目次
前書き
材料を揃える
- 機械類
- 部品類
- 工具
組み立て
テスト
- 基礎の準備
- 基盤の準備
- ステージの組み立て
- PiCameraの設置
- LEDライトの取り付け
- ペリスタポンプの取り付け
- 配線
- ラズパイの設置
参考
前書き
PlanktoScopeというものがあります。
公式のページによれば"a modular, open-source hardware and software platform that allows for high-throughput quantitative imaging of plankton samples in aquatic biology and ecology"と説明されており、
つまりのところオープンソースで自作できるプランクトンを定量的に計測する機械とソフト...みたいなイメージです。
このPlanktoScopeを作ったという日本語の記事は見当たらなかったので、今回経緯を細かく記してみることにしました。
当方、ハード・ソフトともに全くの素人(単にプランクトンが好きなだけ)の人間ですので、技術的に浅い面は多いと思いますが、温かい目で読んでくださるとありがたいです(指摘は大歓迎です)。
組み立てに関しては慣れている人であれば数時間で終わるのではないかと思います。
夏の自由研究にどうぞ()
疲れて書けていない不足部分が多々あるので、時たま書き直していこうと思います。
材料を揃える
PlanktoScopeには既に複数バージョンが公開されていますが、今回は最もシンプルで作りやすそう(偏見)なver2.1を作成していきます。ver2.1の作成に必要な部品類は多いですが、以下のサイトに載っています。
材料は以下のページに載っている通りです。
ただこれを普通に買うと外国のサイトなので結構厳しいものがあります。加えて普通に高いものがあるので、予算10万円は余裕を持ってみておいた方がいいでしょう。
また、工具類も持っていない自分は、それも揃えなければいけないので大変でした。
紹介されているページは英語で、かつ外国の規格のものも多いので少し注意が必要です。
特にネジ穴を作る際のハンドタップなど、普通の日本のホームセンターには売っていない規格なので揃えるのが大変です。
以下でそれぞれの材料や工具について少し紹介していきます。
ケース
PlanktoScopeの外側を覆うケースは、自分で好きな材質を使うことができます。
好きな材質のものを選び、以下のページ(再掲)の一番下部にあるsvgファイルの通りにレーザーカッターでカットすればOKです。
自分はアクリル素材で作成しました。
最初は自分でレーザーカッターを用いて、材料を切り出そうと思っていたのですが、細かい部分が多く、なかなか自分では細かいところが確かな精度で作れなかったため、外注しました。
少しでもズレがあると上手くパーツ同士がハマらなかったりするので、レーザカッターの腕に自信がある方でなければ、外注がおすすめです。
自分の場合、遊舎工房という業者さんにお願いしました。
もし同じように外注する方いらっしゃいましたら、発注の際に使用したsvgファイルを共有しますので、ぜひご一報ください。
発注の際には色分け等する必要がありちょっとだけ面倒です。
機械類
使用するコンピュータなどの機械類を紹介します。
最初に断っておきますが、(私ような)初学者はできるだけ新品を買うべきです。
変に気取って中古を買ったりすると、足りないパーツがあったりして詰むことがあります。
私はpi camera(後述)を中古で買い、レンズを外す用の工具が手に入らず詰みました。結局新品を買い直しました。
また、メルカリやヤフオクには、上記のような付属品が付いていないようなものや、安い代わりにRaspbery Pi のロゴがない、つまりガセ商品が出回ってたりするので注意しましょう(私はガセ商品を買って失敗しました)。
PlanktoScopeの公式ページには外国向けの通販サイトページしか載っていないので(US Amazonなど)、以下では日本の通販サイトのページなども併せて紹介します。
ただし一部の商品は外国の通販サイトでしか購入できないので悪しからず...
