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Stitch Fix: 変化し続けるファッション界のレコメンドAIは、人間とAIの協業の仕組みが成功の鍵

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以前にも何度か取り上げてきたサンフランシスコのファッション系のスタートアップであるStitch FixがShop Your Looksという新しい機能をリリースしたのにともない、「Need Some Fashion Advice? Just Ask the Algorithm」という記事がWeirdの方に出てました。

これは、すでにスタイリストが手作業で一つずつ作って顧客に送っていた着こなしを提案するカードをデータに落としこみ、それをもとに作った予測モデルによるレコメンドのサービスに関する話ですが、人間(顧客とスタイリスト)とAIの協業によって、よいサービスができていく話としてもおもしろいと思いました。

もともとスタイリストが手作業で一つずつ作っていた情報を大量に効率的に入力していくことができる、アウトフィット・ピッカーと呼ばれるツールを作って、現在Stitch Fixの3000人ほどいるスタイリストやクリエイティブチームの人達は着こなしに関する情報をデータベースに入れていっているとのことです。

こうした服装の組み合わせの候補は、その時その時の在庫、新しいデータ、新しいスタイルによって変わってくるので絶えずアップデートし続ける必要があるとのことです。

さらにユーザーからのフィードバックを効率的に集めるために、Tinderという出会い系のアプリのようにユーザーがスワイプして簡単によいか悪いかを入力することができるUIを提供しているとのことです。

機械学習による予測モデルは入力データの精度と量が重要なので、こうした精度の高いデータをうまく集めてくるフィードバックの仕組みがしっかり作っているのが参考になります。

AIは人間が絶えず更新し続けなくてはいけない

ところで、この手の話があると、ファッション・エディターやスタイリストがAIに置き換わると思われがちですが、彼女たちはそんなことはないといい切ります。

今回のShop Your Looksの開発をリードしたデータサイエンティストのHilary Parkerのコメントは興味深いです。

「データを収集してこれが最高のアウトフィットだ!と宣言して終わることはない。着こなしに関する問題を解決する日は永遠に来ないでしょう。私達は複雑なアートの形式であるものをモデルしようとしているのです。ファッションは絶えず進化し、人間も進化し続けるので、専門家やスタイリストからの入力を絶えず必要とします。つまり、これは私達がずっとやり続けることになるタスクなのです。」

この記事は、Stitch Fixの新しいサービスのラウンチにともなうPR的なものがありますが、それでもおもしろいなと思ったのは、このサービスを開発した現場のデータサイエンティストへ直接インタビューした記事だからです。よくある、マーケティングの人間が有る事無い事、適当に言っているようなただのPR記事とは一線を画しています。

やはりこういう記事をしっかりと出せるのも、この会社ではCEO直属のチーフ・アルゴリズム・オフィサーがデータサイエンス部門のトップだからでしょう。つまり、チーフ・マーケティング・オフィサーと同じレベルなわけですから、基本的にはデータサイエンス部門がPRを主導することができるし、しっかりと地に足の着いた情報を出していくことができるのでしょう。

これは、IBMのWatsonがWatsonヘルスケアというサービスで、患者の診断を勝手にAIがやってくれるという触れ込みで売り切ったあとで、実は医者や看護師が絶えずデータを入力し続けなくてはいけないということが後でわかり、訴訟問題になってたのと比べると大きな違いです。IBMのPRというのは、もちろんマーケティングから出てくるのでほとんど詐欺みたいな話ばっかりです。

レコメンドエンジンに関わっているのは100人のデータサイエンティストのうちたったの6人

ところで、Stitch Fixは顧客それぞれのスタイルに合わせて服をレコメンドして配送してくれるサービスですが、その際の服のレコメンドには、100人いるデータサイエンティストのうちたったの6人しか関わってないとのことです。他の人達は例えば、在庫の予想だったり、これからのトレンドの予想であったりと、他の様々なアルゴリズムに関する仕事をしているとのことです。

  • ファッション業界もデータを使ってトレンドを理解する時代 - Link

3000人ほどいるスタイリストがレコメンデーションのアルゴリズムを使ってそれぞれの顧客へどの服を送るかを決めているようですが、この品質はどんどん上昇しているようで、今では90%の顧客のリターン率を達成しているとのことです。すごいですね。

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