47
48

Delete article

Deleted articles cannot be recovered.

Draft of this article would be also deleted.

Are you sure you want to delete this article?

ダッシュボード構築に役立つ優れたオープンソース AI ツール 6 選

Posted at

オリジナルの公開場所: https://www.nocobase.com/ja/blog/6-best-open-source-ai-tools-to-build-dashboards

序論

昨年、私たちはコアアプリ向けダッシュボードツールのまとめを公開し、データ可視化に取り組むチームが直面しがちな課題について紹介しました。当時取り上げたのは、使い勝手の良い成熟した商用ツールが中心でしたが、ライセンス形態やデプロイ方法、拡張性にはどうしても制約があります。その後読者の方々と話す中で、より低コストで、自由度が高く、しかもセルフホストにも対応できるオープンソースの選択肢を求める声が多いことが分かりました。

dashboards.PNG

💡おすすめ記事:開発者向けノーコード/ローコードの技術判断ガイド(2026)

この一年で、オープンソースコミュニティの可視化系ツールは大きく進化しました。自然言語での検索、チャートの自動生成、指標の説明、意味ベースのレポート作成など、AI を標準機能として取り込むプロジェクトが増えています。ダッシュボード構築の作業部分をツール側に任せ、チームが本質的な業務判断に集中できるようにしたいというニーズも高まっています。

そこで今回は、コミュニティで活発に開発され、すでに AI を取り入れているコアアプリ向けのオープンソースダッシュボードツールを改めてまとめました。各ツールの特徴、代表的な用途、AI 機能の成熟度という三つの観点から紹介していきます。あなたのユースケースに合うツールを素早く見極めるための一助になれば幸いです。

まずは、この記事で紹介する6つのツールを簡単に確認してみてください。

ツール名 プラットフォームタイプ AI成熟度 AI機能の方式
NocoBase オープンソース AI ノーコード開発基盤。業務システムと可視化ボードを構築可能 ★★★★☆ ネイティブ AI ワーカー体系(モデリング、データ入力、可視化分析。カスタム拡張も可能)
Wren AI オープンソース生成型 BI。自然言語クエリと自動可視化をサポート ★★★★☆ ネイティブ生成型分析(Text to SQL/Chart、セマンティックレイヤー)
Redash SQLクエリと可視化ツール。軽量 BI 向け ★★★☆☆ ネイティブ AI なし。外部モデルで Text to SQL 拡張可能
Appsmith 可視化アプリ構築基盤。内部ツールや業務ボードが構築可能 ★★★★☆ ネイティブ AI アシスタント(UI生成、データロジック、文案生成)
Metabase 企業向けオープンソース BI。データ探索と分析ダッシュボードに最適 ★★★★☆ ネイティブ Metabot による自然言語クエリと指標説明
Grafana 可観測性・時系列データ向け可視化基盤。業務可視化にも利用 ★★★☆☆ ネイティブ AI なし。プラグインや外部モデルで異常検知・分析が可能

ツールおすすめ

NocoBase

nocobase1.PNG

Official site: https://www.nocobase.com/

Documentation: https://v2.docs.nocobase.com/

GitHub: https://github.com/nocobase/nocobase

GitHub Stars: 20.7k

位置付け

NocoBase は、セルフホストにも対応したオープンソースの AI ノーコード開発基盤です。統一データモデルと柔軟なプラグイン構造を軸に、業務データ管理、可視化、内部アプリ構築をひとつの環境で行える点が特徴です。業務システムのデータをそのまま利用してダッシュボードや BI ボードを構築できるため、社内向けツールづくりに適しています。

主な用途

  • 統一データモデルを活かしたダッシュボード構築 モデル化された業務データ・ワークフロー記録は、そのまま可視化データとして利用できます。 可視化の作り方は以下の三つが中心です:
    • 標準のチャートブロックで折れ線・棒グラフ・指標カードなどを配置
    • JS ブロックでカスタム UI を柔軟に実装
    • AI ワーカーが自然言語からレイアウトやチャート構成を自動生成 通常のダッシュボードから複雑な分析まで、幅広い用途に対応できます。