マイクロSDカード
32GB以上であれば何でもいいそうです。プログラムを入れたのち、後述するRaspbery Piに挿入してPlanktoScopeが動くようにします。
プログラムのファイルを入れるのにSDカードをフラッシュする必要があります。
無料のフラッシュを行うソフトで、例えばEtcher(https://etcher.balena.io/#download-etcher)などがあるので、そうしたもので行います。
また、フラッシュをする際、公式のページ(https://www.planktoscope.org/start-your-planktoscope)にはver2.1のプログラムが用意されていますが、ver2.1ではカメラが映らなかったり異常が生じるので、ver2.3を探してダウンロードしましょう。
大体1.8GBぐらいです。
Raspbery Pi 4 B (Raspberry Pi 4 B (4GB))
全体を統制するコンピュータで、価格は約13000円程度でした。ただし最近は品薄になっているようなので、少し高いかもしれません。
私は秋葉原の千石電商で購入しました。
で使用します。
Adafruit Stepper Motor HAT
焦点を合わせるモーターやLED、ペリタスポンプ(後述)を駆動させるために使用します。
私はAmazonで購入しました。
で使用します。
Adafruit Motor HAT のリンク
Adafruit Ultimate GPS HAT
文字通りGPS用の機械です。
私はこれもAmazonで購入しました。
で使用します。
Yahboom Cooling Fan HAT
冷却用のファンです。
日本の他のメーカーのものでもいいかもしれませんが、違って作動しないのが怖かったので同じものを私はAmazonで買いました。
買ったパッケージを見てみるとRGBファンと書いてあって、どうやら作動状態によって発する色が変わるようです。テストでも述べますが、PlanktoScopeは状態によってこのファンの色が変わる仕組みになっているので、かなり重要です。
他のファンも今後試していきたいところです。
で使用します。
部品類
色々な部品類を揃える必要があります。
面倒ならネットなどで一括で買ってしまったほうが良いと思います(秋月電子電商とか千石電商)。
なおそれぞれの部品の後の括弧内は、元の英語ページでの表記です。
ピンヘッダ 2✖️20(40P) (Hammer Header Male 2✖️20)
一つだけ必要です。Adafruit Stepper Motor HATにはんだ付けして使用します。
で使用します。
連結ピンソケット 2✖️20(40P) (Stacking Header 2✖️20)
一つだけ必要です。ピンヘッダに連結して使用します。
購入の際、ピンの長さが短いものではなく長いものを買うようにしなくてはいけません。
そうしないと後から連結する時、長さが足りなくて組み立てられなくなってしまいます。
以下は比較写真です。私は最初短いものを買ってしまい組み立てられませんでした。
で使用します。
リボンケーブル (Pitch IDC Sockets 2✖️20, GPIO Ribbon IDC 40P)
一つだけ必要です。
リボンケーブルは端にコネクタを噛ませる必要があるのですが、すでにリボンケーブルとコネクタがセットになっているものがあったので、私はそれを千石電商で買いました。
で使用します。
フレックスケーブル (Flex Cable for Pi Camera)
PiCameraに付属しているフレックスケーブルで事足りるので、特段新たに買う必要もない。
PiCameraの設置で使用します。
(DC Power Jack Socket)
(GPS Active Antenna)
(Stepper Motor Peristalic Pump)
ペリスタポンプとはシリコンなどの軟質チューブをローラーでしごいて送液するポンプです。
断続的に水を流すことで、止水している時間を作り、プランクトンが撮影しやすくなるようです。
ただしオリジナルのページにあるものは現在販売が終了しているため、代替のポンプが必要です。
私はAmazonで以下の商品を買いましたが、付属のケーブルの長さが足りない上、うまくPlanktoScopeの型に入りませんでした。
そのため以下のポンプを譲り受け、なんとか事を得ました。
以下のポンプはアリババの通販を通じてしか入手できないため、その点だけ注意が必要です。
このポンプを買えば、作動上で間違いはありません。
Linear Stepper Motor (いい日本語がないので英語のまま)
私はAmazonで購入しました。
スペーサー (M2.5 Standoff Assortment Kit)
Raspbery Piなど機械類を、間隔をあけて設置するために使用します。
