以下が、代表的なデザインパターンになります。デザインパターンは、プログラムの設計において、再利用性、保守性、可読性、拡張性、性能などの問題に対処するために役立つ手法です。ただし、適切に使用しない場合、逆にコードを複雑化させ、保守性を損なう原因になることもあります。デザインパターンを適切に選択し、使用することが重要です。
1.Abstract Factory
抽象的なファクトリーを提供し、関連するオブジェクトを生成する方法を提供します。Abstract Factoryは、Factory Methodに似ていますが、複数のファクトリーメソッドを含みます。これにより、複数の関連するオブジェクトを生成することができ、クライアントコードと生成されるオブジェクトとの間に抽象的なインターフェースを提供することができます。Abstract Factoryは、特に、アプリケーションが異なるオブジェクトファミリーをサポートする必要がある場合に役立ちます。
2.Adapter
既存のインターフェースを別のインターフェースに変換し、クライアントコードを変更せずに、異なるクラスを協調させる方法を提供します。Adapterは、既存のクラスのインターフェースを変更せずに、別のクラスと共同作業する必要がある場合に特に有用です。これにより、コードの再利用性が向上し、既存のコードの変更が最小限に抑えられます。
3.Bridge
抽象化と実装を分離し、それらを独立して変更することができるようにします。Bridgeは、抽象クラスと実装クラスの2つの階層を使用し、両方の階層が独立して変更できるようにします。これにより、抽象クラスと実装クラスを別々に拡張することができ、変更が互いに影響しないようになります。Bridgeは、特に、複雑なシステムの中で抽象化と実装を分離する必要がある場合に役立ちます。
4.Builder
複雑なオブジェクトを作成するための設計パターンで、オブジェクトの作成プロセスを分割し、簡単に再利用できるようにします。Builderは、オブジェクトの作成プロセスを細分化し、ステップごとに実行することができます。これにより、オブジェクトの構造を細かく制御し、オブジェクトの生成に必要な煩雑さを隠蔽できます。Builderは、特に、複雑なオブジェクトの作成に関する情報が多数の場合に役立ちます。また、Builderは、異なるオブジェクトを生成するために複数の具象ビルダーを作成できるため、クライアントコードの変更を最小限に抑えることができます。
5.Chain of Responsibility
複数のオブジェクトが、リクエストを処理する責任を持ち、リクエストを次のオブジェクトに渡す方法を提供します。Chain of Responsibilityは、オブジェクトの責任を疎結合に保ち、柔軟性を向上させます。各オブジェクトは、リクエストを処理するか、次のオブジェクトにリクエストを転送するかを決定します。このパターンを使用すると、オブジェクトの変更が容易になり、新しいオブジェクトを容易に追加できます。
6.Command
リクエストをオブジェクトにカプセル化し、リクエストのスケジュール化、ログ、アンドゥなどをサポートする方法を提供します。Commandは、リクエストの送信者と受信者を分離することができ、コマンドをキューに格納し、アンドゥ操作をサポートすることができます。また、複数のリクエストをサポートすることができ、リクエストのログを取得することができます。
7.Composite
複数のオブジェクトをツリー構造に組み合わせ、単一のオブジェクトと同様に扱う方法を提供します。Compositeは、オブジェクトを再帰的に組み合わせることができるため、ツリー構造を簡単に表現することができます。また、単一のオブジェクトと同様に扱うことができるため、コードの再利用性が向上します。
8.Decorator
既存のオブジェクトに機能を追加する方法を提供します。Decoratorは、継承を使用せずに、既存のオブジェクトに機能を追加することができます。Decoratorは、オブジェクトの機能を組み合わせることができ、動的に機能を追加または削除することができます。また、複数のDecoratorを組み合わせて使用することもできます。
9.Facade
複雑なシステムに対して単純なインターフェースを提供し、クライアントコードと内部システムの間の複雑な相互作用を隠蔽する方法を提供します。Facadeは、システムの内部を隠蔽することができ、システムの利用を容易にすることができます。また、複雑なシステムを分割することができ、各コンポーネントを独立して開発することができます。
10.Factory Method
オブジェクトの作成プロセスを抽象化し、サブクラスに作成プロセスを委任する方法を提供します。Factory Methodは、抽象的なクラスと具象的なクラスを使用し、オブジェクトの作成をカプセル化することができます。また、Factory Methodは、クライアントコードを抽象的なクラスに依存させることができるため、コードの再利用性が向上します。
11.Flyweight
多数の似たようなオブジェクトを効率的に扱うためのデザインパターンです。Flyweightは、オブジェクトのインスタンス化コストを削減するために、共有プールを使用します。これにより、メモリ使用量を削減し、性能を向上させることができます。また、Flyweightは、内部状態と外部状態を分離することができるため、オブジェクトの状態の変更に対して柔軟に対応することができます。
