コンセプトとDDDの関係性
コンセプト設計がプロダクトの「魂」を定義し、
ドメイン駆動設計(DDD)のコアドメインは、その魂を実現するための 「心臓部(脳と心臓)」 です。
コンセプト設計は「なぜこのプロダクトを作るのか?」という問いに答え、
コアドメインは「その『なぜ』をどのようにソフトウェアで実現するのか?」という問いに答える関係性です。
コンセプト設計
概要
プロダクトが顧客に提供する根本的な価値や、解決する課題、そしてその世界観を定義する、戦略的な設計活動です。
目的
プロダクト開発における「北極星」を定めることです。「我々は何を最も重要視するのか?」という判断基準を明確にします。
成果物
・価値提案(Value Proposition)
・ターゲット顧客像(Persona)
・コアとなるユーザー体験(Core User Experience)
コアドメイン (Core Domain)
概要
ドメイン駆動設計(DDD)において、ビジネスの競争優位性の源泉となる、最も重要で複雑なビジネスロジックの塊です。
ここが、他社が簡単に真似できない「秘伝のタレ」の部分にあたります。
目的
ビジネスが成功するための最も重要なロジックを、最高品質のソフトウェアとして実装することです。
事例
・Netflix:ユーザーの視聴履歴に基づく「推薦アルゴリズム」
・Amazon:高度な「物流・在庫最適化システム」
・Google:「検索ランキングアルゴリズム」
関係性のメカニズム:『魂』から『心臓部』へ
コンセプト設計とコアドメインの関係は、一方通行の因果関係にあります。
①. コンセプト設計が、コアドメインを『発見』させる
まず、コンセプト設計によって
「我々のプロダクトの独自性は、究極のパーソナライズ体験にある」
という魂が定義されます。
②. コアドメインが、コンセプトを『実現』する
この「究極のパーソナライズ体験」という魂を実現するためには、どのようなソフトウェアが必要かを考えます。
その結果、「ユーザーの行動データをリアルタイムで分析し、最適なコンテンツを推薦する複雑なロジック」 こそが、開発に最も注力すべきコアドメインである、と特定されます。
まとめ
このように、コンセプト設計がビジネスの「差別化要因」を指し示し、DDDにおけるコアドメインの特定は、その差別化要因をソフトウェアとして具現化する領域を明確にする活動なのです。