NocoBase2.PNG

  • プラグインによる高い拡張性とシステム連携 マイクロカーネル方式のため、画面パーツ・動作・データソースを必要に応じて追加できます。外部 DB や API とも簡単に連携し、複数データを扱う業務でも柔軟に対応できます。

AI 機能の特徴

  • ネイティブ AI ワーカーによる自動可視化 AI ワーカーはデータセットを読み取り、自然言語指示に応じてグラフやレイアウトを自動生成します。設定作業を大きく削減でき、可視化の試行を高速に行えます。

NocoBase3.png

  • ナレッジベースやベクターデータベースと連携した分析 業務ドキュメントやルールを参照しながら、検索・要約・構造化出力が可能で、より高度な分析ワークに対応できます。NocoBase4.png
  • 複数モデルのサポートと自由度の高いデプロイ OpenAI・Gemini・Anthropic をはじめとする複数モデルが利用可能で、オンプレ/クラウドの運用形態に合わせて選択できます。

Wren AI

WrenAI.png

Official site: https://www.getwren.ai/

Documentation: https://docs.getwren.ai/cp/overview

GitHub: https://github.com/Canner/WrenAI

GitHub Stars: 13.2k

位置付け

Wren AI は、自然言語からクエリやチャートを生成し、分析結果まで出力できるオープンソースの生成型 BI プラットフォームです。

主な用途

  • 素早く可視化を作成 データソースを読み込み、自動でチャートや基本ダッシュボードを作成でき、日次指標や運用系の可視化に向いています。
  • 分析機能を既存システムへ組み込み API を通じて業務アプリに統合し、システム内部でデータ検索や可視化を提供できます。

AI 機能の特徴

  • 自然言語による生成型分析 入力文からクエリを作り、結果に応じてチャートやレポートを生成する一連のプロセスを自動化します。
  • セマンティックレイヤー対応 ビジネス構造を理解した上で問い合わせを解釈し、より正確なクエリ生成と可視化が可能になります。
  • 複数モデルとセルフホストを柔軟に選択可能 大手モデルサービスと接続でき、ローカルデプロイ版もあるため、セキュリティや運用コストが気になる環境にも導入できます。

Redash

redash.png

Official site: https://redash.io

Documentation: https://redash.io/help

GitHub: https://github.com/getredash/redash

GitHub Stars: 28.1k

位置付け

Redash は SQL を軸に可視化と分析を行う OSS プラットフォームで、データチームでの自助分析ツールとして長く利用されています。

主な用途

  • SQL ベースでチャート・ダッシュボードを作成 クエリ結果をもとにグラフ・表・指標カードを作り、自由にダッシュボード化できます。SQL に慣れているチームなら素早く導入できます。
  • 多様なデータソースを横断した利用 多種類のデータベースや API を扱え、企業のデータ集約に適した軽量 BI 基盤を構築できます。

AI 活用ポイント

  • 外部 AI を使った Text to SQL LLM と連携して自然文から SQL を生成し、そのまま Redash で実行できます。
  • AI 生成データをそのまま可視化 AI の出力(JSON や表形式)を API データソースとして接続し、チャートとして表示できます。

Appsmith

appsmith.png

Official site: https://www.appsmith.com/

Documentation: https://www.appsmith.com/ai/low-code

GitHub: https://github.com/appsmithorg/appsmith

GitHub Stars: 38.6k

位置付け

Appsmith は、ビジュアル操作で業務アプリを構築できるオープンソースのプラットフォームです。コンポーネント群とデータ接続機能を使い、業務ボードやダッシュボードを柔軟に作成できます。

主な用途

  • 業務向けダッシュボードの作成 テーブル・グラフ・リストを組み合わせ、DB や API のデータを可視化できます。KPI ボードや運用画面など、レイアウトや操作性を細かく調整したいシーンに適しています。
  • 内部ツール・管理画面の構築 UI、権限設定、ロジックを統合し、データ表示から入力・ワークフローまでをひとつのアプリで実現できます。

