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Maker Faire Tokyo 2025にメイカーとして出展します

Last updated at Posted at 2025-09-25

UI/UX研究もやっています

これまではAI関連の記事がほとんどでしたが、今回はすこし毛色を変えて、UI/UXの研究についてご紹介します。

シンクロするフィジタル体験

私たちのグループでは、UI/UX研究のテーマの一つとして、「フィジタル」の自動車への応用に関する研究開発を進めています。フィジタル(Phygital)とは、フィジカル(Physical)とデジタル(Digital)を掛け合わせた造語で、一般的に現実世界とデジタル世界を組み合わせて、これまでにないユーザー体験を実現することを指します。
また、私たちのグループの別の研究において、「何かと他の何かがシンクロして動作すると、ヒトは本能的に楽しさやかわいらしさを感じる」ということが示唆されています。詳細は省きますが、他の研究においても、近しい事例が報告されています [1]
今回、このような2つの研究の視点を組み合わせて、「クルマとシンクロして動く!フィジタルデバイス(以下、フィジタルデバイス)」という、これまでにない乗車体験を提供するデバイスを試作しました。2025/10/4(土)と10/5(日)に東京ビッグサイトで開催されるMaker Faire Tokyo 2025(以下、MFT2025)では、この試作機の展示とデモを行います。

phygital_top_qiita_sm.jpg

Fig. 1 MFT2025で展示とデモを行うフィジタルデバイス

MFT2025出展アイテム「クルマとシンクロして動く!フィジタルデバイス」

「クルマのドアを開けると、ミニカーのドアも開く」
「クルマのヘッドライトをONにすると、ミニカーのヘッドライトも点灯する」
そんなひとつひとつのクルマの動作とシンクロして動くミニカー

これが、MFT2025で展示するフィジタルデバイスのキャッチフレーズです。動画が弊社公式XFacebookに投稿されていますので、実際の動きを確認したい方はそちらをご覧ください。このデバイスの特徴をFig. 2にまとめました。「光る!うごく!」と「スマートフォン連動」の箇所に私たちのグループの研究開発のノウハウが詰まっています。

phygital_summary_qiita.jpg

Fig. 2 試作したフィジタルデバイスの特徴

制御回路

Qiitaの記事なので技術的な話題を、ということでフィジタルデバイスの制御回路について、少し触れたいと思います。
Fig. 3は試作したフィジタルデバイスの制御回路図の一部です。メインマイコンはSTM32F411REを採用し、アクチュエータの制御、スマートフォンデータ送受信用Bluetoothモジュールとの通信、また自動車制御信号受信用Xbeeモジュールとの通信などを実行しています。この回路設計におけるポイントを2つ紹介します。

(1) I2Cホットスワップ
回路図の最下部に「Model Vehicle MCU」と記載されたコネクタがあります。これは、取り替え可能なミニカーに搭載されているマイコンへの通信および電源供給コネクタです。通信プロトコルはI2Cを使っており、ミニカー側に搭載されたマイコンとは、ホットスワップで接続可能です。一般的に、I2Cでホットスワップを行う場合、SDAおよびSDLラインのグリッチや破損を防止する目的で、アイソレータICを挿入しますが、今回は、事前検証で問題が発生しなかったこと、プロトタイプ機であることから、挿入を省略しています。(いまのところ、トラブルは発生していません。)

(2) ラジコンサーボ制御
ミニカーのドア開閉アクチュエータには、一般に市販されているラジコンサーボを採用しています。これらのラジコンサーボを制御するために、NPXセミコンダクターズ社のPCA9685を採用しています(Fig. 3右下)。PCA9685はLEDコントローラとして発売されている製品ですが、PWM信号のデューティー比で角度制御を行うラジコンサーボの制御にも利用できるため、一般的に用いられています。ICの使い方は、先達の皆さまが詳しく解説されていますので、今回は省略します。尚、PCA9685は5V駆動のため、STMマイコン(3.3V駆動)とのI2C通信のために、通信ラインにレベルコンバーターPCA9306を挿入しています。

phygital_curcuit_qiita.jpg

Fig. 3 試作したフィジタルデバイス本体の制御回路図(抜粋)

最後に

今回は、私たちのグループで取り組んでいるUI/UX研究のひとつをご紹介しました。このフィジタルデバイスは商品化を目指して取り組んでいます。ご意見やご感想などコメントがありましたら、是非メッセージをお送りください。それが、私たちの研究開発と商品化のチカラになります。また併せて、興味のある方は2025/10/4(土)と10/5(日)に東京ビッグサイトで開催されるMFT2025に足をお運び頂き、実機の動きを見てみてください。動画や写真よりももっとおもしろい!と思うはずです。筆者らも2日間説明員として会場にいますので、F2Fで意見交換させて頂ければ幸いです。
それでは、次回の記事もお楽しみに!

[1] Y. Okada et al., “Kawaii emotions in presentations: viewing a physical touch affects perception of affiliative feelings of others toward an object”, PLOS ONE (2022)

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