はじめに
この記事では、統合チームの責任者として8人のメンバーと過ごした4ヶ月間の経験を振り返り、失敗から学んだことを共有したいと思います。
プロダクトの品質強化を目的として、2つのチームを統合することになり、私はその統合チームの責任者を務めることになりました。片方のチームのチームリーダーを兼務しながら、統合チーム全体をリードするという、初めての経験でした。
完璧なリーダーではなかった私が、失敗を繰り返しながらも、メンバーから多くのことを学び、少しずつ成長できた過程を記録として残したいと思います。同じようにリーダーを目指す方や、チームマネジメントに悩んでいる方の参考になれば幸いです。
失敗談①:役割の明確化を怠ったことで生じた混乱
状況と問題
チーム統合直後、私はリーダーと相談役となるメンバーの役割を明確に定義していませんでした。背景として、組織としてサブリーダーのようなリーダーとメンバーの中間に位置する明確なロールがなく、他メンバーとの役割の明確化が難しかったのです。これが、チーム内に大きな混乱を招くことになります。
具体的には、以下のような疑問がメンバーの中で生まれていました:
- 困ったときの相談先は誰か(プロダクトの仕様に関する質問やデザインに関する質問、タスク進行に関する質問など)
- 誰が何をすべきなのか
これらの疑問が明確にされないまま、メンバーはそれぞれが判断を迫られる状況に置かれていました。その結果、スピーディな動きができなかったり、メンバーは常に不安が残るなかタスク進行していたのです。
対策と学び
この混乱を収めるため、サブリーダーや相談役といった立ち位置となるメンバーにお願いし、リーダーと相談役の役割を明確に定義することにしました。誰が何を担当するのか、誰に相談すべきなのかを明確にすることで、メンバーの混乱を抑えることができました。
この経験から学んだことは、チーム編成の初期段階で、役割を明確に定義することの重要性です。特に統合チームのような新しい組織では、メンバーは不安を抱えています。その不安を少しでも減らすためには、役割の明確化が不可欠だと実感しました。
また、役割を明確にする際には、単に「リーダーはこれ、相談役はこれ」と決めるだけでなく、なぜその役割分担なのか、どのような判断基準で動くべきなのかも説明することが重要だと気づきました。メンバーが納得して動ける環境を作ることが、チームの成功につながると感じています。
失敗談②:相談せずにルールを決めたことで生じた不満
状況と問題
チーム統合初期、私はメンバーに相談せずに、ルールをガチガチに決めてしまいました。レビュールール、PR作成時のルール、進捗報告時のルールなど、一度に複数のルールを厳格に定めたのです。
その結果、メンバーから不満や不安の声が上がっているように見えました。実際には明確に声が挙がったわけではありませんでしたが、雰囲気や様子からそのように感じられたのです。また、その施策がうまく回っているのか、本当に効果があるのかもわからない状態になってしまいました。
なぜこのような失敗をしたのか振り返ると、「早くチームを整えたい」という焦りがあったのだと思います。完璧なルールを最初から作れば、チームがうまく回ると思い込んでいました。しかし、それはメンバーの声を聞かずに、一方的に決めてしまうことにつながりました。
対策と学び
この問題を解決するため、以下の対策を実施しました:
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相談先を設定:私自身が相談する2人をメンバー内に設定しました(サブリーダーや相談役といった立ち位置)。まずはこの2人にルール案を共有し、意見を聞くようにしました。
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改善を前提としたルール設計:ガチガチに決めずに、まずは1週間運用してみて、その上で改善するという前提でルールを作りました。「完璧なルール」ではなく、「改善できるルール」という考え方に転換したのです。
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施策実行前の頭出し:施策を実行する前に、メンバー全員に対して「これについて悩みや不安があり、これを解決するためにこんなことを考えている」と説明する時間を設けました。ルールの背景や意図を共有することで、メンバーの理解を得られるようになりました。
これらの対策により、メンバーの不満や不安は徐々に減っていきました。そして、ルールは完璧に作るのではなく、改善しながら作るものだと学びました。
また、メンバーの声を聞くことの重要性を痛感しました。リーダーが一方的に決めるのではなく、メンバーと対話しながら、一緒にルールを作っていくプロセスが、チームの心理的安全性を高め、結果として良いルールが生まれるのだと思います。
失敗談③:コミュニケーション不足でチームの状態が把握できなかった
状況と問題
チーム統合からしばらく経った頃、私は全員が何を考えているかわからず、チームとしてうまく回っているのか判断できない状態に陥っていました。
