物流超基本用語まとめ
物流とは
物流とは、モノの流れ
物流を包含する概念に、流通がある。
流通とは、商品やサービスが生産者から消費者に届くまでの一連のプロセスを指す。
流通は、「物流」、「商流」、「金流」、「情報流」これら4つの流れを総称したものである。
4つの流れ | 意味 |
---|---|
物流 | モノの流れ |
商流 | 商品の所有権の流れ |
金流 | 生産者、販売者、消費者のお金の流れ |
情報流 | 情報の流れ |
1950年代ごろアメリカの流通で使用されていたPhysical Distribution(物的な流通)という用語を「物的流通」という日本語を当て、略して物流と呼ばれるようになった。
物流の目的
生産から消費の間にある時間的・空間的ギャップを埋めることが物流の目的である。
JIS(日本産業規格)物流用語 Z-0111 : 2006
物流(physical distribution)の定義
物資を供給者から需要者へ,時間的及び空間的に移動する過程の
活動。一般的には,包装,輸送,保管,荷役,流通加工及びそれ
らに関連する情報の諸機能を総合的に管理する活動。
調達物流,生産物流,販売物流,回収物流(静脈物流),消費者
物流など,対象領域を特定して呼ぶこともある。
物流の6つ機能
物流は、輸配送、保管、荷役、包装、流通加工、情報システムの6つの機能から成り立っている。
ロジスティクス
1企業が行う以下の活動をロジスティクスとする
- 物流の諸機能(輸配送、保管、荷役、包装、流通加工、情報システム)を高度化
- 調達物流、生産物流、販売物流、消費者物流、回収物流などの分野を統合管理
- 需要と供給との適正化を図り顧客満足度を向上
- 社会課題への対応
JIS(日本産業規格)物流用語 Z-0111 : 2006
ロジスティクス(logistics)の定義
物流の諸機能を高度化し,調達,生産,販売,回収などの分野を
統合して,需要と供給との適正化を図るとともに顧客満足を向上
させ,併せて環境保全,安全対策などをはじめとした社会的課題
への対応を目指す戦略的な経営管理。
※需要と供給との適正化…在庫が健全な状態(欠品率が低く、在庫の回転率が高く、在庫保管日数が短い)にすること
ロジスティクスの由来・考え方
ロジスティクスは元々軍事用語である。後方支援を示す言葉であり、日本語訳では兵站という言葉が使われていた。
軍事用語としてのロジスティクスは、最前線に必要な軍事物資を正確に供給する仕組みや運営のことである。軍事だけでなく企業にとっても同様、販売する商品を市場へ正確かつタイムリーに供給することが求められているため、ロジスティクスの考え方が応用されるようになった。
ロジスティクスは企業全体の利益と顧客満足度を向上させるため、企業の部分最適ではなく全体最適の実現を目指す。
ロジスティクスの5R
ロジスティクスに求められる5つの要件を5R(five right)と呼ぶことがある。
- Right Items 適切なモノ
- Right Place 適切な場所
- Right Time 適切な時間
- Right Condition 適切な条件
- Right Cost 適切なコスト
サプライチェーン(supply chain)
サプライチェーンとは原材料の調達から消費者へ届くまでの一連の流れである。
サプライチェーンは供給連鎖と訳される。
製品などモノが消費者に届くまでには、様々な企業を通じて供給されている。
モノの供給は、それにかかわる企業が鎖のようにつながっているため供給連鎖といわれる。
サプライチェーンマネジメント(SCM:Supply Chain Management)
SCMはサプライチェーンをマネジメントすることである。
SCMは1つの企業の枠にとらわれず、関係する企業の連携を図って企業間の物流を効率化して消費者が必要なタイミングに適正な価格で購入できるようにするという考え方である。
例) 販売会社が実需の変化などを共有し、メーカーがそれをもとに生産計画を立ててサプライヤーもそれに備えた部品や素材を生産する。運送会社とも連携して的確なリードタイムを実現する。そうすることで、欠品を減らし、在庫の回転率を向上を実現させる。
ロジスティクスとの違い
ロジスティクスよりもさらに企業の効率化を図ろうとする考え方で、ロジスティクスは社内に閉じているが、SCMは企業の垣根を超えたものである。
SCMは異なる企業間の連携が必要不可欠。
物流、ロジスティクス、SCMについてまとめた図を以下に示す。
ロジスティクス4.0
ロジスティクス4.0は物流DXや標準化による物流のイノベーションをとらえようとしたものであり、第4次産業革命(industry4.0)に対応した物流の発展を示したものである。
過去の歴史から物流のイノベーションが4段階に分けられ、現代の最新バージョンがロジスティクス4.0である。
フィジカルインターネット
インターネット通信プロトコルの考え方を物流に適用する仕組み。
サードパーティロジスティクス(3PL:third party logistics)
企業活動における物流の機能は、2つの方法で提供され、自家物流と外部委託(アウトソーシング)である。外部委託で物流の機能を提供する企業を物流業者といい、輸送機能に加え、物流センターの機能を提供する物流業者を3PL事業者という。
JIS(日本産業規格)物流用語 Z-0111 : 2006
サードパーティーロジスティクス(third party logistics)の定義
荷主企業でも物流事業者でもない第三者が荷主のロジスティクス
を代行するサービス。倉庫,車両などの施設・設備がなくても事
業化できる運営ノウハウをもとに,情報システム及び業務改革の
提案を中心に長期的な管理目標を定め,達成した改善利益の配分
を受けるものであるが,物流事業者が荷主企業のアウトソーシン
グニーズに広範に対応して一括受注するケースも含まれる。
画像引用元:https://www.nittsu.co.jp/3pl/what.html
まとめると、3PLとは第1種荷主(1P:first party)と第2種荷主(2P:second party)のどちらでもない第三者(3P:third party)が第1種荷主のロジスティクスを提案及び代行するサービス。この3PLというサービスを提供できる事業者を3PL事業者という。
3PL事業者は1P、2Pが行うロジスティクスよりも費用対効果の高いロジスティクスを提案・提供できる事業者である。
3PL事業者に求められる3つの能力
1.コンサルティング能力
2.情報システム構築能力
3.物流現場の運営能力
物流拠点
トラックターミナル、コンテナターミナル、物流センター、倉庫、上屋など、物流の各段階に設けられる施設
物流センター
物流センターとは物流活動を構成する輸送機能以外の5つの機能を備えた施設である。
ジャストインタイム納入
必要なモノを必要な時に必要な量だけ納入することをジャストインタイム納入という。
ジャストインタイム納入は3M(ムリ ムダ ムラ)を排除するためのトヨタ生産方式(TPS:Toyota Production System)から生まれたジャストインタイム生産方式の考え方がもととなっている。