基礎の準備などで使用します。
M2.6(=太さのイメージ)のスペーサーが必要で、長さ5mmのものが8本、長さ15mmのものが8本必要です。
私は千石電商で購入しました。
工具類
精密ドライバー
配線をする際や、ネジを閉める際に使用します。
その辺のホームセンターであれば、高い確率で置いてあると思います。何なら百均にもあります。
複数種類のドライバーがあると便利なので、セットのものを買うのがおすすめです。
組み立て
では実際の組み立ての工程を紹介していきましょう。
手順は以下の公式ページに載っていますが、正直Google Slidesで紹介されていてクソ見づらい...(ダウンロードもできない)。
作り方の図などは自分のやりやすいように見てください。この記事でも公式の図を引用しながら紹介していきます。
この記事では極力、公式ページの通りの手順で説明していきますが、多少順番が前後しても構わないと思います。
基礎の準備
まずは以下の図の形のアクリル板を用意します。アクリル素材などで保護紙が貼ってある場合は、組み立て前に剥がしておきましょう。
この板に5mmのスペーサーを8本取り付けます。
ここでしっかり垂直に刺さないと、あとあと機械類の設置が大変になるので、注意深く取り付けてください。
穴にはネジ溝がありませんが、グリグリすれば入ります。隙間があったら接着剤などで止めてしまいましょう。
基盤の準備
次にAdafruit Stepper Motor HATの準備をします。
購入した際にターミナルブロックが付属してくると思うので、それを基盤にはんだ付けしていきます。
また、ピンヘッダも図の場所にはんだ付けしていきます。
ターミナルブロックは向きがあるので間違えないようにはんだ付けしていきます。
先に完成図を提示しておきます。
はんだ付けの方法などは他のページなどをご覧ください。
はんだづけが終わったら、先ほど設置したスペーサーの上に置いて設置します。
ステージの組み立て
はんだ付けが終わったら、Linear Stepper Motorを用いてステージ(焦点を合わせるシステム)を作っていきます。
以下の図2枚ののように材料板を用意し、磁石を4つ穴にそれぞれはめていきます。
ここはパワーです。多分、入りづらいと思いますが、頑張りましょう。
そうしたら次にLinear Stepper Motorを用意しましょう。
途中経過の写真を置いておきます。
用意できたら、以下の図のように、長方形の板の方にLinear Stepper Motorを差し込み、接着剤で固定します。
その後、以下の図のようにもう一枚の板の方も組み合わせます。
途中経過の写真を置いておきます。
写真の中の材料板2枚は、完成時は離れていますが、製造過程でくっついているだけです。
なので写真中では揃っててくっついてしまっていますが、磁石の向きを揃える必要などは特にありません。
でもできれば反発する方向にしておいた方が楽かもしれません。
ここまで組めたら次にレンズを取り付けていきます。
ハンドタップで、以下の図の形のアクリル板にネジの切れ込みを入れていきます。
この時、垂直に切れ込みを入れないと、あとあと光軸がずれてしまい取り戻しがつかなくなるので注意しましょう。
この時、もう一つ以下の写真の下部にあるアクリル板にもタップでネジ溝をつけておきましょう。
写真ではArduCamの60°とキャップに書かれた、8mmのレンズをはめていますが、撮影の際には10°と書かれた16mmのレンズに変えた方が良いです。
この二つ目にはめた方のパーツは後ほど使用するので、置いておきましょう。
最初にレンズをはめたアクリル板について、以下の図のように取り付けます。
この工程は接着剤不要で、かなりピッタリハマると思います。
取り付け終わったら、さらにパーツを取り付けていきます。
以下の2図のようにパーツを取り付けましょう。
この際、Eは接着剤の使用をしませんが、Fとモーターのくっつく部分を接着剤で止めます。
PiCameraの設置
ステージがあらかた組み終わったら、次はPiCameraを取り付けます。
ここは結構繊細なところなので気をつけましょう。
大まかには以下の図の手順で取り付けていきます。
まず行うのはPiCameraの下準備です。PiCameraは買った時の状態だとレンズがついていますが、PlanktoScopeは上記のアクリル板に取り付けたもので代用するので必要ありません。従ってまずそのレンズを取り外します。
PiCameraの箱を開けると、以下のようなものが入っていると思います。
このうち、白い円形の工具を用いてレンズを取り外していきます。
以下のように用意したら、
レンズの上側に白い工具の凸側を合わせます。
この状態で半時計周りに回すと、レンズを取り外すことができます。
それが完了したら、M2のネジで以下のようにアクリル板に取り付けます。
