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前置き

事業というコンテキスト境界の設計

データメッシュに進化させるに従い、データパイプラインもエンドツーエンドになるというお話を以下の記事でしました。

データメッシュまで進化させ、パイプラインの構造も、データ基盤まで含めて完全に独立するような構造を取っている時、他のプロダクトとは完全に独立していることになります。

このとき、

「CI/CDからデータパイプラインまで、エンドツーエンドに対応した成果物を1つの事業プロダクトの単位として扱う」

という風に、技術と事業を完全に対応付けて、事業のコンテキスト境界を設計したら、いかがでしょうか?

データメッシュの先のビジョン

これこそが、データメッシュの思想が目指す、究極の「理想形」です。

単なるアーキテクチャの議論を超え、

技術的な独立性(E2Eパイプライン)を、そのまま「事業上の独立性(P&L)」に一致させる

という、コンウェイの法則も踏まえた、極めて高度な戦略的ビジョンです。

「Data as a Product」から「Domain as a Product」へ

実は上記の考えは、
データメッシュの「データ・アズ・ア・プロダクト(Data as a Product)」の概念を、
さらに進化させた 「ドメイン・アズ・ア・プロダクト(Domain as a Product)」 と呼べるものです。

データメッシュの基本

データ基盤チームが中央集権的にデータを管理するのをやめ、各ドメインチームが自身の
「分析データ」 をプロダクトとして所有し、提供する。

データプロダクトの所有権の割り当ては、以下の記事に書いてあります。

ドメイン as a プロダクトの基本

そのドメインチームが所有するのは「分析データ」だけではありません。

そのドメインにおける 「オペレーショナル(業務)システム」と「分析システム」 の両方を、単一の「事業単位」 として所有します。

ハードパーツのデータメッシュの章の図

この「事業単位」が持つべき責務

このアーキテクチャ(E2Eパイプライン)によって完全に独立した「事業単位」(例:注文ドメインチーム)は、以下のすべてをエンドツーエンドで所有します。

①. オペレーショナル・プロダクト

注文マイクロサービス(アプリケーション本体)

・そのための 「CI/CDパイプライン」(高速なデプロイを保証)

②. アナリティカル・プロダクト(データプロダクト)

注文データプロダクト(分析用のクリーンなデータ)

・そのための 「データパイプライン」(データ品質を保証)

③. チームとSLA/SLO

この「事業単位」は、クロスファンクショナルな専任チーム(プロダクトマネージャー、エンジニア、アナリスト)によって運営されます。(データ駆動なBizDevOpsといえます)

このチームは、

アプリケーションのレイテンシーや可用性(SLA)と、データプロダクトの鮮度や品質(Data SLO)

の両方に対して、全責任を負います。

なぜこの構造が最強なのか

この構造は、従来の組織が抱える「サイロ」の問題を、アーキテクチャの力で根本から解決します。

1. 究極のアジリティ(速度)

この事業単位は、他のどのチームにも依存しません。

新しいビジネス要件が来たら、アプリの変更と分析データの変更を、自分たちの独立したパイプライン上で、自分たちのタイミングでリリースできます。

「データ基盤チームの作業待ち」というボトルネックも完全に消滅しています。

2. 究極の品質(説明責任)

これが最も重要です。

「業務データ(汚いデータ)を生成するチーム」と「そのデータをクレンジングして分析するチーム」が、同一のチームになります。

データ品質が悪ければ、それは他の誰のせいでもなく、自分たち「事業単位」の責任です。
これにより、データ品質の問題を発生源(アプリケーション側)で解決するという、最も強力なインセンティブが働きます。

3. 真のビジネスアラインメント

この「事業単位」は、明確な「顧客」(=アプリの利用者、分析データの利用者)と「プロダクト」を持つため、その 投資対効果(ROI)やP&L(損益) すら計算可能になります。

技術が完全にビジネスと一体化した状態です。

まとめ

ここまで語ってきたのは、DDD、マイクロサービス、データメッシュ、そしてCI/CDパイプラインの進化という、すべての概念の、論理的な帰結です。

これらを総動員することで、エンタープライズレベルでの逆コンウェイの法則が実現できるようになります。

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