この記事は、技術同人誌執筆の軌跡 Advent Calendar 2025の12/8分の記事になります。
今年は、ひとりアドベントカレンダーに挑戦してみたく、このネタで25日まで書いていきますので、よろしくお願い致します。
技術書を書くとき、つい「何を書こうか」「どこまで書こうか」という「情報伝達」ばかりに意識が向きがちではないですか?でも、何冊か技術書を書いてきて実感しているのは、“何を書くか” ではなく、“何を伝えたいか” が重要なんじゃないかと感じているところです。
同じ内容でも、伝え方が変わっただけで、読む人の反応は違ってきます。「なるほど、そーいうことか!」と納得感が出たとき、初めて技術は読者のものになります。
「読み終えた人がなにか一つでも動けるようになること。」
そんな風におもいながら、ただ情報を並べるのではなく、しっかりと 「読者に届く形」 にしていくことをいつも意識しています(意識してるつもりです!)。
何を書きたいか、ではなく、何を伝えたいのか。
技術の話は、そのままだとどうしても難しく見えてしまいます。専門用語も多いですし、背景も複雑だっりします。手順だけ書いても「なぜ必要なのか」がどうしても抜けてしまいます。
この章で読者にどんな“理解”を届けたい?
読み終えた瞬間、どんな行動を起こしてほしい?
目的がはっきりしていると、文章は自然とまとまります。「結局なにを伝えたいのか」が自分の中で見えていると、余計な説明が消えて、道筋がまっすぐ になる感じがします。
そして、“読者に理解してもらうこと”をゴールにすると、書き方そのものが変わります。ただ情報を書くのではなく、どうすれば相手に伝わるか を考えた文章に切り替わっていきます。
伝えるためにしてること
背景や歴史を知ってもらう
いきなり技術の話に入るよりも、その前提や歴史を知った方が、より理解が深まります。
- 「そもそもどういう経緯で出てきた技術なのか?」
- 「昔はどんな課題があって、今は何が変わったのか?」
この前提や歴史を最初に見せるだけで、読者の理解スピードは一気に上がります。難しい技術だろうと、いきなり難しい技術として生まれたわけではありません。始まりは単純な仕組みだったんだと思います。単純であるが故に課題も多く、その課題をクリアするたびに複雑化していく。
複雑化された「今」だけを見るのではなく、その前提となる「はじまり」を知ることで、より「今」を理解することができると思うのです。
ストーリーを考える
次に気にしているのは、ただ順番に説明するのではなく、読者が迷わないように道筋を用意しています。
- 導入(気づきを与える)
- 課題(なぜ必要かを示す)
- 展開(理解を積み上げる)
- 解決(読者の背中を押す)
この流れを意識すると、情報がバラバラにならず、読者が最後まで迷子になりません。技術書でも 「ストーリー」 は立派に機能します。
雑念が入らないようにする
せっかくの内容も、読みづらかいと読者に何度も同じ行を読ませてしまったり、理解に時間をかけさせてしまいます。もしかしたら、読むのをやめてしまわれるかもしれません。
だからこそ、仕上げの段階で徹底的に “ノイズ除去” をします。
- 誤字脱字をなくす
- 1文の長さを整えて、息継ぎできる文章に
- 適度に空白行や図表などを入れてる
- 句読点の位置を見直す
- 序盤と終盤の主張がブレていないか
- 図表・コードの整合性をそろえる
読みやすさを整える作業は、地味だけど「伝える文章」に変化するすごく大事なステップです。
伝わるとうれしい
“書く”こと は、独りでもできます。自分が理解できればそれでOKです。でも “伝える”ことは、必ず相手がいて初めて成立します。
本を手に取ってくれる人がいて、
記事を読んでくれる人がいて、
「わかった!」「助かった!」と言ってくれる人が一人でもいれば、その瞬間に、書いてきた時間がちゃんと意味を持ちはじめます。
ということで、この記事も誰かに少しでも伝わるととてもうれしく思います。
この記事を見て、「技術書書いてみようかな……」と思ってくれたら、私の 思うつぼ です(笑)