理できるため、クラウドやAI分析などで機密性を保ったままデータ利用が可能。
🧩 同型暗号の3つの種類
| 種類 | 説明 | 演算可能範囲 | 代表的な暗号方式 | 特徴 |
|---|---|---|---|---|
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部分同型暗号 (Partial Homomorphic Encryption, PHE) |
特定の1種類の演算(加算または乗算)のみ実行できる | 加算または乗算のどちらか一方 | RSA(乗算)、ElGamal(乗算)、Paillier(加算) | 実装が容易で高速、だが表現力が低い |
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準同型暗号 (Somewhat Homomorphic Encryption, SHE) |
限られた回数の加算・乗算の組み合わせが可能 | 制限付きの加算・乗算両方 | BGV, BFV, CKKS など(研究・商用化レベル) | 実用化が進む中間モデル(Security+で出題) |
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完全同型暗号 (Fully Homomorphic Encryption, FHE) |
制限なしに任意の加算・乗算を実行可能(理論上最強) | 無制限 | IBM HElib, Microsoft SEAL, Google FHE | 最も柔軟だが演算コストが非常に高い(研究段階) |
💡 用途の違い
| 用途 | 適した暗号タイプ | 理由 |
|---|---|---|
| クラウド上での安全な集計 | 準同型暗号(SHE) | 復号せずに統計処理が可能 |
| AIモデルへのプライバシー学習 | 準同型〜完全同型暗号 | 個人データを保護したまま学習 |
| シンプルな加算集計(例:電子投票) | 部分同型暗号(PHE) | 高速で実装が容易 |
🧠 Security+ 試験での覚え方
| ポイント | 覚え方 |
|---|---|
| 「復号せずに計算できる」 | 🔑 同型暗号の基本特徴 |
| 「限定的な加算 or 乗算」 | ➕ 部分同型暗号(PHE) |
| 「加算と乗算が一部できる」 | ⚙️ 準同型暗号(SHE) |
| 「なんでもできる」 | 🚀 完全同型暗号(FHE) |
🧭 まとめ
🏁 同型暗号の進化の流れ:
部分同型(PHE) → 準同型(SHE) → 完全同型(FHE)
⇒ できることが増えるほど、セキュリティも計算コストも上がる。