1. はじめに
うぐいすソリューションズ Advent Calendar 2025の4日目担当のNakaeです。何か投稿のネタあったかなぁって考えてたところ、10月に「生成AIパスポート」を受験して無事合格したので、受験体験記的なことを書こうと思います。
2. 生成AIパスポートとは?
生成AI活用普及協会(GUGA)が実施している生成AIリスクを予防する日本最大級の資格試験です。
生成AIの急速な普及に伴い、個人や企業が安全かつ効果的に生成AIを活用するために必要な基礎リテラシーとリスク管理能力を身につけることを目的として設計されています。
試験では、AIの仕組みや特徴だけでなく、著作権・個人情報保護・情報セキュリティ・ハルシネーション対策といった実践的な知識も問われます。
そのため、業務で生成AIを利用するすべての人にとって「最低限身につけておくべき知識」を体系的に学べる資格として注目されています。
3. 出題範囲
出題範囲はGUGAが公開しているシラバスに準拠しています。大きく分類すると以下のように5つの分野から問題が出題されます。(シラバスは定期的に更新されているので今後変更される可能性があります。以下は2026年2月試験から適応されるシラバスから引用しています。)
3.1. AI(人工知能)
AIの基本概念と、AIを「AIたらしめる仕組み」の理解
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AI とロボットの違い、AI の定義、歴史的背景(例:ダートマス会議)など
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ルールベースAI・機械学習・ニューラルネットワーク・ディープラーニングなど、AIアルゴリズムの種類と基本原理
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教師あり学習/教師なし学習/強化学習などの学習手法
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過学習・正則化・転移学習なども含む
3.2. 生成AI(ジェネレーティブAI)
単なる AI ではなく、「生成」を行う AI(生成AI)の理解
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テキスト生成、画像生成など、生成AIの基本機能と特性
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生成AIと従来型AIの違い
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なぜ生成が可能なのか、その技術的背景(LLM構造・自己回帰モデルなど)
3.3. 現在の生成AIの動向
最新の生成AIの進化や社会での活用状況
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最新のモデルや技術動向
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生成AIのビジネス利用・実務応用
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社会実装が進む中での可能性と限界
3.4. 情報リテラシー・基本理念とAI社会原則
生成AI利用時に不可欠な倫理・法令・リスク管理の知識。
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個人情報保護、プライバシー、データセキュリティ
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知的財産権(著作権など)、生成物の権利・責任
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フェイク情報、バイアス、ディープフェイクなどの社会的リスク
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インターネットリテラシー、情報の扱い方
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ガバナンス・安全管理の基本
3.5. テキスト生成AIのプロンプト制作と実例
実際に生成AIを使うスキル、および実務での応用
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プロンプトの書き方・構造化・改善の方法
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実際のユースケース例
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業務での活用場面
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生成AIと人間の協働におけるベストプラクティス
4. 受験申込
こちらから受験の申し込みができます。
5. 勉強方法
5.1. 期間
2025年9月末に申込をして、10月末に受験したので、だいたい一か月くらい勉強していました。
ガッツリ机に向かうというよりは、毎日隙間時間にちょっとずつ進める感じでした。
5.2. 使用教材
生成AIパスポート公式サイトに記載されている公式テキストと、AIクイズアプリをメインに使用していました。またある程度公式の教材を消化した後はスキルフルな人生さんがNoteで公開している演習問題と模擬問題を一通り眺めて知識をインプットしていました。
6. 受験当日
試験は IBT 方式で行われるため、定められた期間内であれば自前のPCでいつでも受験できます。
受験の際は注意事項を必ず確認してから取り組みましょう。(特にPCで受験するIBT形式に慣れていない方は必ず!)
7. 受けてみた感想
7.1. 良かった点
生成AIに関する知識を増やせた
「GPT-1」など過去に開発された生成AIについての知識は、おそらくこの試験を受けることがなければ調べもしないと思うので、そういった知識が増えたのは良かったと思います。
AI生成物に関連する法規をひと通り確認することができた
まだまだ法整備が未熟な分野ですが、現行法ベースでAI生成物はどのような保護を受けるのか・どのような権利を侵す可能性があるのかを知ることができた。
7.2. 良くなかった点
業務に生かせることはあまり身に着けられなかった
試験内容はどちらかというと“非IT職も含めた幅広い層向け”に作られている印象で、エンジニアとして即業務に直結するような専門的知識が身につくわけではありません。基礎リテラシーとしては有用ですが、技術者視点で「今日から実務で使える!」という学びは多くないと感じました。
シラバスが頻繁に更新されるので学習した内容が古いものになる可能性が高い
生成AIは変化のスピードが非常に速く、試験シラバスも定期的に更新されています。そのため、せっかく勉強した内容が短期間で古くなってしまうリスクがあります。また、資格自体の社会的評価が今後どこまで高まるのかはまだ未知数で、更新試験を含めたコスト面を考えると“資格としてのコスパ”はやや読みにくいところがあります。
生成AI人材認定カードの価値が見えづらい
生成AIパスポートに合格すると、希望者は「生成AI人材認定カード(Basic / Silver / Gold)」を発行できます。プロフィールページにオープンバッジを一覧表示できる仕組みは面白いのですが、現時点では カード自体の存在意義や、社会的な評価基準がどれほど確立しているのかが不透明 だと感じました。
さらに、カード発行には 発行手数料 3,300円(税込)に加えて、毎月 550円(税込)の利用料が発生 します。資格としての実務的メリットや企業側の評価がまだ見えにくい段階で、このコストを払い続ける価値があるのか判断が難しく、個人的には少しハードルが高い印象を受けました。
7.3 感想総括
受験料(11,000円)を払ってまで試験を受けるよりかは、独学で生成AIの学習をする方が良いと思いました。
8. 最後に
10月に受験した「生成AIパスポート」について簡単にまとめてみました。気になる方は受験してみてもいいと思います。止めません。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
明日は、弊社のプロジェクトに何かと力を貸してくださっているパワー系エンジニアの@tetsutaroさんが、日付が変わる直前くらいに記事を出してくれると思います。
ノシ