この記事の前提
Obsidian の Vault(ノートを置く保管庫)を Google Drive の同期フォルダに置いて運用しています。Obsidian 公式の有料同期(Obsidian Sync)は使っていません。
私は本業がエンジニアではなく、Claude Code を相棒に業務ツールを作ったりサーバーを触ったりしています。その作業記録の置き場が Obsidian で、自分だけでなく AI エージェントも同じ Vault を読み書きするという使い方をしています。そのぶん、同期まわりの粗が出やすい環境だと思います。
Google Drive はファイルの保管と共有のためのサービスで、ノートアプリの下で常に中身を一致させ続けるために作られたものではありません。この前提を踏まえて、「なんか変だ」と感じたときに上から順に確認していく手順としてまとめます。
確認1: そもそも、まだ同期が終わっていないのでは
いちばん多いのがこれです。Google Drive の同期はリアルタイムではありません。変更を検知してアップロードし、もう一方の端末がそれを検知してダウンロードするまでにラグがあります。
- ノートを保存したのに、別の端末で開くと古い
- 削除したノートが、ファイル一覧にまだ残っている
どちらも「壊れている」のではなく「まだ届いていない」だけ、というケースが大半です。特に削除は、Google Drive のデスクトップアプリの中でアップロードより優先度が低いらしく、大量のファイルを触った直後は反映が数十秒から数分遅れます。
デスクトップアプリの同期アイコンが「処理中」から「完了」に変わるのを待ってから、もう一度確認してください。ここで待たずに「消えていない」と判断して削除操作を繰り返したり、同じノートを別の場所に作り直したりすると、後片付けが増えます。
確認2: 古い内容を読んだまま、上書き保存していないか
確認1のラグを踏まえたうえで、いちばん実害が大きいのがこれです。同期が届く前に読み込んだ内容をそのまま書き戻すと、その間に別の端末(あるいは別のプロセス)が書いた変更ごと消えます。
私はこれを、AI エージェントを複数セッション同時に走らせていて実際にやりました。片方のセッションが読んだ時点のファイル内容をそのまま書き戻して、もう片方が書いた分を上書きで消してしまった、という事故です。
対策は2つだけです。
- 編集の直前に、必ずファイルを読み直す。 手元のキャッシュや「さっき読んだ内容」を信用しない
- ファイル全体を書き直さず、変更した箇所だけを差し替える。 全文置換は、知らない変更を巻き込んで消す一番簡単な方法です
AI にファイル編集を任せるときも、この2点はルールとして明示的に渡しています。エージェントは「さっき読んだ内容」を平気で信用するので、放っておくと確実に踏みます。
確認3: 索引の対象が広すぎないか
Vault のファイルが増えてくると、全文検索やファイル一覧の読み込みが目に見えて遅くなることがあります。考えられる要因は2つ。
- Google Drive の同期処理と Obsidian のインデックス作成が、同時にディスクへアクセスして競合している
- 検索・索引の除外設定が甘く、本来読まなくていいファイルまで毎回読みに行っている
私の場合は後者でした。外部ツールの設定ファイルや自動生成されるログを同じ Vault に同居させていて、ノートと無関係なファイルが検索対象に紛れ込んでいました。ノート以外の用途で使っているフォルダがあるなら、Obsidian の設定で検索・索引の対象から外すだけで体感が変わります。
確認4: コンフリクトコピーが増えていないか
複数の端末からほぼ同時に同じノートを編集すると、Google Drive がどちらを正とするか判断できず、片方を「ファイル名 (1)」のような別名で保存することがあります。データが消えるよりは安全な挙動ですが、気づかないと書きかけのファイルが静かに増え続けます。
見つけたら、更新時刻を見比べて新しいほうを正として残します。ただし中身を見比べずに片方を消すのはやめたほうがいいです。新しいほうが常に完全とは限りません。
予防としては、「今どの端末でこの Vault を編集しているか」を自分の中ではっきりさせておくのが結局いちばん効きました。
Obsidian Sync に乗り換えるかどうか
ここまでの話は Obsidian の不具合ではなく、ノートアプリ専用に設計されていない同期サービスを間借りしていることから来ています。Obsidian の公式同期はノート単位の差分同期とコンフリクト処理をアプリ側で持つ設計なので、複数人・複数端末で頻繁に同時編集するなら素直にそちらのほうが強いはずです。
私が Google Drive のままにしているのは、すでに動いている同期に相乗りできる、という一点です。症状が出るたびに対処するコストと乗り換えるコストを比べて、今のところ前者で足りている、というだけの判断でもあります。
おわりに
どれも派手なバグではないので、放っておくと「この同期は信用できない」という漠然とした感触だけが残ります。信用できないのではなく、リアルタイムではない。そこを前提に置いて操作を一手間変えれば、たいていは防げます。