分散と平均二乗誤差の類似点と違い
データ分析や機械学習の分野で頻繁に使われる「分散」と「平均二乗誤差(MSE)」ですが、これらはどちらもデータのばらつきを測定するための指標です。ただし、それぞれが持つ意味や用途は異なります。この投稿では、分散とMSEの類似点と違いについて整理します。
1. 分散とは
分散は、データが平均値からどれだけ散らばっているかを示す指標です。データポイントとその平均値との差を二乗し、その平均を取ることで計算されます。分散が大きいほど、データは平均値から大きく離れて分布していることを意味します。
$$
\text{Var}(X) = \frac{1}{n} \sum_{i=1}^{n} (x_i - \mu)^2
$$
ここで、$x_i$ は各データポイント、$\mu$ はデータの平均値、$n$ はデータポイントの数です。
2. 平均二乗誤差(MSE)とは
MSEは、予測モデルの精度を評価するための指標です。予測値と実際の値との差を二乗し、その平均を取ることで計算されます。MSEが小さいほど、予測モデルが実測値に近い予測を行っていることを意味します。
$$
\text{MSE} = \frac{1}{n} \sum_{i=1}^{n} (y_i - \hat{y}_i)^2
$$
ここで、$y_i$ は実測値、$\hat{y}_i$ は予測値、$n$ はデータポイントの数です。
3. 分散とMSEの類似点
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ばらつきを測る指標
分散とMSEはどちらも「ばらつき」を測る指標です。分散はデータ全体のばらつきを、MSEは予測誤差のばらつきを表します。 -
計算方法の類似性
どちらも、データポイントと基準点(分散では平均値、MSEでは実測値)との差の二乗を平均することで計算されます。
4. 分散とMSEの違い
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対象の違い
分散はデータセット自体のばらつきを測るのに対し、MSEは予測モデルの精度を評価するために使われます。分散はデータの平均値を基準として計算されますが、MSEは実測値を基準として計算されます。 -
計算に用いるデータの違い
分散は、実際の各データポイントとそのデータセットの平均値との差から求められます。一方、MSEは予測モデルが出力した予測値と実際の観測値(実測値)との差から計算されます。つまり、分散がデータ自体の特性を反映するのに対し、MSEは予測モデルの誤差を評価するための指標です。 -
目的の違い
分散は、データの内在的なばらつきを理解するために使われます。一方、MSEはモデルの予測性能を評価し、モデルがどれだけ実測値に近い予測を行っているかを確認するために使われます。
このように、分散とMSEはどちらもデータのばらつきを評価する指標ですが、その対象と計算に用いるデータが異なります。分散はデータそのものの特性を評価するのに対し、MSEは予測モデルの精度を評価するために使用されます。