12.Interpreter
文法規則に基づいて、指定されたプログラムを実行する方法を提供します。Interpreterは、文法規則を解析して、プログラムを実行するためのオブジェクトを生成します。これにより、動的なプログラム生成が可能になります。また、Interpreterは、DSL(Domain Specific Language)の実装に使用されることがあります。
13.Iterator
複数の要素を順番にアクセスする方法を提供します。Iteratorは、複数の要素を順番にアクセスすることができるため、要素の集合を処理するための柔軟な方法を提供します。また、Iteratorは、クライアントコードを単純化し、コードの再利用性を向上します。
14.Mediator
複数のオブジェクト間の相互作用を調整するための方法を提供します。Mediatorは、オブジェクト間の直接的な相互作用を防ぐことができるため、システムの複雑性を減らすことができます。また、Mediatorは、クライアントコードを単純化し、オブジェクト間の依存関係を低減することができます。
15.Memento
オブジェクトの状態を保存し、必要に応じて復元する方法を提供します。Mementoは、オブジェクトの状態を保存するためのオブジェクトを生成し、オブジェクトの状態を復元することができます。また、Mementoは、オブジェクトの状態のバージョン管理に使用されることがあります。
16.MVC (Model-View-Controller)
アプリケーションの機能を、Model、View、Controllerの3つの要素に分割し、それらを分離する方法を提供します。MVCは、アプリケーションの機能を疎結合に保ち、コードの再利用性を向上します。また、MVCは、アプリケーションの開発とテストを容易にし、アプリケーションの保守性を向上させます。
17.Observer
オブジェクトの状態の変化を監視し、変化があった場合に通知する方法を提供します。Observerは、オブジェクト間の直接的な相互作用を防止することができ、クライアントコードを単純化することができます。また、Observerは、リアルタイムシステムにおける変更通知に使用されることがあります。
18.Prototype
新しいオブジェクトを生成するためのデザインパターンで、既存のオブジェクトを複製する方法を提供します。Prototypeは、新しいオブジェクトを生成するために、既存のオブジェクトのコピーを使用します。これにより、オブジェクトの生成に必要な時間とリソースを節約できます。また、Prototypeは、クライアントコードを抽象的なクラスに依存させることができ、コードの再利用性を向上させます。
19.Proxy
オブジェクトの代理を提供し、オブジェクトへのアクセスを制御する方法を提供します。Proxyは、オブジェクトへのアクセスを制御するために使用されます。Proxyは、オブジェクトの生成に必要な時間とリソースを節約し、オブジェクトのアクセス制御やオブジェクトのキャッシュなど、さまざまな用途に使用されます。また、Proxyは、オブジェクトの実装を隠蔽し、クライアントコードを単純化することができます。
20.Singleton
アプリケーション内で唯一のインスタンスを持つオブジェクトを生成する方法を提供します。Singletonは、アプリケーション内で唯一のインスタンスを持つことができるため、システム全体で共有するオブジェクトを扱う場合に役立ちます。また、Singletonは、アプリケーション内でインスタンスが1つしかないことを保証するため、複数のインスタンスが生成されることを防止します。
21.State
オブジェクトの内部状態に基づいて、オブジェクトの振る舞いを変更する方法を提供します。Stateは、オブジェクトの振る舞いを簡単に変更できるため、状態遷移に基づく処理を実装する場合に役立ちます。また、Stateは、状態に応じてオブジェクトの振る舞いを変更することができるため、オブジェクトの拡張性を向上させます。
22.Strategy
オブジェクトの振る舞いを動的に変更する方法を提供します。Strategyは、オブジェクトの振る舞いを簡単に変更できるため、アルゴリズムの動的な変更が必要な場合に役立ちます。また、Strategyは、オブジェクトの拡張性を向上させ、コードの再利用性を向上させます。
23.Template Method
アルゴリズムの骨格を定義し、具象サブクラスでアルゴリズムの詳細を実装する方法を提供します。Template Methodは、アルゴリズムの骨格を定義するための抽象クラスを使用します。具象サブクラスは、アルゴリズムの詳細を実装するためのメソッドを提供します。Template Methodは、アルゴリズムの再利用性を向上させ、クライアントコードを単純化することができます。
24.Visitor
オブジェクトの構造を操作するための方法を提供します。Visitorは、オブジェクトの構造を操作するための抽象クラスを定義し、具象サブクラスでオブジェクトの構造を訪問する方法を提供します。Visitorは、オブジェクトの構造を訪問するために、抽象クラスを使用します。具象サブクラスは、オブジェクトの構造を訪問するためのメソッドを提供します。Visitorは、オブジェクトの構造を簡単に拡張できるため、オブジェクトの拡張性を向上させます。