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本日の微分方程式(24日目)

Last updated at Posted at 2023-05-28

前回の内容はこちら

問題

以下の微分方程式の一般解を求めよ.

\begin{align}\tag{1}
x^2\dfrac{\mathrm{d}y}{\mathrm{d}x}+2xy=y^3.
\end{align}

ポイント

  • 式(1)の両辺を $x^2$ で割り,ベルヌーイの微分方程式であると気づけたら最強です.
  • $\dfrac{\mathrm{d}y}{\mathrm{d}x}+P(x)y=Q(x)y^n$ の形はベルヌーイの微分方程式 と呼ばれます.ベルヌーイの微分方程式は次の手順で解くことが出来ます.
    • STEP1. 両辺を $y^n$ で割る
    • STEP2. $y^{1-n}=u$ とおき,STEP1で得られた式を, $x$ に関する $u$ の一階線形微分方程式に書き換える.
    • STEP3. 新たな微分方程式を解き,$u(x)$ を求めたら $y(x)$ に変換する.
  • ベルヌーイの微分方程式については,ヨビノリさんの動画もご参照ください.

解説

微分方程式を解く際には,まず与えられた微分方程式が何型であるのかを見極めるのが重要です.
$\dfrac{\mathrm{d}y}{\mathrm{d}x}$ の係数 $x^2$ が型の見極めを難しくしているので,両辺を $x^2$ で割ってしまいましょう.

\begin{align}\tag{2}
\dfrac{\mathrm{d}y}{\mathrm{d}x}+2x^{-1}y=x^{-2}y^3.
\end{align}

これは,ベルヌーイの微分方程式ですので,ポイントにある STEP 通り変形していきます.


STEP1 両辺を $y^n$ で割る

$y^n\neq 0$ のとき,式(2)の両辺を $y^3$ で割ったものは以下の通りです.

\begin{align}\tag{3}
y^{-3}\dfrac{\mathrm{d}y}{\mathrm{d}x}+2x^{-1}y^{-2}=x^{-2}.
\end{align}

STEP2. $y^{1-n}=u$ とおき,STEP1で得られた式を, $x$ に関する $u$ の微分方程式に書き換える.

$y^{-2}=u$ とおきましょう.これからの目的は,式(3)の左辺第一項 $y^{-3}\dfrac{\mathrm{d}y}{\mathrm{d}x}$ すらも $u$ と $x$ で置き換えることです.$u$ も $x$ の関数であることに注意して,$y^{-2}=u$ の両辺を $x$ で微分すると次の関係が得られます.

\begin{align}\tag{4}
\dfrac{\mathrm{d}(y^{-2})}{\mathrm{d}x}&=\dfrac{\mathrm{d}u}{\mathrm{d}x},\\
-2y^{-2-1}\dfrac{\mathrm{d}y}{\mathrm{d}x}&=\dfrac{\mathrm{d}u}{\mathrm{d}x},\\
\therefore y^{-3}\dfrac{\mathrm{d}y}{\mathrm{d}x}&=-\frac{1}{2}\dfrac{\mathrm{d}u}{\mathrm{d}x}.
\end{align}

少々難しいですが,1行目から2行目への左辺の変形では,合成関数の微分 $\left\{f(g(x))\right\}^\prime = f^\prime(g(x))g^\prime(x)$ および $(x^\alpha)^\prime=\alpha x^{\alpha -1}$ を用いました.
さて,有難いことに式(4)では, 欲しかった $y^{-3}\dfrac{\mathrm{d}y}{\mathrm{d}x}$ の形が現れましたね.
式(4) の結果および $y^{-2}=u$ を式(3)に代入すると,次の一階線形微分方程式を得ます.

\begin{align}\tag{5}
-\frac{1}{2}\dfrac{\mathrm{d}u}{\mathrm{d}x}+2x^{-1}u=x^{-2},\\
\therefore \dfrac{\mathrm{d}u}{\mathrm{d}x}-4x^{-1}u=-2x^{-2}.\\
\end{align}

STEP3. 新たな微分方程式を解き,$u(x)$ を求めたら $y(x)$ に変換する.

式(5)は単純な一階線形微分方程式ですから,解の公式でサクッと解を求めてしまいましょう.もちろん,変数変化法や積分因子を用いる方法で求めても良いです.解の公式は【参考1】 をご覧ください.

さて,式(5)において,$P(x)=-4x^{-1}$, $Q(x)=-2x^{-2}$ として公式を適用すれば,

\begin{align}\tag{6}
u&=e^{-\int -4x^{-1}\mathrm{d}x}\left[ \int -2x^{-2}e^{\int -4x^{-1}\mathrm{d}x}\mathrm{d}x +C\right]~~~(C:任意定数),\\
u&=e^{4\log x}\left[  -2 \int x^{-2}e^{-4\log x}\mathrm{d}x +C\right],\\
u&=e^{\log x^4}\left[  -2 \int x^{-2}e^{\log x^{-4}}\mathrm{d}x +C\right],\\
u&=x^{4}\left[  -2 \int x^{-2}x^{-4}\mathrm{d}x +C\right],\\
u&=x^{4}\left[  -2 \int x^{-6}\mathrm{d}x +C\right],\\
u&=x^{4}\left[  \frac{2}{5}x^{-5} +C\right],\\
\therefore u&=\frac{2}{5}x^{-1}+Cx^{4}.\\
\end{align}

$y^{−2}=u$ とおいたことを思い出して,変形を行っていきましょう.

\begin{align}\tag{7}
y^{-2}&=\frac{2}{5}x^{-1}+Cx^{4}.\\
\frac{1}{y^2}&=\frac{2}{5}x^{-1}+Cx^{4},\\
y^2&=\frac{1}{\frac{2}{5x}+Cx^{4}},\\
y^2&=\frac{5x}{2+5Cx^{5}}~~~(C:任意定数).
\end{align}

【参考1】 一階線形微分方程式の公式

\begin{align}\tag{8}
\dfrac{\mathrm{d}y}{\mathrm{d}x}+P(x)y=Q(x),
\end{align}

の解の公式は次のとおりです.

\begin{align}\tag{9}
y=e^{-\int P(x)\mathrm{d}x}\left[ \int Q(x)e^{\int P(x)\mathrm{d}x}\mathrm{d}x +C\right]~~~(C:任意定数).
\end{align}

【参考2】 Wolframalpha

非常に便利なので,積極的に使っていきましょう.

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