AI 機能の特徴

  • AI アシスタントによる画面構築支援 文章による説明から、レイアウト・コンポーネント・API 呼び出し・基本ロジックまで生成し、アプリ構築の作業を大幅に簡略化します。
  • データ処理や文案の生成支援 取得・整形ロジックの補助スクリプトや、画面説明文の自動生成にも利用できます。

Metabase

metabase.png

Official site: https://www.metabase.com/

Documentation: https://www.metabase.com/docs/latest/

GitHub: https://github.com/metabase/metabase

GitHub Stars: 44.9k

位置付け

Metabase は、直感的にデータ探索を行えるオープンソースの BI プラットフォームで、企業全体での分析やレポート作成に広く使われています。

主な用途

  • ノーコードでのデータ探索 質問形式でデータを調べ、そのまま可視化やダッシュボード化が可能です。KPI や事業推移などの定期分析に向いています。
  • チームでの共有と運用 ダッシュボードやレポートを共有し、閲覧・編集・購読できるため、部門横断の分析基盤として活躍します。
  • 複数データソースを統合して分析 多様な DB と接続でき、散在したデータをひとつの画面で扱える環境を構築できます。

AI 機能の特徴

  • AI アシスタント「Metabot」 指標の説明、インサイト提供、質問応答などを通じて分析をサポートします。
  • 自然言語でのデータ問い合わせ コマンドではなく文章で質問でき、非エンジニアでも利用しやすい設計です。
  • 自動インサイト機能 指標の背景や理由を AI がまとめ、結果をより理解しやすく提示します。

Grafana

grafana.png

Official site: https://grafana.com

Documentation: https://grafana.com/docs

GitHub: https://github.com/grafana/grafana

GitHub Stars: 71.2k

位置付け

Grafana は、時系列データを中心とした可視化・監視のためのオープンソースプラットフォームで、業務指標やダッシュボードの構築にも幅広く利用されています。

主な用途

  • リアルタイム監視と指標の可視化 多様な時系列 DB やログ基盤と接続し、グラフ・トレンド・指標カードとして表示できます。システム監視やサービスの稼働可視化に向いています。
  • 複数データソースの統合表示 Prometheus、Elasticsearch、MySQL、PostgreSQL、BigQuery などを組み合わせ、1 つのダッシュボードで統合的に表示できます。

AI 活用ポイント

Grafana 自体は AI を内蔵していませんが、プラグインや API を利用して外部モデルの分析結果を取り込めます。

  • AI による異常検知・トレンド分析の可視化 外部の AIOps などで検出した異常や変化を Grafana 上で表示できます。
  • AI 生成データをそのままデータソース化 AI が出力した構造化データや指標を API で取り込み、グラフとして可視化できます。

まとめ

企業の分析基盤では商用 BI ツールが依然として安定した選択肢ですが、ライセンス費用やデプロイの制約、拡張性の限界などから、導入段階で悩むケースも少なくありません。コストを抑えたい場合や、より自由度の高いカスタマイズを求める場合には、オープンソースの方が柔軟で、段階的に育てていく分析基盤づくりに適しています。

本記事で紹介した 6 つのツールは、用途に応じて次のように選ぶことができます:

  • 軽量なダッシュボードを手早く作り、運用負荷を下げたい場合:
    Redash、Grafana、Wren AI といったクエリ・可視化中心のツールが向いています。
  • 業務アプリ、データ管理、可視化を一つの基盤でまとめて扱いたい場合:
    NocoBase、Appsmith、Metabase のようなより包括的なプラットフォームが適しています。

👉はじめての方へ:NocoBaseを使ってコアアプリダッシュボードを迅速に構築する

これらのツールはコミュニティや機能が今も発展し続けており、チームの成熟度に合わせて技術スタックを柔軟に調整できます。もしどれかを利用している場合や、新しい選択肢を検討している場合は、ぜひ経験や考えを共有してください。

関連読み物:

47
48
0

Register as a new user and use Qiita more conveniently

  1. You get articles that match your needs
  2. You can efficiently read back useful information
  3. You can use dark theme
What you can do with signing up
47
48

Delete article

Deleted articles cannot be recovered.

Draft of this article would be also deleted.

Are you sure you want to delete this article?