LEDライトの取り付け
次にLEDライトを取り付けます。
私の場合はすでに出来合いの品を買ってしまったので、ダイオードの両足を適度な長さで切り(商品の説明に書いてあリました、足の突起からおおよそ6mm)、既製品にはめます。
アノード側(+側、足の長い方)とそうでない法を間違えないようにしてください。
ダイオードと配線を別々に買ったという方は、以下の記事などを参考にやってみてください。
くっつけ終わったら、以下の図のように差し込みます。EとFと書いてあるアクリル板の中央の穴にすっぽり入るはずです。
ペリスタポンプの取り付け
次にペリスタポンプを取り付けていきます。
以下の図のように差し込み、可能であればネジで止めます...が手に入るペリスタポンプはおおよそネジがハマらないと思います。
まぁハメなくても使えますが、気になる方はレーザーカッターで加工する際に、適切な位置に穴を開けておくのがいいかと思います。
穴の位置はペリスタポンプによって変わるので、まずペリスタポンプを手に入れて、確認してからレーザーカッターの加工も変えてみてください。
私はそれに気づかず、今もペリスタポンプが宙ぶらりんの固定されていない状態になってしまっています。
写真のようになんか残念な仕上がりになっています。
配線
以上が全て終わったら、最初にAdafruit Stepper Motor HATを設置した板にステージ類を設置していきます。
以下の図を参考にはめ込みましょう。
はめこめたら次に、ステージに付随する配線とAdafruit Stepper Motor HATを接続していきます。
以下のようにはんだ付けが終わったAdafruit Stepper Motor HATがあると思います。
このうち配線で使用するのは、以下の図の赤枠で示した4箇所です。
①の部分にはLEDの配線を
②の部分にはPiCameraの配線を
③の部分にはLinear Stepper Motorの配線を
④には外部電源の配線を行なっていきます。
以下にAdafruit Stepper Motor HATの裏側を示します。
このうち(済)と書いてあるものについては、基盤の準備ですでにはんだ付けを終えているところになります。
残っている①の部分にLEDの配線を差し込み、はんだ付けします。
はんだ付けの際には赤い+側と-側を間違えないようにしましょう。
自信がないという人は、ここははんだ付けしなくても、繋がっていればいいので差し込むだけにとどめておきましょう。
他の部分、②〜④の部分の配線については、すでにはんだ付けしてあるターミナルブロックを用います。
(④は後回しのほうがいいです、また出てきます)。
ターミナルブロックはネジの開け閉めで配線を行える部品です。
最初の状態では開いているので、配線したい線を側面から深めに挿入してあげて、ネジをしめて固定してあげればそれで配線完了です。
以下は②の部分のみ配線した図です。配線の色に従って行えば大丈夫です。
ラズパイの設置
次にラズパイ(Raspbery Pi)を設置します。フラッシュが済んだSDカードを挿入し、Adafruit Stepper Motor HATと同様にスペーサーの上に載せましょう。
載せ終わったら、上から15mmの長いスペーサーで固定します。
その他配線
Adafruit Ultimate GPS HATとYahboom Cooling Fan HATを取り付けていきます。
取り付け方としては公式の図の通りで、はんだ付けも行わないので、みてその通りに組み立ててもらえればと思います(公式にはsolder=はんだ付けしろと書いてありますが、別にしなくてもしっかり挿せば特段の問題はありません)。
一点だけ注意で、GPS HATに差し込む連結ピンソケットは長いものを使用しましょう。以下の写真の右のようなものです。
そうしないと、後々リボンケーブルを接続する際に長さが足りなくなってしまいます。
ここまで終わったらあとはガイドに従って組み立てていくだけです。
特段、述べることもないのでここで終わりにしておきます。
組み上がると以下のような感じです(ケーブルが長かったり不備がある完成図ではありますが、イメージまで)。
最後にもう一度、Assembly guideのGoogle Slideが掲載されているページを示しておきます。
テスト
電源を繋ぐと、機械類が光り始めます。
ここでAdafruit Ultimate GPS HATに黄色っぽい光がついていること、Raspbery Piに赤い光がついていることなどを確認しましょう。
Yahboom Cooling Fan HATは最初、緑色の光を発していますが、少し待つと青色になります。
青色になると、PlanktoScope側からWi-Fiが発せられるようになるので、接続しましょう。
名前は
焦点合わせ
ペリスタポンプ
参考