心理的安全性が高い状態になっているのかもわからず、おそらくなっていないだろうと感じていました。メンバーが本当に困っていること、不安に思っていること、改善したいと思っていることが見えていませんでした。
もともと夕会は設定していましたが、オンラインで実施していたため、メンバーの表情や雰囲気を読み取ることが難しかったのです。画面越しでは、本当の気持ちや状態が見えませんでした。
対策と学び
この問題を解決するため、以下の対策を実施しました:
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夕会を対面に変更:オンラインから対面にすることで、全員の顔色や雰囲気を読み取れるようにしました。なぜ対面が良いのかを説明し、メンバーに理解してもらいました。
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困りごとや共有事項の時間を設ける:必ず困りごとや共有事項を展開する時間を設けました。この時間では、メンバーが自由に発言できる環境を作ることを意識しました。夕会ではみんなの意見を聞き、それを全員で考える場としたいと伝えました。また、思っている本当のことを話してくれて良いということを伝えました。
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全員で共有する必要性を説明:なぜ全員で共有する必要があるのかを説明しました。プロダクトの品質強化という目的のために、チーム全員で同じ方向を見る必要があること、属人化を防ぐために情報を共有することが重要であることを伝えました。
これらの対策により、チームの状態を把握できるようになり、メンバー同士の理解も深まっていきました。
この経験から学んだことは、対面コミュニケーションの重要性です。オンラインでもコミュニケーションは取れますが、対面だからこそ伝わる情報があります。表情、声のトーン、雰囲気など、非言語的な情報がチームの状態を理解する上で非常に重要だと実感しました。
また、心理的安全性を高めるための仕組みづくりの重要性も学びました。単に「何でも言っていいよ」と言うだけでは不十分で、実際に発言できる場を設け、その場の目的を明確にすることが必要です。メンバーが「なぜこの場で共有する必要があるのか」を理解することで、積極的に発言できるようになるのだと思います。
まとめ:4ヶ月間で学んだこと
4ヶ月間、8人のメンバーと共に歩んできた中で、私は多くの失敗をしました。しかし、その失敗から多くのことを学ぶことができました。
学んだことの総括
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役割の明確化は最初が肝心:チーム編成初期に役割を明確に定義することで、メンバーの不安を減らし、混乱を防ぐことができる。
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ルールは改善しながら作る:完璧なルールを最初から作ろうとせず、メンバーの声を聞きながら、改善を前提としたルール作りが重要。
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対面コミュニケーションの価値:オンラインでは伝わらない情報があり、対面だからこそ把握できるチームの状態がある。
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メンバーの声を聞く姿勢:リーダーが一方的に決めるのではなく、メンバーと対話しながら、一緒にチームを作っていくことが重要。
メンバーへの感謝
この4ヶ月間、8人のメンバーから多くのことを学びました。メンバーが率直に意見を言ってくれたからこそ、失敗に気づき、改善することができました。メンバーが協力してくれたからこそ、チームとして前に進むことができました。
本当にありがとうございました。
リーダーとしての成長
リーダーとして完璧ではなかった私ですが、悩みながらも挑戦し、メンバーから学び続けることで、少しずつ成長できたと感じています。
また上司との1on1で都度相談させていただけたことも、見直しをする良い機会につながったと思います。
今も完璧ではなく、まだまだ学ぶことはたくさんあります。この4ヶ月間の経験は、今後のリーダーシップに必ず活かされると信じています。
今後取り組みたいこと
今後は、以下のことに取り組みたいと考えています:
- メンバー一人ひとりの成長をサポートする仕組みづくり
- チームの心理的安全性をさらに高める取り組み
- より効果的なコミュニケーション方法の模索
- メンバーからのフィードバックを定期的に収集する仕組み
さいごに
もしあなたがリーダーを目指している、またはリーダーとして悩んでいるなら、完璧なリーダーになろうとしなくて大丈夫です。失敗を恐れずに挑戦し、メンバーから学び続ける姿勢が大切だと思います。
そして、メンバーの声を聞き、一緒にチームを作っていくことが、リーダーシップの本質なのかもしれません。私自身もまだまだ学びの途中ですが、この経験が少しでも参考になれば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。