記事の概要
NordicのBLEモジュールnRF52のファームウェアを、UART通信で更新します。
今回はサンプルプログラムを用いてUART通信によるファームウェア更新ができることだけを確認します。
プログラムの解析は次回以降になります。
Serial DFU
nRF52のDFU試験1とnRF52のDFU試験2ではアプリnRF Toolboxを用いてBLE通信でファームウェア更新を行いました。
今回はUART通信でファームウェア更新を行います。
Dual-bank
ファームウェア更新はDual-bank方式で行います。
Dual-bankは、内蔵ROMの空きメモリをBank0とBank1に分けます。
現在走らせているアプリケーションはBank0に書き込まれており、更新したいアプリケーションはBank1に書き込みます。
アプリケーション更新時、Bank1のアプリケーションを確認後に、Bank0のアプリケーションを置き換えて更新します。
更新に失敗してもBank0のアプリケーションが引き続き走るので、更新に失敗して動作が完全に停止して、再更新もできなくなるという事態を回避できます。
欠点は使用できるメモリが半分になってしまうことです。
詳細は以下をご参照ください。
Dual-bank and single-bank updates
サンプルプログラムのダウンロード
今回使用するのはNordic DevZoneのbackground-dfu-application-source-codeからダウンロードできるnRF_SDK_15.3.0_background_dfu_3.zipです。
サンプルプログラムのビルド
nRF_SDK_15.3.0_background_dfu_3\examples\ble_peripheral\ble_app_hrs_w_serial_dfuを開いてください。
nRF52480を使用している場合は、\examples\ble_peripheral\ble_app_hrs_w_serial_dfu\pca10056\s140\ses\ble_app_hrs_pca10056_s140.emProjectを開いてビルドしてください。
nRF52832を使用している場合は、\examples\ble_peripheral\ble_app_hrs_w_serial_dfu\pca10040\s132\ses\ble_app_hrs_pca10040_s132.emProjectを開いてビルドしてください。
サンプルプログラムの書き込み
program_bl_sd_bl_settings_52840.batを実行すると必要なソフトデバイス、ブートローダー、上記でビルドしたアプリケーションが全て書き込まれます。
スクリプトの中身は以下のようになっています。
nrfutil settings generate --application pca10056/s140/ses/Output/Debug/Exe/ble_app_hrs_pca10056_s140.hex --family NRF52840 --application-version 1 --bootloader-version 1 --bl-settings-version 2 settings.hex
nrfjprog --program settings.hex --chiperase
nrfjprog --program bootloader_hex/bootloader_w_softdevice_nrf52840.hex
nrfjprog --program pca10056/s140/ses/Output/Debug/Exe/ble_app_hrs_pca10056_s140.hex -r
nRF52832を使用している場合は、program_bl_sd_bl_settings.batを実行してください。
これでUART通信でファームウェア更新する準備が整いました。
Serial DFUの実行
ここでCOMポートに新しい接続が追加されているので、その番号を調べてください。
私の場合はCOM12でした。
前回と同じようにzipファイルを生成します。
nrfutil pkg generate --application pca10056/s140/ses/Output/Debug/Exe/ble_app_hrs_pca10056_s140.hex --hw-version 52 --sd-req 0xB6 --application-version 2 --key-file key/private.pem dfu_app_package.zip
サンプルファイルには、あらかじめ生成されたdfu_app_package.zipもあるので、それを使用することもできます。
COM12のUART通信でdfu_app_package.zipを書き込むために、anacondaで以下のコマンドを実行します。
書き込み成功後は、以下のようにNordic_HRMx1がスキャンできるようになっています。
次にすること
今回のプログラムは、UART通信で取得したデータを、BANK1に書き込み、書き込み完了後にDFUモードに遷移してBANK0を上書きしています。
サーバを介したファームウェア更新は、TFTPやMQTT通信でファームウェアのデータを取得して、BANK1に書き込むように修正すればいいわけです。
今回のサンプルプログラムで、UART通信で取得したデータをBANK1に書き込んでいるのはnrf_dfu_serial.c と nrf_dfu_serial_uart.c です。
これを修正することで、目的のサーバを介したファームウェア更新を行いたいと思います。
最新のSDKへの適用、サンプルプログラムの詳細、DFUモードへの遷移方法など調査しないといけないことは大量にあるので、まだまだ先は長そうです
(追記）
サーバからファームウェア更新するには、nrfutilを使わずにDFU開始しないといけないのですが、それをするには自分でnrfutilを解析しないといけないようです。