チームビルディングに関する書籍を何冊か読んでいるなかで刺さったので感想を書いてみます。
書籍の概要
社会の変化と組織
社会はビジネスに設備や店舗が必要で物の生産効率で勝負する工業社会から、
斬新なアイデアを出し続けられるかで勝負する知識社会に変化した。
それに対して、組織構造の変化は追いついていない。
多くの組織ではいまだにトップダウンのままであり、この組織構造では斬新なアイデアを出し続けることはできない。
知識社会において組織モデルは以下の変革を行うべきである
- 「硬直化した組織」から「学習する組織」
- 「警戒する組織」から「共感する組織」
- 「統制する組織」から「自走する組織」
どの変革にも組織内の構造や交流の変革が必要になるが、それだけでは変化を達成できず、メンバーのメンタルモデルの変革が必要になる。
「硬直化した組織」から「学習する組織」
「硬直化した組織」とは、ピラミッド構造で縦割り化した結果、各部門をまたいだ課題の解決能力や学習能力を失った組織。
対して「学習する組織」とは、短期的な成果よりも環境からの学習を優先する組織。
組織を変化させるには、メンバーが学習を優先する価値観の必要性を理解しなければならない。
チームのリーダーにはサーバント・リーダシップが重要。
「警戒する組織」から「共感する組織」
「警戒する組織」とは、メンバーの意識が顧客より内部に向いている組織。
対して「共感する組織」とは、顧客や社会との共感や信頼を優先する組織。
組織を変化させるには、メンバーが過剰な警戒心、リスクゼロを求める思考が閉塞感を生み出していることを自覚し、
顧客や社会が組織に求めているのは、官僚的な答弁ではなく、率直で人間的な対話であることに気づかなければならない。
チームのリーダー自らが人間的な感性を取り戻すことが必要。
「統制する組織」から「自走する組織」
「統制する組織」とは、業務を標準化し管理専門の人材をおき、仕事を計画、統制する組織。
対して「自走する組織」とは、メンバー自らが考え、メンバー同士で緊密にコミュニケーションをとりながら、価値を生み出す組織。
組織を変化させるには、メンバーの「しなくちゃ」という思考を「しよう」「したい」にシフトしなければならない。
自走する組織を目指して統制を弱めると、多くの場合は自由放任の組織になり、生産性が落ちてしまう。
自走のためには、上司の指示に代わる自走のための仕組みが必要になる。
この変革が3つの変革で最も重要だが、以下の理由で難易度が格段に高い。
- 成果を感じるまでのタイムラグの長さ
- 自走するための障壁の高さ
固定的なリーダーがチームを導くのではなく、タスクに合わせてリーダーの役割を担うメンバーが自然に選ばれるような柔軟性が必要になる。
チームの関係性と心理的安全性
Googleの検証(プロジェクト・アリストテレス)で、チームの成果はメンバーのスキルの総和との相関は小さく、心理的安全性のほうが重要という結果となった。
心理的安全性が重要な理由
心理的安全性とは、チームメイトなど周りの評価におびえることなく、自分の意見や想いを発信するために必要となる要素であり、
メンバーが自分の知識を共有したいと思えるような場を作るために必要となる。
心理的に安全な場を作るために最も基本となるのは、すべてのメンバーが「強がりの仮面」「いい人の仮面」を外して、自然体の自分を取り戻すことである。
すべての人間は自分の内的なものとつながる「本当の自分」と、外部から期待された役割を生きる「偽りの自分」を持っている。
「偽りの自分」を中心にすると、行動の根拠が「したい」より「しなくちゃいけない」になっていく。
ただし、「偽りの自分」は社会と調和した自分の側面ともいえ、誠実さや責任感の原点でもある。
自分を縛っている「しなくちゃ」に気づき、「本当の自分」と「偽りの自分」の間に橋を架けることが重要になる。
リーダーができる7つのこと
心理的安全性を提唱したエドモンドソン教授は、リーダーがとるべき行動として以下の7つを提唱している。
- 直接話のできる、親しみやすい人になる
- 現在持っている知識の限界を認める
- 自分もよく間違うことを積極的に示す
- 参加を促す
- 失敗は学習する機会であることを強調する
- 具体的な言葉を使う
- 境界(規範)を設け、その意味を伝える
チームの思考と行動
金銭的報酬等の外発的な動機付けではメンバーを継続的に動かすことはできない。
内発的な動機付けでメンバーが行動するようにしていく必要がある。
ただし、ただ組織の理念や目標を伝えて押し付けるだけでは、むしろメンバーが思考停止し、理念や目標の言葉通りに行動するだけになってしまう。
丁寧なコミュニケーションを通して、メンバーが理念や目標を自分の中に取り入れ「しよう」「したい」と思える環境を作ることが重要となる。
組織の変革
組織に3つの変革を起こすためには、まず自分自身が一歩を踏み出す必要がある。
自分がうまくいかない状況を周りの人や環境のせいにするのではなく、自らの意思で自らの行動を変えていく必要がある。
関心の輪と影響の輪
まずは自分自身が影響を及ぼせる範囲に注力し、変革のための一歩を踏み出していけば良い。
影響を及ぼせる範囲の外には、関心は持っても積極的な関与はしなくて良い。
自分の影響力が及ばず、他者を非難することにエネルギーが注がれてしまい、
建設的な発想ができなくなってしまうためである。
自分の影響力の範囲で成果をあげていくことで影響の輪を広げていき、「ティッピングポイント」と呼ばれる閾値を超えれば、
様子見だったメンバーが仲間となり、組織変革の本流となっていく。
感想
今までチームビルディングや心理的安全性の書籍を何冊か読みましたが、
それらがうまく結びついたように感じました。
「偽りの自分」と「本当の自分」
本書を読んでいて一番刺さったのはこのくだりです。
自分が「偽りの自分」を中心として仕事をしているために、ほかのメンバーに対して一歩踏み込めていなかったと感じました。
これからはもっと「本当の自分」をさらけ出していく、と簡単にはできないですが、
意識していく必要があると感じました。
心理的安全性とぬるま湯のような組織
心理的安全性を高めようとすると、どうしてもこの問題に行き当たると思います。
- 周りの空気を読みすぎて率直な意見が言えなくなっていないか
- 誰かの意見に反対意見を出すことで心理的安全性が低くならないのか
- こう考えている時点ですでに自分の心理的安全性が低くなっているのではないか
これらの懸念に対して、以下の解決策を示しており、納得感がありました。 - 意識を人間関係から価値創造にシフトする
- 目的を共有し、多様な意見から全員で第三案をつくる
- 発散と終息を意識して、チームとメンバーの相互作用を最大化する
影響の輪と関心の輪
組織に対して何らかの改善をしようとしていると、賛同してくれないメンバーに対してストレスを感じることが多いのではないかと思います。
もちろん僕も感じることが多いのですが、自分の関心の範囲と影響力の範囲の差を意識し、
影響力の内側にだけ目を向けるべきという示唆に納得感がありました。
今まであまり自覚していませんでしたが
「改善する=改善に興味がない人に影響を及ぼすことが必要」
という意識があったと思います。
ですが、これには大きなエネルギーが必要なうえに、
お互いにストレスが発生し誰もうれしくない状況になります。
まずは影響が及ぶ範囲≒ある程度改善に賛同してくれる人を巻き込むことで小さな改革から始めていく、
ということを言語化してもらえたことで今後の行動指針になりそうです。
この書籍を読んで着手すること
まずは次回のチームミーティングで、心理的安全性のためのリーダーがとるべき7つの行動について共有し、
自分がこの指針に従っていこうと考えていることを共有しようと考えています。